第20話 「あ?俺?春香しか見てないぞ?」
☆
私の父親が信じられないことをした。
警察に緊急逮捕されて...病院に居る。
ありえない。
金も金だがここまで金の無さで堕ちるとは思わなかった。
問題はそこでは終わらなかった。
私達の情報は野次馬の事とかであっという間に拡散されてしまい。
そのまま収拾がつかなくなっている。
駅前だったのが災いした。
「...お姉ちゃん。どうしよう」
「マスコミも大概だね...ゴミというか」
「...ここまで追って来るかな」
「いずれにせよバレるだろうね。そのうち」
そう話しながらお姉ちゃんは考え込む。
私はその姿を見てからテレビに集中を戻した。
そこには昨日のその父親が起こした事件の事が報道されている。
困ったものだ。
母親はどうしたのだろうか。
「...いずれにせよあの屑が捕まったのは有難いけど。...だけどこれはどうするかな」
「そうだね。被害が及ぶかもしれない。...それも隆一達に」
「隆一くん達に迷惑は掛けたくないね。確かに」
「...マスコミがどうなるか...」
そうしていると自宅に電話がまた掛かってきた。
それは見知らぬ番号であり。
3回目だ。
これは...もしやもうバレているのでは。
思いながら居るとインターフォンが鳴った。
「お姉ちゃん...」
「放って置こう。...今は出るべきじゃない」
そして私達はカーテン越しから外を見る。
報道機関のメンバーの様な連中がうろうろしている。
困ったもんだな。
殺人未遂を起こすとこういう事になるのか。
いや。
犯罪を、か。
「いずれにせよこれじゃ動けないね」
「動けない。...今日は自宅待機かな」
「...そうだね。今日はやる事無いし。一応自宅で待機しておこうか」
私達はそう話し合ってから家から出ない様にした。
それから私はその中でメッセージを飛ばした。
その相手は当然だが隆一である。
大丈夫だろうか。
☆
マスコミらしきものが来ている。
まさかこうなってしまうとは。
そう思いながら俺と春香。
そして雄一と美里が俺の家に集まる。
「...まあ殺されなかったのは良かったけど。...だけどこれじゃどうしよう」
「鬱陶しい連中だな」
「そだね...」
過ぎ去るのを待つしか無いのだろうけど。
だけどそれでも鬱陶しい。
思いながら俺は考え込んでいると美里が「...私の時と同じだね」と呟いた。
それを聞きながら俺は美里を見る。
「私の時もやっぱり殺人未遂だったから。疑いだけどね」
「お前は事情が違うだろうけど...でもやっぱりそうなんだな」
「うん。...お姉ちゃんの事で報道機関にはよくストーカーされたよ」
「...困ったもんだな」
「そうだね。撒くのが大変だったかな」
「だけどまた身近でこういう事が起こるなんてね」と美里は呟きながら真剣な顔をしながら俺達を見る。
雄一がジュースを飲む。
それから「まあ本当に過ぎ去るのを待つしか無いな」と言ってくる。
「俺達は被害者なのにな」
「だからじゃないかな」
「...そうかな。春香」
「うん。被害者だからインタビューしたいみたいな?」
「良く分からん」
そして雄一は盛大に溜息を吐く。
それから鬱陶しい感じを見せながら外を見る。
俺はそんな姿を見ながら「すまないな。みんなも巻き添えにしてしまって」と言う。
春香が「いや。これはみんなの問題だから」と笑みを浮かべる。
「みんなで解決しよう」
「...あくまで起源にして頂点は俺なのにな」
「それは分かる。だけど...そんなので悩んでいる場合じゃないよ」
「そうだが...」
「今はとにかくマスコミだな」
雄一がそう言いながら悔しそうな顔をする。
それから「恵理子さんの為にも...どうにかしないと」と言う。
「SNSもそうだが」と呟く。
俺は考えながら顎を撫でる。
「だな」と呟いた。
「...お前案外、恵理子の事を心配しているのな」
「心配はしてないな。...だけど...彼女はお前が言う様に反省している。だから助けてやるのが当たり前かって思ってな」
「お前は良い奴だよ。本当にな」
「俺は良い奴じゃねーよ。容姿もこんなだしな」
「...」
俺が雄一と出会った時。
雄一は1人だった俺に声を掛けてくれた。
そして俺を導いてくれた。
俺は雄一と友人になったのを誇らしく思う。
「ああ。そういや話題を急に変えて悪いけど」
「...何だ?雄一」
「俺、春香が好きなんだわ」
「「「「「...はぁ!!!!?」」」」」
話題が180度回転している。
あまりの事に絶句した。
それから「ど、どういう事だ!!!!!」と言う。
春香も唖然としている。
「いや。話題を変えようって思ってな」
「話題が変わり過ぎだ!!!!!春香が好きなのかお前は!!!!?」
「当たり前だろ。彼女にしたいナンバーワンだ」
「お前のような遊び人がか?」
「殺すぞ?」
春香は赤面しながら「え?え?」いう感じになる。
いきなりの告白に頭が付いて行ってない。
すると美里が「えへへ。そうなんだ」と笑顔になる。
美里は春香の手を握った。
「アハハ」
「いきなりすぎて答えられないよ!?もー!!!!?」
「という事で彼女になれ。春香」
「アンタ大概にして!?」
雄一は春香の手に触れる。
そして優しげな笑みを浮かべた。
いつもこうしてぶっ飛んだことをするよなコイツ。
だけどまあそれが楽しいんだけどさ。
「も、もう。考えさせて」
「ぶっちゃけそういうのいらないし俺は春香だけしか見てないから」
「○×△□?!」
俺達は楽しげにその姿を見る。
そして天井を見上げてから外を見た。
楽しいな本当に。
色々あるけど、だ。
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