閑話“窮地”
「君には期待しているんだ。
だが、社の財産である研究資料を勝手に廃棄したのは、
いただけない。」
「ですがっ!
手順はちゃんと社のものにそって、
キチンと廃棄いたしました。
漏洩はありません。
付け加えるなら、あんなもの資料と呼べません!」
「だから、と言っても廃棄したせいで例のスーツの情報が
小田さんの頭の中にしかないのは大問題だよ。」
「そ、それはっ……。」
「君にあのスーツと同じかそれ以上のものが作れるなら、
良いのだがね。」
「もっと良いものが、用意できます!」
「それが彼の要望と一致しなければ、
意味がないんだよ。」
「……っ。」
「この前見せてくれたフルプレートのアーマーは、
とても良いものだと思うよ。
だが、ユーザーが求めていない。
私は元々営業だったから言うが、
客が求めていないものを売るのは、
営業とは言わない。
押し売りや詐偽だ。」
「……。」
「君もチーフになるくらいなら、
言わなくてもわかるだろう?
君が作りたいものと、
社が受注したものが一致しないこともある。
研究費用を会社が出している限り、
受注にしたがってもらうからね。」
「……はい。」
……。
「俺は、認めない。
絶対にあんな、ママゴトは認めない……!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます