第6話 to pray
☆
私は殺人では無いが殺人に近い事を犯した。
それは...自らの姉を焼き自らの手では無いが焼き殺した。
見捨てたのだ。
姉は生きていたが私は火の手が回る中。
生きる為にどうしようもなかったので見捨てた。
だけどその後のマスコミがウザかった。
それから私は罪悪感故。
押し潰れそうな感情と共に生きていた。
途中で引き籠りにもなった。
だけど私は生きてしまった...だから私は彼を支える義務がある。
私は最低な行為ばかりして生きてきた。
その分、私は周りに償いの気持ちを今はしたいと思っている。
そう思いながら私は日記をしたためる。
それからボールペンを置いた。
「...」
私には将来が全く見えない。
だけどどんな将来になろうとも私は...過去を反省し。
生きていかねばならない。
そして私は日記を書くのを止めてからそのまま窓から外を見る。
するとドアがノックされた。
「美里」
「...どうしたの。お母さん」
「お風呂に入ってくれないかしら。洗濯がしたいわ」
「あ。はい」
そして私はドアを開ける。
優しげな顔の母親がそこに居た。
私を見ながら笑みを浮かべている。
名前を坂本硯(さかもとすずり)という。
大切な家族だ。
「...お母さん」
「何?美里」
「...もう直ぐお姉ちゃんの5周忌だね」
「そうね。またお墓参りに行きましょう」
「...お母さん」
「何?」
「私で良かった?生きているのは」
つい何故かそんな言葉を聞いてしまった。
すると母親は「それはどういう意味?」と聞いてくる。
私はその言葉に目線を逸らして複雑な顔をする。
それから「私はお姉ちゃんを救ったら良かったかな。そして私が犠牲になれば良かったのかな」と言葉を発する。
「...そんな訳ないでしょう。...貴方達は愛娘よ。私の大切な。あの日に神様が貴方を生かした意味がきっと何かあるわ」
「確かにそうだけど。...お姉ちゃんは頭が良かった。ギフテッドだった。...私は愚かだよ。愚鈍だし」
「そんな事はないわ。...自分を卑下するのは止めなさい。もう5年も経つのよ」
そして母親は私を抱き締めてくる。
それから背中を優しく撫でてくれた。
「貴方は好きな人が居るのでしょう。だったら死ぬ訳にはいかないじゃない」と話してくる。
私はその言葉を受けながら溜息を吐く。
「そうだよね。だけどそう考えれないから」
「...美里。貴方の言いたい事は全て分かるわ。だけど...貴方が選ばれた。...だから私はどっちに転ぼうとも貴方の味方よ」
「...天才が死んで馬鹿が生き残る。...それは何だか許せなくて」
「...美里...」
私は涙を浮かべる。
するとお母さんは「大丈夫。落ち着いて」と言ってから撫でてきた。
私はその感触にまた涙が浮かぶ。
それから唇を噛んだ。
「...お姉ちゃんは元から好きな人が居た。...だからお姉ちゃんが生き残るべきだったって今でも思ってしまう」
「だけど貴方は同じ人を好きになった。...それはあの子も喜んでいるわ。きっと」
「...うん」
「美里。後で仏壇にお線香をあげましょう」
それからお母さんは私の涙を拭う。
そして頭を撫でてきた。
お母さんは...本当に優しい人だ。
私が愚鈍なのに全然「そんな事はないわ。私の娘よ」と言いながら周りに反応する。
「...お母さんの歴史ってどうなっているの?」
「私の歴史?そんなもの知ってどうなるの?...私は看護師として普通にあの人。...私の愛しい人に出会っただけよ。知ったって仕方がないわよ?」
「でも私はお母さんの事が知りたい。...素晴らしい人間だから」
「...私の弟が痰を吸引しないといけなかった障害児だったっていうのは知っているわね?」
「うん」
そしてお母さんは歩き出す。
それから階段を降りていると「私は弟を憎んでいた。...両親の愛情を弟に全て奪われている気がしてね」と言ってくるお母さん。
私は「おじさん...確か早くに亡くなったって」と聞いてみる。
するとお母さんは「20歳まで生きたわ」と答える。
「...その後に生まれたのが貴方達だった。そして美優を...美里を見て考えが変わったのよ。「ああそうか。これが愛情ってやつなんだ」ってね」
「...確か...おじさんって生まれた時に首にへその緒が巻き付いたんだよね?」
「そう。酸欠による...脳の障害だった」
「...」
「だから美里。...運命は変えようが無いけど...きっとそうなった以上、何かの運命は持って生まれているの」とお母さんはリビングのドアノブを捻る。
それから私達は中に入る。
そして私は「...」となって考え込む。
「...私は貴方が生きている事が何よりも嬉しいわ。...健康で過ごしているのも」
「...」
「誇りを貴方自身が大きな誇りを持ちなさい。貴方は...最高の愛娘。あの子も最高の愛娘だけどね」
「お母さん...」
「貴方がどうかなりそうならお姉ちゃんもそうだけど私が貴方を守るわ」
「有難う。お母さん」
それから私は笑みを浮かべてから洗面所で服を脱ぐ。
そしてお風呂に入った。
正直、お風呂に入るのが億劫だったが。
だけど...何か気分が晴れやかになったから入れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます