第7話 仲間
☆
あの日起こった事故の記憶はかなり脳内に残ってはいる。
電車事故にしてはあまりに悲惨な事故だった。
俺はその事もあり電車に乗るのが一時期、なかなか怖くはなった。
それぐらいヤバかったとは思う。
だけどまさかその事故に巻き込まれ姉を失ったのが坂本美里だとは思わなかった。
それも悲惨な感じで姉を失っている。
この事は恐らく彼女にとっては...最大にショックだったと思う。
が。
しかしこの事をアイツ。
遠島にとやかく言われる筋合いはないと思う。
そう考えながら俺は真夜中にスマホを弄る。
それから次第に眠たくなったのでその日はそのまま寝た。
☆
翌日の事だがインターフォンが鳴る音で目が覚めた。
それから俺は慌ててドアを開ける。
するとそこに美里が居た。
美里は俺を見ながら小さく手を振る。
「...さーくん」
「...ああ。...また来てくれたんだな」
「何か来ちゃいけない気がしたけど...だけどどうしても私。さーくんに会いたくて」
「...別に来たい時に来たら良いんじゃないか」
そう言いながら俺は目線を落として「ああ。すまない。寝間着姿だった」と頭を掻きながら室内を見てから「着替えるから」と言う。
すると美里は「あ。じゃあ私、家事をするよ」と笑顔になる。
それから室内に上がって来る。
「...さーくん」
「何だ」
「私...じゃ無くてお姉ちゃんが生き残った方が良かったかな。お母さんにも聞いたけど」
「...そんな事は決めれない。...そもそもお前が生き残ったのは神様の思し召しだと思う。...お前が生き残るのが運命だったんだ。...俺はお前が生き残ってくれて良かったと思う」
「アハハ。...さーくんは優しいね」
「優しいとかじゃなくて当たり前の事を言っている」
そして俺は着替える為に洗面所に着替えを持って行く。
制服を持って行く。
すると美里が「そういえば」と言う。
それから俺を見てくる。
「私、自分の学校から別の学校に転入します」
「え?何処にだ?」
「さーくんの通っている学校に」
「...は!?」
俺は驚愕しながら美里を見る。
美里はニコッとしながら「私、さーくんが好きだから」と笑顔になる。
俺は困惑しながら頬を掻いた。
それから盛大に溜息を吐く。
「ああ。もう好きにしてくれ」
「うん。好きにするよ。...だから一緒に通えるよ」
「...そうか」
「...」
「...お前は...その」
「何が言いたいかは分かる。私はかなり緊張してはいるから」
「見捨てた事の件か」
「そうだね。それに関連するね」と言いながら美里は俺を見る。
それから目線をずらした。
俺はその眼差しを見ながら溜息をまた吐く。
そして美里の髪の毛を思う存分にぐしゃぐしゃにする。
美里はか細い悲鳴を上げた。
「ふぁぁ」
「...大丈夫だ。俺の学校は...仲間達はみんないい奴らだから」
「...!...さーくん...」
「お前の事を歓迎するだろうよ」
「アハハ。だったら良いな」
そして俺は着替えてからそのまま美里と一緒に家を出る。
美里は何か包みを2つ持っていたが。
何だったんだろう。
そう思いながらも「聞かない方が良いか」と思って聞かなかった。
☆
「ものっっっっすごい可愛いじゃん?」
「いい加減にしろ。春香。驚いているだろ。美里が」
「うん?美里ちゃんってコイツと付き合っているの?」
「話を聞けよ」
目の前のボブの女子が興奮しまくっている。
茶色の髪をしている笑顔の絶えない陽キャさん。
糸島春香(いとしまはるか)、俺のクラスメイト。
兼。
俺の友人だ。
「あ、あの」
「うぬぅ!!!!!すっごい美少女だよね!!!!!」
「お前の事もあって美里が質問攻めに合ってないのは良いけどうっさいな」
「アンタは黙れ」
「お前が黙れ」
全くコイツ。
思いながら居ると美里は苦笑した。
すると更に丸眼鏡の男子が話し掛けてくる。
ぱっつんな感じで髪を切って着崩している。
東芝雄一(とうしばゆういち)。
春香の幼馴染だ。
兼。
俺の友人だ。
「まあまあ。春香。うっさい」
「雄一。隆一の方がうるさいでしょ?!私じゃなくて!」
「いずれにせよお前のせいで美里ちゃんがビビっている。それは見過ごせないだろ」
「え?!ビビってる!?」
「そうだ。ビビっているぞ」
そして雄一は苦笑いを浮かべる。
それから「な?」と美里を見る雄一。
美里はニコッとしながら「全然うるさくないです」と笑みを浮かべた。
雄一は「ほほう」とニコッとした。
「良い子じゃないか。お前の恋人...新しい恋人にふさわしいな。...前の奴がゴミクズだったしな」
「いや。オイ。恋人って...付き合う気は今は無い。...俺の事情知ってるだろ?」
「まあそれは置いて。まあ本当にめっぽうなカスだったよね」
「まあ確かにな。浮気はするし...それに美里を脅すし」
「...クソだな」
雄一は不愉快そうな顔をする。
俺はその姿を見ながら「ああ。だな」と告げた。
そして俺は「過去に殺人を犯したとかで、いちゃもんとかつけられたしな」と雄一を見る。
春香が「そんなの...事情は聞いたけどそれは殺人じゃ無くて仕方がないよ」と言う。
「美里ちゃんは何も悪くない」
「...ああ。そう言ってくれて良かったよ。俺がおかしいのかと思ったしな」
「違う。絶対に」
「そうだな。そう思う。春香」
そして俺は美里を見る。
2人も美里を見た。
美里は目を少しだけ潤ませて「有難う」と言いながら俺達を見ていた。
それから頭を下げてくる。
俺達は頷きあってから美里を見ていた。
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