第4話 何度目かのドン引き
「……本当にちゃんと聞くの?」
「聞きます。だから説明の続きをお願いします」
「わかった……けど条件があるわ、奏水は説明が終わるまで口を開かないことそれと正座でいること、この条件が飲めるのならいいわよ」
奏水は提示された条件を聞き絶望した、がここで口答えをして説明をされなくなるのは困るので頷きながら正座を始めた。
「よろしい、それじゃあさっきの続きから今から奏水が転生する世界には大陸が5つあるの、1つ目が主に人間がいる西の大陸、2つ目が主に魔族たちのいる東の大陸、3つ目がエルフとドワーフがいる北の大陸、4つ目が獣人たちのいる南の大陸、5つ目がこの世の地獄と言われている4つの大陸の中央に位置している中央大陸、以上で説明を終わるけど、何か質問はある? 勿論さっきみたいな質問をしたらどうなるかは、分かるよね?」
そう言ったシュリカの顔を見て目が笑っていないのに殺意を感じ、ブンブンブンっと凄い勢いで首を縦に振った奏水は今度こそちゃんとした質問をしようと口を開いた。
「じゃ、じゃあ質問します。人間と魔族がいるなら勇者と魔王はいるの?」
「勿論いるけど戦争とかはしてないわよ、まあしてないのではなく出来ない、が正解なんだけど」
「へぇーそうなんだ、でもなんで?」
「ほら、さっき説明で登場した中央大陸があるからよ」
「この世の地獄って言ってたところだよな。何がそんなにやばいの?」
「勇者や魔王と同じぐらいのレベルの奴等がモブ湧きしてる」
「何そのカオス絶対行きたくないんだけど」
「そんなあなたに朗報です」
シュリカが邪悪な笑みを浮かべてそんなことを奏水に言ってきた。
「どの大陸に転生するかなんだけど、勿論中央大陸も選択肢に入っているから」
全くと言っていいほど朗報という言葉からかけ離れたことをシュリカは奏水に言った。
「転生した途端に死ぬような場所を選択肢に入れるな! 今すぐ外せぇええ!」
「その反応を私は待っていたぁああ! 中央大陸がルーレットで当たった際には……本当にやばいから流石に同情するわ」
シュリカの笑顔が急に消えガチめなトーンで同情すると言われマジで中央大陸だけにはならないでくれと心の中で祈る奏水だった。
「じゃあ説明は終わったから早速ルーレットを回してもらうわ」
「中央大陸だけは嫌だ、中央大陸だけは嫌だ、中央大陸だ——」
「いつまで言ってんのよ。ほら、早く回しなさい、回した瞬間に転生が開始されるから気づいたときにはルーレットで決まった大陸よ」
「あのさあ最後にこれだけは聞いておかないといけないことがあったから聞いていい?」
「何よ?」
「転生したらまた赤ちゃんから始まるの?」
「安心しなさい、肉体が吸血鬼になって転移するような感じだから、赤ちゃんから始まるなんてことはないわよ」
「え、じゃあ俺親いない感じ?」
「そうなるわね」
「えーじゃあシュリカが実質俺の親か」
「……えっ怖」
「んじゃ行ってくるね。ママ」
「うん、いってらっしゃいとはならないわよ、馬鹿じゃないの?」
(チッ駄目かこうやってシュリカが母性本能にでも目覚めて中央大陸への選択肢を無くしてくれればと思ったのに)
「本当に馬鹿だったわね、まあそれは置いといて早く回しなさい」
「わかったよママ、じゃあね」
そんなことを言いながら奏水はルーレットを回した。
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