第20話 「あ?俺?春香しか見てないぞ?」


私の父親が信じられないことをした。

警察に緊急逮捕されて...病院に居る。

ありえない。

金も金だがここまで金の無さで堕ちるとは思わなかった。


問題はそこでは終わらなかった。

私達の情報は野次馬の事とかであっという間に拡散されてしまい。

そのまま収拾がつかなくなっている。

駅前だったのが災いした。


「...お姉ちゃん。どうしよう」

「マスコミも大概だね...ゴミというか」

「...ここまで追って来るかな」

「いずれにせよバレるだろうね。そのうち」


そう話しながらお姉ちゃんは考え込む。

私はその姿を見てからテレビに集中を戻した。

そこには昨日のその父親が起こした事件の事が報道されている。

困ったものだ。

母親はどうしたのだろうか。


「...いずれにせよあの屑が捕まったのは有難いけど。...だけどこれはどうするかな」

「そうだね。被害が及ぶかもしれない。...それも隆一達に」

「隆一くん達に迷惑は掛けたくないね。確かに」

「...マスコミがどうなるか...」


そうしていると自宅に電話がまた掛かってきた。

それは見知らぬ番号であり。

3回目だ。

これは...もしやもうバレているのでは。

思いながら居るとインターフォンが鳴った。


「お姉ちゃん...」

「放って置こう。...今は出るべきじゃない」


そして私達はカーテン越しから外を見る。

報道機関のメンバーの様な連中がうろうろしている。

困ったもんだな。

殺人未遂を起こすとこういう事になるのか。

いや。

犯罪を、か。


「いずれにせよこれじゃ動けないね」

「動けない。...今日は自宅待機かな」

「...そうだね。今日はやる事無いし。一応自宅で待機しておこうか」


私達はそう話し合ってから家から出ない様にした。

それから私はその中でメッセージを飛ばした。

その相手は当然だが隆一である。

大丈夫だろうか。



マスコミらしきものが来ている。

まさかこうなってしまうとは。

そう思いながら俺と春香。

そして雄一と美里が俺の家に集まる。


「...まあ殺されなかったのは良かったけど。...だけどこれじゃどうしよう」

「鬱陶しい連中だな」

「そだね...」


過ぎ去るのを待つしか無いのだろうけど。

だけどそれでも鬱陶しい。

思いながら俺は考え込んでいると美里が「...私の時と同じだね」と呟いた。

それを聞きながら俺は美里を見る。


「私の時もやっぱり殺人未遂だったから。疑いだけどね」

「お前は事情が違うだろうけど...でもやっぱりそうなんだな」

「うん。...お姉ちゃんの事で報道機関にはよくストーカーされたよ」

「...困ったもんだな」

「そうだね。撒くのが大変だったかな」


「だけどまた身近でこういう事が起こるなんてね」と美里は呟きながら真剣な顔をしながら俺達を見る。

雄一がジュースを飲む。

それから「まあ本当に過ぎ去るのを待つしか無いな」と言ってくる。


「俺達は被害者なのにな」

「だからじゃないかな」

「...そうかな。春香」

「うん。被害者だからインタビューしたいみたいな?」

「良く分からん」


そして雄一は盛大に溜息を吐く。

それから鬱陶しい感じを見せながら外を見る。

俺はそんな姿を見ながら「すまないな。みんなも巻き添えにしてしまって」と言う。

春香が「いや。これはみんなの問題だから」と笑みを浮かべる。


「みんなで解決しよう」

「...あくまで起源にして頂点は俺なのにな」

「それは分かる。だけど...そんなので悩んでいる場合じゃないよ」

「そうだが...」

「今はとにかくマスコミだな」


雄一がそう言いながら悔しそうな顔をする。

それから「恵理子さんの為にも...どうにかしないと」と言う。

「SNSもそうだが」と呟く。

俺は考えながら顎を撫でる。

「だな」と呟いた。


「...お前案外、恵理子の事を心配しているのな」

「心配はしてないな。...だけど...彼女はお前が言う様に反省している。だから助けてやるのが当たり前かって思ってな」

「お前は良い奴だよ。本当にな」

「俺は良い奴じゃねーよ。容姿もこんなだしな」

「...」


俺が雄一と出会った時。

雄一は1人だった俺に声を掛けてくれた。

そして俺を導いてくれた。

俺は雄一と友人になったのを誇らしく思う。


「ああ。そういや話題を急に変えて悪いけど」

「...何だ?雄一」

「俺、春香が好きなんだわ」

「「「「「...はぁ!!!!?」」」」」


話題が180度回転している。

あまりの事に絶句した。

それから「ど、どういう事だ!!!!!」と言う。

春香も唖然としている。


「いや。話題を変えようって思ってな」

「話題が変わり過ぎだ!!!!!春香が好きなのかお前は!!!!?」

「当たり前だろ。彼女にしたいナンバーワンだ」

「お前のような遊び人がか?」

「殺すぞ?」


春香は赤面しながら「え?え?」いう感じになる。

いきなりの告白に頭が付いて行ってない。

すると美里が「えへへ。そうなんだ」と笑顔になる。

美里は春香の手を握った。


「アハハ」

「いきなりすぎて答えられないよ!?もー!!!!?」

「という事で彼女になれ。春香」

「アンタ大概にして!?」


雄一は春香の手に触れる。

そして優しげな笑みを浮かべた。

いつもこうしてぶっ飛んだことをするよなコイツ。

だけどまあそれが楽しいんだけどさ。


「も、もう。考えさせて」

「ぶっちゃけそういうのいらないし俺は春香だけしか見てないから」

「○×△□?!」


俺達は楽しげにその姿を見る。

そして天井を見上げてから外を見た。

楽しいな本当に。

色々あるけど、だ。

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