第3話 有罪


私は白髪のその子を知っている。

だけど今は良い。

そもそも1割しか関係が無い感じだから。

ならば私は全てを手にする為。

自らが自由気ままに行動してやる。


「エビチリ美味しい?」

「...驚いたな。料理も上手だとは」

「私は全部、花嫁修業と思って練習しました」

「...花嫁修業...」

「私、貴方の花嫁になりたいし」

「...あのなぁ」


そう言いながら私は笑みを浮かべる。

そして私は柔和になった。

さーくんは私を見ながら赤くなる。

それから目を逸らした。

私はその行動の1つ1つが愛おしく見える。


「...なあ」

「...うん?何?さーくん」

「...お前は...本当に何者だ」

「???...私?私はさーくんのお嫁さん候補」

「...」


さーくんは顎に手を添える。

それから「...」と悩みながら私をジッと見てきた。

私はその姿を見つつご飯を食べる。

するとインターフォンが鳴った。


「ん?」

「...?」


私達はインターフォンに近付く。

そして私は眉を顰めた。

女だった。


だけどその姿からして...いや違うか。

さーくんの冷めた感じを見るなりこの女は。


「...さーくん。まさかこれ」

「浮気された彼女だな」

「...殴って良い?」

「良い訳あるか。傷害罪だぞ」

「...だけど私は吐き気がする」

「それは分からんでもない」


そしてさーくんはゆっくりドアを開ける。

私はさーくんに奥に居る様に言われたので奥に居る。

それから様子を伺っていた。

話し声がする場所まで向かう。


「何の用事だ」

「え?何の用事って彼女が来たんだよ?」

「...すまないが。...帰ってくれるか」

「え?いや。何で?」

「...俺はお前を彼女と認識できない」

「...?」


小首を傾げている。

その姿が尚の事うざったかった。

さーくんを置いて浮気しておいてその感じは何だ?

そう思いながら。


「...別れよう。俺達」

「...え?い、いや。何でいきなり」

「お前は浮気しただろ。そして何故平然として居られる?」

「う、浮気して無いよ?」

「した。...それを俺は見た。...だからさよならだ」

「そ、そういう君も浮気しているじゃん!!!!!」

「...友人に上がってもらっているだけだ」

「女の子でしょ!だって良い香りがする!」


そして指を差すその女。

私の女性ものの靴を指差している。

「ありゃ」と思いながらさーくんを見る。

さーくんは冷めたまま「浮気じゃない。家に上がってもらっているが彼女は友人だ。だがお前は別の男とキスをした。ラブホに行ったな?それは明確な裏切り行動だ」とジッとその女を見る。


「ま、待って。違うよ!」

「何が違うのか文章にしたためてほしいものだな。帰ってくれ。お前は地獄に堕ちたら良い」

「ま、先ずはえ、エッチな事をしてない!」

「...」

「...あ、あくまでキスで奉仕しただけだから!セ、セックスはしてない!」

「お前はアホなのか?それでもう気持ち悪い」


そしてドアが閉められようとした時。

さーくんは違和感に気が付いた。

ドアが閉めれないという違和感に。

それはドアをその女が押さえていたからだった。


「往生際が過ぎる」

「待って!本当に待って。お願い。話を聞いて」

「お前とは話すものが何もない。すまないが」

「こんな別れ方は嫌だ...」

「子供かお前は」

「...」

「じゃあな」


それからドアが閉められる。

そして私に向いてくる。

「すまない。変なものを見せたな」と言いながらだ。

私は首を振る。


「...さーくん。天晴だよ」

「...天晴?」

「切り捨てるべきだよ。...あの女は」

「そうだな」


そうしているとさーくんのスマホが鳴った。

それからさーくんはイラッとした様に反応する。

だがその顔が驚きに染まる。

さーくんが画面を見せてくる。

(でも貴方は女子の友人は居ないでしょ!!!!?)と怒った様な感じの文章が綴られていた。


「...何処まで観察しているのか分からないけどこりゃキモいな」

「これ簡単に言うとストーカーだよね?」

「何で潔く俺を切り捨てないのか」

「...未練でもあるのかな」

「未練があってここまでするとなると警察に言っても良いのかな」

「でも相手から何もされてないよね」

「まあそれは確かにな」


そして考え込む私達。

警察に言っても取り扱ってもらえないと思う。

そもそもこれが...警察の出番かも分からないしな。

思いながら私は「ご飯が冷めちゃうね」と言いながら踵を返す。

すると定期入れを落とした。


「?...何かおとし...」

「待って!さーくん!見ちゃダメ!」

「...」


さーくんはその定期入れの写真を見た。

そして私を見てくる。

「待て。お前...この白髪の子と知り合いなのか?」と言う。


私はしどろもどろに目線を逸らした。

その写真は...所謂その白髪の子と。

私の...並んで撮った写真だったから、だ。

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