第4話 殺人行為


俺は決してアイツを許さない。

そう思いながら俺は怒り交じりで別れという判決を言い渡した。

それから今に至るのだが。

俺は怒りを覚えたままご飯を食べる。


すると美里が「おかわりする?」と聞いてきたので俺は「そうだな」と答える。

美里は「りょーかい」と言いながら俺から茶碗を受け取る。

それからニコニコしながら器にご飯をよそう。

そして俺に渡してくる時。


「ね」


と美里が言葉を発した。

それから俺をモジモジしながら見てくる。

俺はその様子に「?」と浮かべながら美里に向いた。

すると美里は「私...貴方の事がやっぱり好き」と言ってくる。

俺はその言葉に「...」となる。

そして美里を見る。


「...それでその。...お返事をいつか下さい」

「...そうだな。...今の俺は根性無しだし...まだ色々と整理がついてない」

「だね。...分かってる」


美里が居る事自体全く記憶に無いのでその点も考えると申し訳無いがその返事が出来ない。

思いながら俺は美里を見る。

そして俺達はご飯を食べあげてから食器を片して。

美里は俺に向いて来た。


「今日は...帰るね」

「...ああ」

「ありがとう。さーくん」

「...」


何もしてないんだが。

考えつつ美里を見ていると美里は「...色々と有難う」と言ってくる。

それから手を振ってから去って行った。

俺はその姿を見送りながら目線を逸らす。

そして考える。


「...美里は何者なのか」


そう呟きながら俺は部屋を見渡す。

部屋は律儀に片付けられており...美里が一生懸命片してくれた事を示している。

俺は片付けが苦手だ。

だから俺ではない。


「...困ったもんだな」


俺はそう言葉を発しながら後頭部を掻く。

それからライトノベルを取り出す。

そして音楽を聴きながら読み始めた。

正直これが俺の趣味だ。

音楽を聴きながらラノベを読むのが、だ。



私はさーくんの部屋を後にしてからマンションから出る。

すると先程のさーくんの元カノに絡まれた。

「貴方は何者なの?」という感じでだ。

私は迫って来るさーくんの元カノに「近付かないで」と言う。


「...あの人。...隆一に友人は居ない」

「...それは何故断言できるの?」

「だって...私は隆一を色々知っている」

「知っているの。...でも残念な結果になったね。貴方が全て悪い」

「...」


そう言いながら私はさーくんの元カノを見る。

さーくんの元カノは「...」となりながら私を見る。

私は強くそのさーくんの元カノを睨む。

さーくんの元カノは「...私は貴方を認めない」と言う。

何様かな?


「貴方にはあれこれ言う権利はないよ」

「...貴方は気に入らない。...隆一に合わない」

「そこらのストーカーより酷いね」

「...私がストーカーより酷い?そんな訳ない」

「いやいや。だってそうでしょ。...貴方の言動も行動。全てがおかしい」

「私は...隆一に嫌われても。...隆一を大切にする気持ちは変わらない。私はあくまで...」


何を言っているんだこの女。

ストーカーより酷い。

思いながら私はさーくんの元カノを見る。

さーくんの元カノは「...それに私は」と言う。


「...それに私は...貴方を隆一から遠ざけるまで邪魔する」

「...その根拠は」

「貴方は姉を事故に見せかけて殺したから。...その事を忘れたとは言わせない」

「...」


「そうでしょ。坂本美里」と言ってくるさーくんの元カノ。

そんな根拠のない情報がまさかコイツを駆り立てているとは思わなかった。

確かに私は...11歳の時に...。

電車事故に巻き込まれた時に姉を見捨てた。


いや。捨てざるを得なかった。

だけどそれで殺人になるだろうか。

根拠のない情報だ。

確かに当時はマスコミとかがその事で私の家にしつこく来たりしたけど。


「...電車事故の時に貴方は...自らの姉を殺した。...だったら貴方の事は認めない」

「貴女はそれで自らの悪事を上書きしている。逃げるな」

「逃げてないっ!!!!!」

「...」


立場が逆転したつもりかさーくんの元カノは嘲笑うかの様に私を見る。

あまりにも哀れだ。

私を見ながらこうして成り上がるヤツが。


「...私は...あくまで彼を守りたい」

「...」

「貴方は...その中でインシデントだ」

「...哀れだね。本当に」


そして私は肩を竦めて踵を返す。

それから帰宅する。

その際にもう一度踵を返した。

そうしてからさーくんの元カノを見る。


「...私は彼に近付くのを止めない。それは...私の使命であり。...私の姉の為でもあるから」


そう言い捨てながら私は帰宅する。

そして...胸元に入っているロケットペンダントを開ける。

2つの構造になっているそのペンダントのもう一つの領域。

そこには...私の姉の顔写真が入っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る