第6話 うーん、見えにくいな……?あ!セクハラしてる?!

「お会計、三万八千四百円になります!」


「カードで」


「ありがとうございましたー!」


っと、昼間から焼肉行っちまった。


臭いがやべーな。


「『クリーン』」


そう言ったセシルがなんか光る。


「えっ?今の何?」


「ん?ああ、魔法で臭いを消したんだ」


いつでもどこでもファブれるの?魔法スゲー。


俺も知らん女口説いて家に転がり込んだ後とか、匂いに結構困るから、この魔法は後で覚えたいな。セシルから習うか?いや、ポーションでなんとかできるか。


とりあえず今は……。


「マジで?俺にもよろしく」


「良いぞ、ほら。『クリーン』」


くんくん。


お、本当に臭いが消えてる。


すげーな、魔法。


「にしても、奢ってもらって悪かったな」


「良いよ別に。金ならいくらでもあるし」


「そうなのか?」


「おう、ギャンブルで勝って、泡銭を手に入れたんだよ」


「そうか」




さて……、じゃあ早速、服を見て行こうかねえ。


とは言え、コスプレなんて女の子にさせたことはあっても、俺本人はしたことがないからな。


どうすっかな……。


とりあえず、ネットで調べたコスプレ用品店に行ってみるか。なんか評判いいらしいしここで良いでしょ。


「おい、リック」


「ん?どした?」


「あそこに人だかりができているが、何だ?」


「あー?なんかのイベント……」


「やめて!離れてよ!」


女の悲鳴。


「……じゃねえな。厄介ごとだ」


喧嘩か?痴漢か?


まあ、面白そうだし覗いてみるか。


そこは、こんな感じの光景だった。


「やめて!近寄るな!」「キモい!」


まず、悲鳴を上げる女二人。


片方は白髪ロングのゴスロリちゃん。不自然なくらいに可愛い。


もう片方は栗毛の髪にエクステつけてるパンツルックのサブカル女。普通に可愛い。


「ぶひ、ぶふひ、ルイルイたん萌え〜!ね、ね、ルイルイたん、動画みたいに『らぶはーと!』やっちくり〜!」


豚。


「ほう、オークか?」


セシルが言った。


「ありゃ多分人間だろ」


「なんと、あんなに醜く肥えたものが人?度し難いな」


と、俺らが話していると……。


「あ、あー!彼クン!助けてぇ〜?」


と、ゴスロリちゃんが俺にくっついて来た。


「んー?」


「お、お前!ルイルイたんから離れろよ!チンピラだろ、どうせ!お前みたいなヤリチンにルイルイたんは相応しくない!」


よく分からんが……。


まあ、順当に考えて、このルイルイっとかってのは、このキモいのから逃げるために、俺に一芝居うってくれと言外に頼んでる訳だろうな。


そんくらいなら別に良いよ。


「おい」


「離れろ!離れろ!離れろ!」


「殺すぞ」


「は?はひ……」


「消えろ、殺すぞ」


「ひ、お、お前」


俺は一歩前に出る。


基本的に、声を荒げて叫ぶ人間はあんまり怖くないのよね。


海外旅行で学んだが、囲んで叫ぶ奴より、物静かな気狂いの方が怖い。


どんな動物でも威嚇の段階では吠えるだけだが、襲い掛かる段階だと吠えないだろ?


吠える犬より、唸りながらウロウロしている犬の方が怖くね?あ、それは狂犬病的な意味になるか?文章って難しいね。


まあ……。


「良いか豚野郎、もう一度だけ言うぞ?消えろ、すぐにだ」


俺が上背の高さを利用して、近づいて上から言ってやると。


「は、はひぃっ!」


こう、ね。普通に逃げるんだわ。




「ありがとー!カッコ良かったよ、おにーさん!」


ゴスロリちゃんがニコニコ笑顔でそう告げる。


「おう」


特になんもやってないけどな。


「お礼にハグしてあげる!ぎゅー!」


お、いいねえ。


甘い香りだ。


女物の香水っていいよなぁ。


………………。


俺は、ゴスロリちゃんの肩を抱く。


「あっ、やぁん!おにーさんったら、強引だね……。そう言うの、好きかも♡」


俺は、ゴスロリちゃんの股間を握る。


「ふにゃーーーっ?!!!」


「ふにゃーじゃないよお前」


「そ、そんないきなり……!そこはデリケートなんだよ!」


「ああ、知ってるよ……、俺にも『おんなじもん』が付いてっからなあ!」


そう、こいつは……。


「えー?おんなじじゃないよー?長さとか、太さとか!僕のは小さいし!おにーさんのはとっても大きそうだよね……、じゅるり」


こいつは、ゴスロリちゃん、ではなく。


ゴスロリ『君』であった。


「……お前、ホモなのか?」


「んーん?バイだよ?女の子は彼女みたいな子がタイプで、男の人はおにーさんみたいにロン毛のイケオジでがっしりした人がタイプかな」


はあ、そうなんですか……。


まあ……、うん、ここまで可愛いと男でも良いかな?と言う気持ちにはなるが、積極的に抱こうとは思わんなあ……。


「って、彼女いるなら浮気すんなよ」


「え?大丈夫だよ、彼女は……」


隣を見る。


「うへへ……、ルイ君がイケオジとらぶらぶ……!滾るッ!!!」


「彼女は、彼氏である僕がイケメンにNTRれるところを見て興奮する人だから」


あっ、うん、はい、そうね。


趣味は……、人それぞれだからね。


うんまあ、はい。


「だったらさっきの男に……」


「申し訳ないが汚い竿おじはNG。女装美少年とイケメン強気攻めが最高だってはっきりわかんだね」


キリッとした顔で言っているがよくわかんないです。何だこの女……?


ま、まあいい。


だが一つ言いたいことがある……。


「ってか、俺はイケメンだがおじさんではないぞ。まだ十六だ」


「「えっ」」


そんなに老けて見えるか……。

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