第3話 謎の女
「やっくーん、何やってんの?」
「み、見れば分かるだろ……掃除だよ」
「掃除当番? そんなのサボればいいのにー」
「だ、ダメに決まってるっ」
「そうかなー?」
急に現れたと思ったら、やけに仲良さそうに話す女子。
おかしい。
アタシの知る限りでは進藤くんに友達はいないはず。
しかも女友達……? もしや彼女……?
アタシが気になってジッと見つめていると、その女子が急にアタシの方を見て来た。
「ああっ、真田妃依ちゃんじゃん! やっくんのクラスメイトなんだっけ? やっばー!」
アタシよりもギャルっぽい口調の女子は、アタシの方に近寄って来ると急にアタシも抱きしめて来た。
ほんと、何? って、ちょっと待って。
これってもしかして、進藤くんとの間接バグなのでは……?(ごくり)。
「なぁ、もうやめなよ姉ちゃん……」
ね、姉ちゃん……?
アタシが首を傾げると、姉ちゃんと呼ばれた彼女がアタシから離れた。
「あっちゃー、急に抱きついちゃってごめんね? 私は八雲のお姉ちゃんで、2年A組の
確かにそう言われて見ると顔つきは似てるような、似てないような。
「ご、ごめん真田……この人いつもこんな感じで」
「ちょいちょい、姉に向かってこの人とはなんだ!」
抱きつかれたりやけに距離近めなのはマジでびっくりしたけど、お姉さんだったなら少し安心……。
「抱きついて驚かせちゃったお詫びに、お姉ちゃんが二人に何か奢ってあげよーう!」
「「…………」」
「ちょ、二人とも何その反応! 真田ちゃんは喋らないって噂だからまだしも、やっくんまで!」
アタシとしてはこの後も進藤くんとどこか行けるなら嬉しいけど、はしゃぐのは得意ではないから上手く言葉にならない。
「せっかく高校前のスノトで出た新作フラペチーノ奢ったげようと思ったのにー」
スノートップスのフラペチーノ!!
し、進藤くんと行きたい……!
「百歩譲って俺はいいけど……真田は」
進藤くんがアタシの顔を覗き込んで来る。
「真田ちゃん、用事とかあるの?」
お姉さんに聞かれてすぐにアタシは首を横に振る。
用事とかないし、絶対行きたいっ!
「なら大丈夫じゃんっ、はーい二人とも行くよー」
「ええ……」
進藤くんは嫌そうな顔をしているけど、一方でアタシは楽しみで仕方なかった。
☆☆
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