異世界転生したら転生先が崩壊寸前の世界だった件

@tomonomicya

異世界転生編

プロローグ



 みんなは異世界転生と聞いたらどんなことを思い浮かぶだろうか?

 私は神様にチート能力とかを貰って異世界で無双する!だったり突然森の中に放り出されたり、なんなら人間では無い姿で転生することも考えられる。

 他にも沢山の可能性が考えられるが今はそのことを忘れて私の話をしたいと思う。


 私は5歳長女の伯爵令嬢だ。

 家族は私の他に父と母、それに弟と屋敷に勤めている人達全員が家族と言えるだろう。


 さて、先程なぜ私が異世界転生の話をしたのか。それは私が地球の日本からやってきた転生者だからだ。


 私の日本での名前は神宮寺華蓮。自分でもちょっと気に入っている名前だ。

 そして私が転生した理由はトラックに轢かれそうな男の子を危機一髪で救ったけどそのまま私はトラックに轢かれて死んでしまったことだ。

 死んでしまった私はその後、神様と出会い、神様から地球には戻れないけど異世界にだったら記憶を持って転生させてくれると言われたのだ。

 最初は凄く迷ったのだが、せっかくなので今後輪廻転生を繰り返してもなかなか無いであろう異世界転生をしてみることにしたのだ。


 それから私はこのソヴァール伯爵家の長女、ノア・ソヴァールとして5年間この異世界で過ごしてきたのだ。

 最初こそ夢にまで見た事のある異世界にわくわくしてはしゃいでいたのだが、さすがにもう5年も経っているのでだいぶ落ち着いてきた。

 それに今の私はお姉ちゃんでもある。3つ下の弟であるシュルクの前でかっこ悪いお姉ちゃんを見せるわけにはいかないのだ。


 それにしてもシュルクは物凄くかわいい弟なんだ。

 私は日本で兄弟が居ない一人っ子で、兄弟がいるのって面倒くさそうなんて思っていたんだけど、いざ始めて出来た弟を見た瞬間私の心は射抜かれてしまったわ。

 まずは愛らしいこの顔立ち。目がくりくりで鼻も綺麗。更にはこのぷにぷにしたほっぺた。このほっぺたを触っている時がこの世で1番の幸福を感じてしまうかもしれないわ。そのくらいこのほっぺたには影響力がある。


 おっと、ついつい話が逸れてしまっていたわ。

 私は話を戻す為に1度咳払いをする。急に私が咳払いした事に私が抱いていたシュルクは不思議そうにこちらを見てくるが構っていたらキリがなくなるので一旦シュルクの頭を撫でるだけにしておく。


 えっと確かシュルクが生まれた後の話からだったわよね。

 シュルクが生まれてから今に至るまでの2年間。私は特に礼儀作法と歴史、剣術について学んだわね。

 礼儀作法は母やメイド達から。歴史などの勉学については執事のセバスから剣術については父や屋敷の騎士達から学んだわ。


 それからセバスにはちょこっとだけ魔法についても学んだわね。

 と言ってもセバスも魔法を使える訳では無いみたいだから魔法とはどんなものかについて教えてもらっただけなんだけどね。

 魔法とは魔力を使って起こす現象のことを指している。魔法を使う方法は自分の魔力か主に精霊と呼ばれる魔力生命体の力を借りるかするみたいだ。

 詳しくはセバスも分からないので魔法を使える人に聞いてくれとの事だった。


 でも今の私に魔法が使える人の伝は無いしどうしようかなぁ

 私がそう思っていると後ろから声をかけられる。


「ノア、ここに居たのか」


 後ろから少し低めのイケメンボイスを出す青年。私の父だ。

 日本であれば声よし顔よしスタイルよしの三拍子が揃っているため成功間違い無しの存在。それに加えて父は剣術の達人。

 よく考えたら私の父って凄い人なのかも?

 母もいい男を捕まえたなぁ、なんて私が思っていると父は私に聞いてくる。


「セバスから聞いたのだがノアは魔法を使いたいのか?剣術さえあればまだいいと思うのだがノアは魔法を使いたいのか?」


 そんなことを父は私に聞いてくる。

 そうだ、父は物凄く剣術オタクで剣術バカなんだった。

 母から聞いた話だと勉学もかなり出来て更には強くてイケメンと言うことだから学生の頃モテにモテまくったらしいが、この剣術バカな性格でどうやら母以外の女性に振られてしまったらしい。

 いい男だけどなんとも残念な父親だ


 そんな剣術バカの父が私に魔法を使いたいか聞いてくる。もちろん私の答えは決まっていて


「使いたいです!ぜひ今すぐにでも!」


 当然だ。異世界に来て魔法があると聞いたらどうするか。

 それは当然魔法を使えるようになると答える人が99%だろう。異論は認める。

 なので私は元気よくなるべく早く教わりたい旨を父に伝える。

 それを聞いた父は少し悲しそうな目をしていたが「魔法使いの教師を呼んでおく」と言ってとぼとぼと屋敷に戻って行った。

 なんだかその後ろ姿を見て可哀想だと思うことは決して無く、私は異世界転生して5年、ようやく教えて貰える魔法に期待を胸に魔法使いの先生を待つのだった。

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