第3話 性格が手遅れな二人

 俺は今、非常に気分が落ちている。理由は勿論ガラポンの結果だ。


「スキル用のガラポンの結果を見た後から急に気分が落ちたわね。上級以上のスキルしか当たらないのにどんなスキルを引いたらそうなるの? あっ、もしかして回復系のスキルが当たった? それならそうと早く教えなさいよ〜全力で笑ってあげるから」


 やっぱり性格が終わってるよシュリカは、本当に元女神だったのか? いや、こんな性格をしてたら女神じゃなくなるのも当然か。


「俺が当てたスキルの名前は代償魔法でしたっ。回復系のスキルじゃなくてごめんね。あと、どういったスキルなのかも説明してくれ」

「回復系じゃなかったのかぁ残念だなぁ〜。えっとそれで奏水かなみが当てた代償魔法についてなんだけど文字通り何かを代償にして力を得る的なスキルとなっております」

「残念がるなよ。それで、その何かって例えば?」

「そうねー例えば睦が当てた吸血鬼だと自分の腕とかを代償にしたりするとか? どうせ魔力があるうちは、また再生することが出来るんだし」

「そういうパターンか、絶対痛いやつじゃんこれ、ちなみに自分の体とかじゃなくても大丈夫だったりする?」

「大丈夫じゃないわね、基本的には代償とするものは自分の体とかだけだから。話は変わるけど血液とかよりも腕、とか脚の方が得られるものは大きかったりするものよ」


 なるほど、コストに比例して得られる力も大きくなると、眼球の方が腕とかよりもコストは高いのかな?


「よーし、種族もスキルも決まったことだし次は睦が転生する世界について教えようかしら」

「それが終わったら俺はいよいよ転生出来るということか」

「そういうことよ、いやーここまで長かったのがようやく終わるー、本当疲れたわー」

「おい、最後まで真面目にやれ」

「えーだってもう手遅れじゃない?」

「それはそうだけど」


「はいはい、それじゃあ説明を始めるわよ」

「お願いします」

 大きなあくびをしながらシュリカは説明を始めた。

「まず睦が行く世界の人口の約半分が人間で次に多いいのが獣人、まあ獣人の中にもいろいろ種類はあるのだけれど、それで次が魔族、吸血鬼とかがいるわね、そしてエルフとドワーフがいますよ、とここまでで何か聞きたいことはある?」

「あるよー結構あるー、獣人って猫耳とかもいるよねっ! つかいないと困るんだけど!」

「急にどうしたよ、まあ猫耳もいるけど」

「ッシャアァー」


 勝った心の中でそう言いながら睦、奏水はガッツポーズをとった。目の前にいるシュリカが手で耳を塞ぎながら軽く引いているがノープロブレム。


「ありがとうシュリカ。それでさぁ他にも聞きたいことがあるんだけど……エルフってどんな感じ?」

「あっ、これダメなやつだなんでこいつを転生させようと思ったんだろ、私」

「ねぇねぇエルフってどんな感じぃやっぱ耳は長ぃ? ねぇね——」

「うるせぇよ、なんで急にそんなことになったの? もう奏水の頭の中は獣人とエルフしかないの?」

「そんなことないよ! 魔族にも興味はあるからね!」

「……もういいや、お前からの質問は今後聞かなかったことにするから、もう説明が終わるまで黙っておいて」


 お前呼びになった時点、でシュリカがガチでキレているのだろうと察した奏水はすぐに口を閉じるという選択をした。


「もう、私疲れたからあとは説明を省いて転生する場所を決めるだけにしていいよね?」

「すみませんでしたぁ! なのでお願いします。説明が終わるまでちゃんと聞くので説明を続けてください」


 そう言われ即座に謝り土下座をした奏水の迫力にシュリカは、また少し引いた。






 

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