第12話偽装は悪い事。でも仕方なかったんですよ!

 皆さんこんばんは、夏目漱一郎です。このエッセイもかなり久しぶりに書きます。毎回毎回、何か面白いネタはないかなぁ~と考えてはいるんですが、そんなに面白いネタがたくさんある訳がないんですよ。皆さん、僕を芸人かなにかと間違えているんじゃないですか?僕はしがない一般市民ですよ。そんなに面白いエピソードばかり持っている訳ないじゃないですか。もしも、『まだ面白エピソードが知りたい!』という方は、僕の作品に【頭文字(initial)-K-】https://kakuyomu.jp/works/16818023212081259181

【~ばかいぬ~】https://kakuyomu.jp/works/16817330669075137721という二作品があります。これはエッセイではないものの、ノンフィクションで爆笑エピソードを綴った作品になっています。このエッセイの読者様なら必ず気に入っていただける作品だと思いますので、この二作品を読んでみる事をお薦めします。


 ところで皆さん、一か月に渡り連載して参りました【チャリパイFINAL~最後のサムライ~】は読んで下さったでしょうか。いや、強制なんてしませんよ。時間があって興味が湧いた方のみ読んで頂ければけっこうです。この作品の連載が昨日ちょうど最終回を迎え、おかげさまで僕の作品の中でのPV数の最高を更新する事が出来ました。とは言っても、その数は572ですので全然大した事はないのですが、今までの最高が三百くらいだったので、二百以上も上乗せ出来た事になります。周りの人気作家様とは『0』が二つも三つも違うんですから夏目、どんだけ人気無いんだ?という話ですが、それでも応援して下さる方がいるのは嬉しい事です。夏目漱一郎のフォロワーの皆さん、いつも応援して下さって本当にありがとうございます!


 ちなみにチャリパイFINALの次にPVが多かったのは、【チャーリーズエンゼルパイepisode1】で、第3位はこの【エッセイみたいなものを始めました。】でした。このエッセイ、結構人気があるんですね。いや、『エッセイみたいなもの』ですね。


 ところで皆さんは『三田村邦彦』(みたむらくにひこ)という俳優さんをご存じですか?もう、かなりの年齢だと思うのであまりテレビでも見る機会は無いですが、昔、必殺仕事人シリーズの『かんざし職人の秀』という役で出ていました。現代ドラマにも出ていて、理解力のある優しい若いお父さんの役なんかを演じていた記憶があります。そんな俳優さんで見た目もなかなかのハンサムでしたから、当時は結構な人気だったのです。僕がまだ専門学校の学生だった頃の話です。


 その専門学校は東京にある自動車関連の専門学校だったのですが、その専門学校は結構手広く経営をしていて専門学校の他に自動車学校(教習所)の経営もやっていたのです。その教習所は僕が通っていた専門学校の隣にあったのですが、都内では結構大きな教習所らしくて、時々芸能人が免許を取得する為に来ていたようなのです。


 「おい!聞いたか?今、三田村邦彦がバイクの免許取りに隣の教習所に来てるんだってよ!」

「何!三田村邦彦が来てるだって?」

なにしろ、東京に住んでいるとはいえ、去年まで地方に住んでいた田舎者の集まりです。自分のいる建物のすぐ隣に芸能人が来ていると知って、僕たちは色めき立ちました。

「じゃあ、みんなでサイン貰いに行こうぜ!」

友達のNが提案しましたが、その時部屋にいたのはおよそ十人。部外者がみんなで教習所に押しかけたら向こうにも迷惑がかかるだろうという事になり、僕と友達のWが代表で行く事になったのです。

「おい夏目、俺の分もサイン貰って来てくれよ」

「俺のも頼むよ」

「俺のも」

「俺も頼むよ」

「俺も」

「おれも」

「オレも」

結局そこにいた全員が僕とWにサイン色紙を託し、僕はサイン色紙10枚の束を持って隣の教習所に三田村邦彦さんのサインをもらいに行ったのです。


 日本人にしては長身で芸能人オーラもある三田村邦彦さんは教習所の中でも比較的に目立ち、僕たちはすぐにそれが三田村邦彦さんだと判りました。

「すみません、サインもらえますか?」

もちろん、三田村さんはサインしてくれましたよ。 但し、

本当かどうかは知りませんが、あののですよ。

 あとに残った9枚のサイン色紙を見つめ、Wはため息をひとつつくと、色紙一枚とマジックを手に取り言うのでした。

「夏目。お前、絶対に誰にも言うなよ」

そう言って本物のサインをお手本にして、他の色紙にサインを描き始めたのです。それを見た僕は、思わずWに声をかけたのです。

「おい、Wちょっと待てよ!」

「なんだよ、しようがねえだろ!」

「いや、だろ?」

止めるんじゃないんかい!(笑)

二人でせっせとサインの偽造工作をして、僕とWはみんなが待つ校舎へと戻ったのでした。


 「へえ~、これが三田村邦彦のサインかあ~」

「俺、おこうかなあ~」

そんな事を言う者まで出てきて、とても胸が痛みました。


最近、テレビの番組で、『何年も開けた事が無い、開かずの金庫を開ける』なんて番組がやっていますが、どうかそのお宝の中にあの色紙が無い事を祈ります。

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