第3話 有罪
☆
私は白髪のその子を知っている。
だけど今は良い。
そもそも1割しか関係が無い感じだから。
ならば私は全てを手にする為。
自らが自由気ままに行動してやる。
「エビチリ美味しい?」
「...驚いたな。料理も上手だとは」
「私は全部、花嫁修業と思って練習しました」
「...花嫁修業...」
「私、貴方の花嫁になりたいし」
「...あのなぁ」
そう言いながら私は笑みを浮かべる。
そして私は柔和になった。
さーくんは私を見ながら赤くなる。
それから目を逸らした。
私はその行動の1つ1つが愛おしく見える。
「...なあ」
「...うん?何?さーくん」
「...お前は...本当に何者だ」
「???...私?私はさーくんのお嫁さん候補」
「...」
さーくんは顎に手を添える。
それから「...」と悩みながら私をジッと見てきた。
私はその姿を見つつご飯を食べる。
するとインターフォンが鳴った。
「ん?」
「...?」
私達はインターフォンに近付く。
そして私は眉を顰めた。
女だった。
だけどその姿からして...いや違うか。
さーくんの冷めた感じを見るなりこの女は。
「...さーくん。まさかこれ」
「浮気された彼女だな」
「...殴って良い?」
「良い訳あるか。傷害罪だぞ」
「...だけど私は吐き気がする」
「それは分からんでもない」
そしてさーくんはゆっくりドアを開ける。
私はさーくんに奥に居る様に言われたので奥に居る。
それから様子を伺っていた。
話し声がする場所まで向かう。
「何の用事だ」
「え?何の用事って彼女が来たんだよ?」
「...すまないが。...帰ってくれるか」
「え?いや。何で?」
「...俺はお前を彼女と認識できない」
「...?」
小首を傾げている。
その姿が尚の事うざったかった。
さーくんを置いて浮気しておいてその感じは何だ?
そう思いながら。
「...別れよう。俺達」
「...え?い、いや。何でいきなり」
「お前は浮気しただろ。そして何故平然として居られる?」
「う、浮気して無いよ?」
「した。...それを俺は見た。...だからさよならだ」
「そ、そういう君も浮気しているじゃん!!!!!」
「...友人に上がってもらっているだけだ」
「女の子でしょ!だって良い香りがする!」
そして指を差すその女。
私の女性ものの靴を指差している。
「ありゃ」と思いながらさーくんを見る。
さーくんは冷めたまま「浮気じゃない。家に上がってもらっているが彼女は友人だ。だがお前は別の男とキスをした。ラブホに行ったな?それは明確な裏切り行動だ」とジッとその女を見る。
「ま、待って。違うよ!」
「何が違うのか文章にしたためてほしいものだな。帰ってくれ。お前は地獄に堕ちたら良い」
「ま、先ずはえ、エッチな事をしてない!」
「...」
「...あ、あくまでキスで奉仕しただけだから!セ、セックスはしてない!」
「お前はアホなのか?それでもう気持ち悪い」
そしてドアが閉められようとした時。
さーくんは違和感に気が付いた。
ドアが閉めれないという違和感に。
それはドアをその女が押さえていたからだった。
「往生際が過ぎる」
「待って!本当に待って。お願い。話を聞いて」
「お前とは話すものが何もない。すまないが」
「こんな別れ方は嫌だ...」
「子供かお前は」
「...」
「じゃあな」
それからドアが閉められる。
そして私に向いてくる。
「すまない。変なものを見せたな」と言いながらだ。
私は首を振る。
「...さーくん。天晴だよ」
「...天晴?」
「切り捨てるべきだよ。...あの女は」
「そうだな」
そうしているとさーくんのスマホが鳴った。
それからさーくんはイラッとした様に反応する。
だがその顔が驚きに染まる。
さーくんが画面を見せてくる。
(でも貴方は女子の友人は居ないでしょ!!!!?)と怒った様な感じの文章が綴られていた。
「...何処まで観察しているのか分からないけどこりゃキモいな」
「これ簡単に言うとストーカーだよね?」
「何で潔く俺を切り捨てないのか」
「...未練でもあるのかな」
「未練があってここまでするとなると警察に言っても良いのかな」
「でも相手から何もされてないよね」
「まあそれは確かにな」
そして考え込む私達。
警察に言っても取り扱ってもらえないと思う。
そもそもこれが...警察の出番かも分からないしな。
思いながら私は「ご飯が冷めちゃうね」と言いながら踵を返す。
すると定期入れを落とした。
「?...何かおとし...」
「待って!さーくん!見ちゃダメ!」
「...」
さーくんはその定期入れの写真を見た。
そして私を見てくる。
「待て。お前...この白髪の子と知り合いなのか?」と言う。
私はしどろもどろに目線を逸らした。
その写真は...所謂その白髪の子と。
私の...並んで撮った写真だったから、だ。
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