第4話 谷さんの秘密 ?
あれだけ腰の細い彼女が、なぜ組み打ちが強い(なかなか転ばされず、逆に相手を転がしてしまう)のかといえば、それは彼女の両足が、突きや蹴りの時と同じく組んだ時でも、決して一直線に揃わないからなのです。
(一方で岡崎さんの場合、相撲でいう「がぶり寄り」スタイルで押していくので、どうしても両足が一直線に揃ってしまい、そこを谷さんの巧みな内掛けですくわれて、2回も転倒させられてしまった。)
その谷さんも、2015年のある試合では、岡崎さんと同じように両足が揃っていたので、対戦相手の増田さんに簡単に転がされてしまいました。
○ 2015日本拳法総合選手権大会 女子個人3位決定戦 谷 VS 奈良県 増田 https://www.youtube.com/watch?v=Td0jheKmMtM
谷さんは、それを教訓とされたのか、この2017年では、体軀に勝る岡崎さんを逆に投げ飛ばしているのです。
○ 2017全日本学生拳法個人選手権大会 女子の部準決勝戦 岡崎VS谷
そして2018年、この時の谷さん(の蹴りと突き、身のこなし)は、同時期に一世を風靡した、大阪市立登美丘高等学校ダンス部「バブリーダンス」なみの「キレッキレッ」でした。
この切れの良さで、完全に体軀・体力負けしている対戦相手の坂本さんを投げ飛ばしたくらいです(投げた後で、力負けして返されてしまいましたが)。
2本目も、やはり腰を入れられしまったため、力技で投げられてしまいました。
この時の谷さんの(汚れて見える)胴着には、夏休み期間中の彼女の艱難辛苦の労(汗)がにじみ出ているようで、黒澤明の映画「姿三四郎」「続姿三四郎」を彷彿とさせられました。
○ 2018 Kempo 第31回全日本拳法女子個人決勝戦 坂本佳乃子(立命館大学)vs谷南奈実(同志社大学) https://www.youtube.com/watch?v=DI-HxBtlxxg
関東で大学から日本拳法を始められた方、とくに女性は、組み打ちを練習する時間がほとんどないせいか、組み打ちを嫌う・弱い傾向がありますが、
以下の谷さんのスタイルを参考にされると、もっと日本拳法が面白くなるかもしれません。
① 脚の位置を中段の構えに維持する(水の巻 「6.足づかいは常に歩むが如し」)。
② 円運動によって、ゼロ戦のような巴戦にもちこむ。
③ 彼女の右脚に着目すべき。
まあ、これは相当な年季と根気の賜物というべきなのかもしれませんが、彼女の右脚による(利き足である)左脚のサポートは見事です。
④ 身体が柔らかい
→ 2018 Kempo 第31回全日本拳法女子個人決勝戦で坂本さんとの戦い、序盤で組みになった時、谷さんはかなり無理な姿勢から、体軀に勝る坂本さんを「ひねり倒し」ます。
これは、彼女の鍛えられた筋力と柔術なみの練習を積まれた場数、そして、体の柔らかさに由るものでしょう。日本拳法は柔道ではなく柔術の方が向いている(相性が良い)のかもしれません(警察主導の柔道と違い、柔術には民間人の自由な発想があるから)。
⑤ 準備運動
かなり念入りにやられているようです。
一般に、試合(大会)になると、スタミナのことを考慮して、普段の練習ほど準備運動をしない人が最近は多いのではないか。だから、ケガする人が多くなる?
谷さんは生来か普段の練習によるものか、体が柔らかい上に、更に入念な準備運動を行い体を温めている(のだろう)。だから、かなり無理のある体勢で力を入れて踏ん張っても、怪我をしないのではないのだろうか。
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