第11話 逃亡


私が...お姉ちゃんを亡くしたのは...確かに事故が原因だ。

だけどそれ以外にもお姉ちゃんは分かっている部分もあったんじゃないかと最近思い始めた。

あくまで...それは予想に過ぎない。

私に隠している様だがお姉ちゃんは深刻な病に侵されていただろう。

そう思いながら私は家に帰って来る。


「...お母さん?」

「あ。美里。...丁度良かった。今から丁度...お供えするの。お姉ちゃんに。...一緒に手伝ってほしいわ」

「ああ。そうなんだね」


そして私は直ぐに鞄とかを下ろしてから手伝う。

その際にお母さんに...何年か前に知った情報を聞いた。

「お母さん。何か隠してない?」と言う感じでだ。

するとお母さんはバナナとかのお供えをしながら「どういう事?」と柔和に私に聞いてくる。

私は胸に手を添えて言う。


「...お姉ちゃん。深刻な病に侵されていたでしょ」

「...何故?」

「お母さん達の様子を見れば分かる。...私は娘だから」

「...」


お母さんは黙る。

それに対して私は「髪の毛が抜け落ちたのも...皮膚の病って言ったけど。絶対に違うよね」と聞く。

するとお母さんは「そうね」と返事をしながら私を見る。


「お母さん...貴方に隠していたけど。...彼女はガンだったわ」

「...隠せないって。私、途中で気が付き始めたんだから」

「...そうなのね」

「うん」


そして私は怒り始める。

「何故そんな重要な事を隠していたのか」と言う感じでだ。

するとお母さんは「...言うなって言われたのよ。...貴方のお姉ちゃんに」と言葉を発する。

え?


「...貴方のお姉ちゃんは...「私以外は不幸にならなくて良いの」って言っていたわ」

「それで...黙っていたの?でも...」

「私は貴方に言う自信が無かった。...全ての責任は私にあるわ」

「...何故お姉ちゃんはそう言ったの」

「貴方はふさぎ込みやすい体質だった。だから言わないでって口酸っぱく言われたわ」

「...お姉ちゃん...」

「...貴方には...説明するべきだったと...今でも思うわ」


「だけどその最中でこんな事故で亡くなるって思わなかったの」と涙を浮かべてから否定するお母さん。

私はそのお母さんを抱き締める。

それから仏壇を見る。


「お母さん。私、好きな人が出来たからその人と結婚しても良い?将来」

「...貴方の自由よ。...犯罪を犯さなければ人生はそのまま突き進みなさい」

「...有難う。お母さん」


そして私はお母さんを抱き締める。

それからお母さんを撫でた。

暫くそうしてから私達は立ち上がる。

私はお母さんを見る。


「有難う。...本当に貴方は良い娘に育ったわね」

「...お母さんのお陰だよ」

「...私は何してないわ。...貴方を育てただけ」

「それを何かしたっていうんじゃないの?アハハ」


私はお母さんを見ながら笑みを浮かべる。

それからお母さんと一緒に和室から出てからそのままリビングに戻る。

お母さんは「...全て話すわ。何が起こったか」と切り出してくる。

私はごくりと喉を鳴らした。

そして覚悟して聞く事にした。



私は家を出る事にした。

というかゴミ屑の家に居ても私は何も変わらないと思ったから。

そう思いながら私は家に帰って来ると怒号が聞こえた。

それは...親父の声だった。


「はぁ?金がねぇだとコラァ!!!!!」


という感じに聞こえた。

私は「またか」と思いながら玄関を開ける。

するとモノが飛んできた。

親父は母親を怒鳴りつけていた。


「...」


私はそれをスルーしてから部屋に戻る。

それから私は日頃から纏めている荷物を見てからそのまま家を出ようとした時。

ドアが開いた。

そして私を見てくる。


「...何」

「どこ行くんだ。お前」

「見て分かる通り。家を出て行く」

「...そんな事をさせるって思うか?許さんぞ」

「...私は家を出て行く。間違いなく」


すると胸倉を掴まれた。

それから睨まれる。

私は「...離して」と呟いてからそのまま窓に手をかける。


そしてそのまま親父の手を女性が強姦から逃げる為の方法で締め上げて窓からそのまま脱走した。

まさか学校で教わった事がこんな役に立つとはな。

足元に靴を置いていたので上手くいった。


即座に電話が掛かってきた。

それは母親からだったがそのまま切る。

それから猛ダッシュでそのまま駅に逃げる。


行先は...姉の居る場所だ。

もうこんな場所には居れない。

絶望しか...無いのだから。


「もしもし」

『逃げれた?家』

「うん。逃げれた。...お姉ちゃんの家に行って良い?」

『勿論。...一緒に暮らそう。あんな屑どもの家じゃなくて』

「...お姉ちゃん...有難う」

『ゴメンね。生活を整えるので精いっぱいだったから。...一緒にようやっと暮らせるね』

「...うん」


そして私は着の身着のまま電車に乗って逃亡に近い逃走をした。

それから3駅先の姉の家に向かう。

ローファーが靴擦れを起こした。

だけど今はそんな痛みなんぞ...どうでも良い。

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