魔法の先生
あれから数日後。ソヴァール家屋敷に客人がやってきた。
客人って久しぶりなんじゃないかな?父はなかなか人を呼ぶことは無くて最後に呼んだのも弟のシュルクが生まれた時にパーティーを開いたくらいじゃないかな?
そういえばあのパーティーでの父を思い出すと少しだけ笑っちゃうなぁ
私は2年前にあったパーティーの光景を思い出す。
私が思い出した光景にはパーティー会場に用意されたお立ち台の上に乗る父と父に抱えられたシュルク(赤ん坊)の姿。
その時に父はこう語っていたっけ?
「我がソヴァール家にシュルクを招き入れられたことに私はとても幸福感を得ている。この子はいずれソヴァール家の者としてこの国を守る
その後も父はシュルクを抱えながらシュルクについてずっと語っていた。
パーティーに参加していた客人達は父の話を聞いていたがとにかく父はとても話が長かった。
いつもだったらそんなに長い話はしないのだが、それだけシュルクが生まれたことが嬉しいのだろう。そのことを分かっている客人達は父の話を聞いていたが1人だけは我慢出来ずに声を出し始めた。
声を出した張本人、それはシュルクだった。シュルクは父の話を間近で聞いていたので眠れる訳も無く、最初は眠っていたが父の話の途中で起きて泣き始めてしまったのだ。
そんなシュルクに父は泣き止んでもらおうとなんとかあやすがシュルクはなかなか泣き止んでくれない。
なかなか泣き止まないシュルクに父はどうしようと考え、そしてとある案を思いついたそうだ。
「シュルクーこっちを見るんだ」
そう言って父がやったのはとんでもない変顔であった。
目は寄り目にして口はタコのようにしながらほっぺはハムスターが頬袋をパンパンにしたみたいに膨らませ、顎は左右に動かしていた。
そんな父の顔を見てついつい私は吹き出してしまい私が吹き出したことを原因にパーティーにいたほとんどの客人達が釣られて吹き出してしまった。
そんなことを気づきもしないまま父はシュルクが落ち着くまで変顔をしようとするがそれを見兼ねた母が父からシュルクを奪い取ってシュルクを抱くことでシュルクは泣き止むという話があった。
この話を父の前ですると父は未だに恥ずかしそうにするのがまた面白いんだよねぇ
そう言えばこの話を思い出した理由の客人が今日屋敷に来ているんだ。特に呼ばれている訳では無いけど挨拶だけはしに行った方がいいのかな?
そう思いながら部屋のベットでのんびりと寛いでいると部屋の外から4回ノック音が聞こえる。
私は「入って」と言いながらベットから起き上がると部屋に執事のセバスが入ってきた。
私が「どうしたの?」と聞くとセバスは
「お父上様が応接間に来て欲しいとお呼びです」
それだけ言うとセバスは部屋から離れて次はメイド達が部屋にやってくる。
メイド達は「お召し物を変えさせて頂きます」と言うとすぐさま私の着ていた福を脱がし、持ってきた服に着替えさせた。その速さなんと1分弱。何とも手際のいいメイド達だ。
着替え終わり、身なりを整えられると外に出る。外にはセバスが待っており、セバスは私が出たのを確認すると「ご案内致します」と言って廊下を歩き始めた。
それにしても応接間ってことは客人が居るってことだよね?
もし仮に客人が居ないのなら書斎に通すはずだし。
私を呼ぶってことは私に対しての客人なんだろうけど誰なんだろう?
私ってなんだかんだ家以外の知り合いって全く居ないから誰なのか分からないや
なんて考えながら私はセバスの後ろについて応接間に向かう。
応接間に着くとセバスが応接間の扉に4回ノックをし、「ノア様をお連れしました」と言って扉を開いた。
扉を開いたセバスは私に道を譲って入るよう促すので私は応接間の中に入る。
応接間の中に入ると中には2人。1人は私の父で右側に座っている。
父は私が入ってくると私に笑顔を向けてこちらに来るように促す。そんな姿にイケメンオーラが出ており、私は一瞬目をクラっとさせるがすぐに元通りになり父の元へと向かう。
父の元に向かうと父は父の反対側にいた人に対して挨拶をするように言う。
私が「初めまして。ノア・ソヴァールです」と挨拶すると目の前のフードを深く被っていた人物は私のことを色んな角度から観察する。
私の周りをぴょこぴょこと跳ねながら観察する人物は突然私のことを抱き抱えると父に「持って帰っていいですか?」と聞いた。
当然父は「もちろんダメに決まっているだろう」と言って力ずくに私をフードを被っている人から奪い返した。
それにしてもさっき声聞いたけどこの人もしかして女性?
私がそう考えていると目の前にいた人はフードを取ってその中の顔が見える。
フードの中にいたのはなんと茶髪で緑っぽい瞳をしているまだ20になっていないんじゃないかな?と言っためちゃくちゃ綺麗な人がフードの中にいた。
てっきりフードを被っているってことはそこそこ年齢がいっているのかも?と思っていた私だったがフードの中を見たら物凄く綺麗な人がいたのだ。
そんな彼女に私が見とれていると父が話し出す。
「この人はシエラ・グランアースさんだ。若くて凄く変な性格をしているが実力があるのは確かだ」
シエラさんかぁ、こんな綺麗な人と知り合えるなんて私感激だよ!
私はシエラさんのところに行く為に父の元を抜け出す。
父の元を抜け出した私はシエラさんの元に再び近付く。
そんな私を見たシエラさんはにやりと笑って私のことを抱き抱える。
「やっぱりこの子貰っていきますね!任せてくださいこの子は私が大切に育て上げますから!」
「だからやるわけないだろ!ノアもこっちに戻っておいで」
私は父にこっちに戻るように言われるがシエラさんの元を離れない。まあだって私はイケメンと綺麗な女性を選ぶとしたら綺麗な女性を選ぶし。
そんな私を見て父はこの世の絶望を表したかのような表情をする。
そしてその場でうずくまってしまった。少し可哀想なことしちゃったかな?
そう思いながらも私は父を放置してシエラさんを見る。
あれ?そう言えばシエラさんってなんだか母に似ているような気が?
「あら?もしかして分かったかしら?私の姉はあなたの母のラーナ・ソヴァールよ。そこに倒れているあなたの父、パトリさんの義妹にもなるわね」
なんと!こんなにも綺麗な人と私は血縁上の知り合いということになるのか!
何ともこれは幸せなことなんだぁ
私は綺麗な人と血縁上の知り合いだと知れてふにゃふにゃになってしまう。
そんな私をよしよしするシエラさん。
あれ?そう言えばなんでシエラさんがここに来たんだ?
私はシエラさんにそのことを聞いてみる。するとシエラさんが
「そうだ忘れてたわ。これからあなたの魔法の先生になる為に呼ばれたのよ。これからよろしくね」
え!ほんとに!私ちょー嬉しい!
こんな綺麗な先生に魔法を教えて貰えるとか物凄く嬉しいなぁ
私はシエラさんに「よろしくお願いします!」と言って今日のところは顔合わせということでシエラさんは帰って行った。
その後私はシエラさんに魔法を教えて貰えることとなった幸福感を胸に持ちながら自分の部屋へと戻るのだった。
そう言えば何か忘れているような気もするけどまあ大丈夫かな?
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