第37話 山道
研究所がオープンした。
その瞬間、建物には人が殺到した。
マスコミ、ハンター、政府関係者もいる。
そりゃ、そうなるだろう。
世界初、ダンジョン仕様の“火薬”が産み出されたのだ。
今まで誰も成し遂げられなかった。
前人未踏の偉業だ。
マスコミはそう言って称賛する。
実はかなり前から山口さんの中で
研究の目処はたっていたが、
例のチーフに握りつぶされていたと言う。
本当に東野技研は何をもって彼をチーフに据えたのか。
俺には不思議で仕方がない。
「あんなでも、無能ではなかったっス。
あの黒いのだって、端的に言えば“人造モンスター”っス。
天才ではあったんっスけど、
自分以外は全部“下に”位置付けないと
気が済まないヤツだったんっス。
才能のありそうなヤツから引き抜いて、
自分の部下にして、脅して、従わせて、心をへし折る。
それを繰り返してるうちに、
研究が疎かになってたんっスよ。」
小田さんはそう言った。
せっかくの天才も
妬み嫉みはコントロールできなかったのか。
販売開始した火薬は早速大和桜が2グロス購入した。
しかも、鉛玉入りの強化版を2グロスだ。
「国家予算からぼったくって買いました。
いざときにこれがあるかないかで、
何もかも違いますし。
恨まれるとしても、僕らが働かない場合ですし。
働いている上で使えば、そう易々と文句は言いませんよ。
それでも文句言う人は、
どのみち買わなくても文句言う人なんで
無視しとくのが一番です。」
財前はそう言って笑っていた。
俺としては金猿に効果があったので、
大和桜以外のハンターにも使ってもらいたいが、
ポーション事件でハンター自体の数がかなり減っている。
こんな高価なものを揃えられるのはごくごく一部だ。
だが、売れている。
もう在庫がないそうだ。
ダンジョン仕様のものは、
“ダンジョンで取れた素材”を
“ダンジョンの中で加工する”必要がある。
そのため、
企業は定期的にダンジョンを貸しきってハンターを集め、
ダンジョンへ潜る。
素材を集めと製造をその期間内に行う。
うちは、ガーネットが構築した結界内で製造している。
“疑似ダンジョン”と研究員たちが呼んでいる地下室は、
サイクロプスの魔石を一つ丸々使って堅牢な空間にした。
「まさか、ここで加工してもダンジョン仕様になるとは、
私も想像してませんでした。」
ガーネットとしては、
爆発するような実験をしても壊れない部屋のつもりだったらしい。
今やいろんな素材をそこへ運び込み、
日々研究員が混ぜたり壊したりしている。
上に用意していた研究室にうっすらホコリが被っていた。
「普通の部屋で実験して、
ダンジョンで検証するのが本来の流れっス。
それが、直接ダンジョンで実験も製造も検証もできるなんて、
夢のようっス!」
寝てないな、この人。
目の下にはっきりとクマを作った小田さん。
彼女は32本のロボットアームでタコのように歩いているが、
かなりふらついている。
「大丈夫なの?
本当に大丈夫?」
さっきからずっとそれしか言わない黒川。
心配なら上で待てば良かったと思うが。
「……嫌。
絶対に嫌。
ついてく。」
とのことだ。
「それならもっと静かにしてください。
うちの研究員は頭がおかしいのばかりですけど、
信用できますから。」
「矛盾しかないよ、それ。」
「あたしらからすれば、
“頭がおかしい”は褒め言葉っス!
狂ってないとこんなことできないっス!」
「本当に大丈夫?!」
今日は黒川のスーツの試着をする。
デザインはまだだが、性能は保証できるとこのとだ。
「って、言うか。
言いたくないけど。
私の“スキル”まで考慮した装備ってことは、
いつの間に私のこと“鑑定”したの?
ネルちゃん? ガーネットちゃん?」
「貴女の仲間がアルジ様を鑑定したときです。」
ガーネットが黒川の横でそう話す。
本当はエンカウント時に鑑定していたが、
ガーネットに合わせよう。
「……速攻でやり返してたのね。
もしかして、
委員会と繋がってた人ばっかり攻撃したのは。」
「私が鑑定して、
アルジ様を誘導してそうしてましたよ。」
「“鑑定”って、魔法だとそこまでわかるの?」
「私は貴女の男性経験値と相手の名前も知ってます。」
「はぁ?!
プライバシー!」
「安心してください。
アルジ様以外に教えてません。」
「櫻葉さん!」
黒川が必死な顔で俺をにらんできた。
「覚えてませんよ、私は。」
「それはそれで、多いみたいでムカつく!
少ないからね?
同年代の平均より下だよ?
芸能界は爛れてないからね!?」
「どうしろと?」
これだから女性はよくわからない。
俺は興味がなかったので本当に覚えてないのだが、
黒川は納得しなかった。
「到着っス。
試着室がないんで、
そこのカーテンの中で着替えて欲しいっス。」
「すごっ。
インナーもある。
下着も?
至れり尽くせりだ。」
黒川のスキルは“韋駄天”。
数秒間だけとんでもない速度で動けるらしい。
それを駆使してボーガンを連射したり、
攻撃を回避したりしていたらしい。
「スキルは本来、“すごい早さで動ける”ものっス。
数秒間、にしてるのは黒川氏の都合っス。」
「あ、当たり前でしょ?!
連続で使用したら、服が燃えて裸になるから。」
「なんで、下着から全部燃えないようにしてるっス!」
「本当に?! すごい!」
「ただし、お兄さんのマントほどの固さは出なかったっス。
あたしたちの防具としては、納得してないっス。」
小田さんが、ない肩を落とす。
「いや、すごいからね。
大手の企業でも燃えないなんてできなかったから、
ドロップアイテムで服が出るのを待ってたくらい。」
「彼女たちはどっちかと言うと、
アーティストに近いので納得してない、は
不良品と同意義です。
企業としてみれば、
彼女たちは扱いきれないでしょう。
収益も利益も関係なく、
作りたいものを作り続けるなんて。
でも、彼女たちが納得したものは、至高の一品です。
アルジ様のスーツやマント。
火薬もそうです。
まさに金の卵を産むガチョウのエサは金ってことです。」
服を手にした黒川がピタリと止まる。
「……私、今、不良品渡されたの?」
「正式に仲間になってないので、当然では?
それに、不良品でもテストして
データが取れれば次に繋がりますから。」
「ガーネットちゃんって、すごいリアリストだね。」
黒川は寂しそうにため息をつく。
服を一通り持ってカーテンの中に消える黒川。
なんやかんや言うものの、
彼女なりに楽しみにしてるようだ。
しばらくして、黒川は赤っぽい服を着て出てきた。
「着心地はいいね。
すごくいい。
伸びるし、締め付けないし。
デザインはまだ仮なんだよね?」
デザインは首の付け根から手首、足首までぴったりとした赤いスーツ。
足にはロングブーツ、
下はスポーティーな黒いホットパンツ。
上半身は短めのポンチョのような黄色い服を着ている。
「色は染色できないものもあるっスけど。
デザインは中のスーツと下着以外は変えられるっス。
ただし、ウエディングドレスみたいな、
そもそも動きづらいデザインを要望されて、
動けないって、言われたらキレるっスよ?」
「さすがにそんなこと言わないよ。
でも、できるんだ、ウエディングドレス風。」
「できるっスよ、動きは悪いと思うっスけど。」
地下室はかなりの広さがある。
今は研究員たちが色々持ち込んで狭くなりつつあるが、
それでもスペースはかなりある。
「百メートルのトラックっス。
レーザーがスタートとゴールにあるっスから、
通過した時間を計るっス。
後、何周かして速度の変化と
服への負担を確認するっス。」
スタート地点に立った黒川は、
服の具合を確かめるように軽く跳ねたり、
ストレッチしている。
「スタートの合図はしないっス。
黒川氏のタイミングで問題ないっス。」
トラックを囲むようにドローンが数十機飛び回っている。
撮影用と熱や磁場の観測用らしい。
「服が燃えて裸になったら撮影止めてね?」
「あり得ないっス。
太陽や超新星爆発くらい起きないと燃えないっス。
そこまでの熱が出たら、地球壊れるっスよ。」
小田さんがすこしムカッとした顔をした。
黒川は一言余計だ。
「全速力は初めて出すから、
とりあえず二周すれば良いかな?」
「一応お伝えしますが、
貴女のスキルの代償はカロリーです。
アルジ様が常用されている
ゼリー飲料はいくつか用意してますから、
餓死しない程度に走ってください。」
ガーネットはボックスからゼリー飲料を取り出して伝える。
これは緒方さん謹製のハイカロリー仕様だ。
俺も戦闘後に必ず飲む。
「うわぁ、太りそー。
でも、仕方ない。
そう言うスキルだもんね。」
多分黒川の独り言だが、
先日の財前の体重の話を聞いた後なので、
素直に感心してしまう。
すごいストイックなのだろう。
「じゃ、行きまーす!
“韋駄天”!」
黒川の姿が消える。
小田さんの持っているモニタに秒数が表記された。
すでに何百周もしている。
「音速手前っスね。
でも、徐々にスピードが上がってるから、
初速から最速には至れないみたいっス。
あ、音速越えたっス。」
次の瞬間、黒川が息を切らせて止まった。
小田さんのが話し出して終わるより、すこし早かった。
トラックの床に走った跡だろう、焦げ跡が残っている。
空気が帯電しているのか、
バチバチというスパーク音が所々で鳴っていた。
「さーいこー!!!」
黒川がそう叫んだ。
「服が燃えない!
全速力って、こんな気持ちいーの?!
もー、たまんない!
全開の喜びってヤツ?!
なにもかもさらけ出した、解放感!!
こんなの他にないよ!!」
黒川のテンションがおかしい。
「みんな見た?!
見たよね?!
とっても……あれ?」
糸が切れたように倒れ込む黒川。
誰が見ても走りすぎだ。
俺たちはゼリー飲料を持って黒川に駆け寄り、
飲み口をその口へ突っ込んで中身を絞る。
「んー! ん!
あ! うまっ!
美味しい!
じゃなくて!
急に口につっこまないで?!」
「バカ言わないでください。
餓死寸前だったんですよ?
注射器で血管に投与する栄養剤も用意させてるので、
早く打ちましょう。」
「あ……。
そっか。ごめん。
調子に乗りました……。」
ガーネットにたしなまれて、
しおれる黒川。
初めて全開で走ったのだったのなら、
まぁ、仕方ないとも思える。
緒方さんたちも寄ってきて、
黒川に適切な処置を施していく。
「後で大和桜宛に請求しましょう。
栄養剤各種、合計一万七千八百円。」
「うわぁ、保険適用前の医療費じゃん……。
でも、それくらいするんだよね、医療費。」
「ある、アルジ様。
回復魔法もかけたんで、
その分はどう請求します?」
「ネル、ナイスです。
八億が妥当ですね。」
「ちょっ!
いや、むしろ安い?
どうなの?」
死んでない限り、
呪術を除くすべての身体的異状を回復する、と
聞くと八億は安い気もする。
「金にしてしまうと、むしろ、
払うから魔法をかけてくれ、と言われるから、
これは貸しにしておこうか。」
「あー……。
そうなるよねー……。」
黒川は頭を抱える。
貸しにしておけば、いざというとき頼れるだろう。
「櫻葉さんの貸しは、怖い。」
「そんな無理難題は言いませんよ。」
「そう言うことじゃなくて。」
頭で納得はしてるけど、
府に落ちてない顔をしている黒川。
不安なのはわかるが、俺のことをどう見てるんだか。
大きなため息をつく彼女を見て、
俺がため息をつきたくなった。
「思ってた通りっス。
このスキル、
“早く走れる”なんて、生易しくないっス。
本当に単純にその速度で動けるなら、
動いてる間の体はお兄さんより凄い筋力とタフネスに
なるはずっス。
でも、腕力はそこまで上がらないっス。」
小田さんがパソコンを操作しながら解説を始めた。
「そうなんだ。
全然力は変わらないんだ。
だから、ホントに走るだけ、みたいな。
攻撃にはどうしても使えなくて。」
「それも間違いっス。
あーた、“時空を歪めてる”っス。」
「……え?」
想像より凄いことがわかった。
なんでポーション事件では走らなかったか。
いや、走ってたらもっと混乱していたのかも知れない。
「“自分の時間を倍速にする”、もしくは、
“周囲の時間経過を何分の一にする”。
あるいはその両方をして、音速を越えてるっス。
だから、行動の後ソニックブームが起きないんっス。
だって、あーたは普通に走っただけっスからね。
データどうっスか?」
「イエァ!
磁気反応、磁場構成、重力も歪んで、
シュバルツシルトだ。
YO?
反物質反応?!」
電脳開発部の呉羽さんが叫ぶ。
よくわからないが、ヤバイらしい。
「端的に言えば走ってる間、
あーたはブラックホールになってるっス。」
「えぇ!?」
黒川の顔色が悪くなって行く。
「あーたはスキル発動中音も光も飲み込んで、
完全に孤立状態っス。
空気中の粒子に触れて起きる摩擦で、
とんでもない電力を帯電して。
重力の奔流の真ん中にいる意思がある最悪の天体っス。
規模がマイクロだから、周りに被害はないっスけど。
あんまり長時間走ると歪みが大きくなって、
地球消し飛ぶっス。」
「ぐ、具体的にどれくらい走るとダメなの?」
「わからないっス。
でも、あーたの身体が軽くなるとヤバイっス。
近くの大きな物質から取り込むのが
ブラックホールの性質っス。
あーたの身体がふわっ、としたら、
真っ先に地球が飲み込まれるっス。
その瞬間世界滅亡っス!」
黒川の顔がみるみる青ざめる。
「あーた、魔王なんか目じゃねぇーっス。
でも、攻撃手段が世界滅亡ってーのは、
さすがにいただげないっスねぇ。」
「あたっ! 当たり前でしょ!?」
「うるさいっス。
声が大きいっスよ。
全員! 集合っスー!
スキルで電気作れる人がいたっスよー!」
小田さんのその一言で、
研究員全員が作業を止めて走り出した。
あっという間に全員が黒川の周りに集まった。
「電気だって!」
「おいおい!
最高じゃねぇか!」
「あれ、作ってたよな?」
「雷の魔法の開発より先に、
スキルで見つかったか。
悔しい気もするが……。」
「ブラックホールが、
沸かすホールさ!」
「あれ持ってくるっスー!」
この前の金猿の末路を見ていた黒川は怯えて叫ぶ。
「助けてー!」
「まぁ、とって食われないと思いますよ?」
「が、ガーネットちゃん!
助けて!」
黒川を無視して研究員たちは色々持ち寄って
抵抗する黒川に群がって着せていく。
「バルドリックは絶対外さないでくださいっス。
それ、お兄さんのグローブと同じで、
その武器の反動とか衝撃を逃がすためのものっス。」
「これ、そんな名前なの?
マントじゃないの?」
俺から黒川が見えないが、
揉みくちゃにされてるだけじゃないらしい。
「右手をここにつけるとチャージ。
左手のここにトリガーがあるし。
右手を離すとトリガーは引けねぇ。
左手を前に突き出しゃ、イケルぜ。
ヘブンへ!」
「なにこれ、なにこれ?!」
「連続使用は四発だ!
聞いてるか?!
四発以上はロックされて打てねぇ!」
「少なくない?」
「その一撃は我らが主のワンパンに匹敵する。
汝、我らが主を愚弄するか?」
「嘘?!
そんなすごいの!?」
「でも、学校でオオムカデぶちのめしてたときの威力っス。」
「十分だよ!」
代わる代わる、というか、
話したいことを一方的に話しているだけの研究員たちと
それ一つ一つに対応する黒川。
「君はどうなんだ?
これは僕らの夢なんだ!
君がどう思っていても、
どう感じていても、僕らの夢なんだ!」
「ど、どうって……言われても。」
「四発打った後のクールタイムは三十秒。
もしかしたら、時間の加速でそれも短くなるかもっス。」
「バルドリックが反動を
背中側にバックファイアとして噴出させて逃がします。
でも、逃げ切れない分は
櫻葉さんのグローブと同様に
バルドリック自体を端から焦がして逃がします。」
「ごめん、貴女の声初めて聞いたかも。」
緒方さんの声を聞いて驚く黒川。
研究員たちが離れると、
そこには大きな黒い箱をガントレットのように
左腕に着けた黒川がいた。
左の肩だけに長いマントのような、
カーテンのような白い布を何枚か重ねて羽織り。
黒いベルトが黒い箱から伸びて身体に巻かれている。
「レールガンっス。」
「私、それ知ってる!
空母とか潜水艦に積んでる大きな大砲!」
「それの小型化に!
成功したんだ! やったー!」
「弱点は電力をダンジョン仕様にできなかったことだ。
我らが魔術開発部が、
雷の魔法を用意する予定だったのだが。
ここは汝に譲ろう。」
「でもよ!
弾もダンジョン仕様では用意できなかったんだ。
だからよ!
とびきり頑丈な金棒を着けたんだぜ!」
「じゃぁ、レールガンじゃないじゃん。」
「そーっス。
それは、レールガンのパイルバンカーっス。」
俺には黒い長方形の箱に
ベルトがグルグルに巻かれているように見えるが、
皆の研究が詰まっているらしい。
「スキルを発動して、
すこし走ったら帯電するはずっス。
その状態で左腕を伸ばして、
右手をここにつけるとサーキット回路ができるはずっス。
その電力を使って、釘を凄い早さで打ち込むっス。
射程距離は左こぶしから十センチから五十センチ。
標的に近づけ過ぎてもダメっス。
十センチ程度離して打ち込むっス。
トリガーを引いたらすぐ打ち込まれるっスよ。」
またドローンか飛び交い、
録画や情報の記録を始める。
黒川は、大きく息を吸って吐いた。
「的は至急で用意したあの金属の塊っス。
打ち込んで傷が付けば御の字じゃないっスかね。
威力ありすぎて、
反応とか衝撃でブレてちゃんと攻撃にならない可能性も
あるっスから。」
「どいうこと?」
「ちゃんと当てるのに訓練が必要です。」
「緒方さん、だっけ。
ごめんって。
そんな近くで話さなくても聞こえてます。」
キスする距離で話す緒方さんに怯む黒川。
初めて声を聞いた、と
いわれたのがよほど嫌だったようだ。
「じゃ、試します!
試しますから、離れて!」
黒川は緒方さんを押し退けて、的に駆け寄った。
「行きます!
“韋駄天”!」
次の瞬間、爆音と閃光。
ソニックブームの破裂音が響いた。
タイヤのようになにかが俺の足元に転がってきた、
と思ったら黒川だった。
「……強すぎるよ!」
地面に大の字に寝転んだ黒川が叫ぶ。
俺たちは的を確認すると、
かすっていたようで傷はついていた。
「当たらないよ!
こんなん、オーバーキルじゃん!」
「バルドリックは正常に作動したみたいです。」
「あー、端っこちょっと焦げてるっス。」
「ふぅー!
データ、送るぜ!」
「やったー!
成功したんだ!」
「オラ!
原物見せな!
どれくれぇ磨耗したか見るぞ!」
「口惜しい。だが、見事。」
研究員たちが大喜びしながら、また黒川に群がる。
「待って!
話、聞いて?!
ねぇ!
ちょー!!」
黒川の悲鳴だけが響いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます