閑話“どうこく”

 帰ってきた父さんと母さん。

二人の雰囲気は柔らかい。

櫻葉たちはどうやら無事のようだ。


「ただいま。」


 俺はこの二日、まともに寝れてない。

目の下のくまが酷いが、服を着替えて居住いをただす。

玄関に座り込み、土下座して二人に頼む。


「俺を鍛えてください。

二人のように、櫻葉と戦えるようになりたいです。」


 二人は玄関先で顔を見合わせた。

そして、二人は笑いだす。


「俺は本気です。」

「いや、冗談じゃないのは、わかってるよ。

なんか、頼られたのが嬉しくてね。」

「そうね。

健治は昔から、大抵のことはそつなくこなしちゃうから。

今まで私たちに頼ることが少なかったから。

ふふふ……。とっても嬉しいわ。」


 俺は土下座のまま二人に抱き締められた。


「とりあえず、寝なさい。

話はそれからだ。」

「ふふっ。

久しぶりに子守唄唄ってあげましょうか?」


 俺は涙が止まらなくなった。

でも、子守唄は流石に断った。

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