第3話 宮本武蔵の戦い <谷さん>

  一方、相手の力を巧く転換して自分の攻撃にするという、谷さんのアルゴリズムは、

  ○ 「五輪書」「火の巻 16 まぶるる、17 かどにさわる」に見ることができます。

岡崎さんの直線的攻撃の「かど(角)」をさわり(融和させ)、「まぶるる」という円運動にする。

お二人とも月と太陽の関係のように、どちらも正しい拳法をされていた。

ですから、その結果に対し、「勝っておごらず、負けて乱れず」きちっと礼をして別れたのです。

「菜の花や、月は東に日は西に」(蕪村)

「2017全日本学生拳法個人選手権大会」では、岡崎さんに押し込まれて100%発揮できなかった谷さんですが、同年の「全日本学生拳法選手権大会(女子団体)3位決定戦 同志社大学VS青山学院大学」

https://www.youtube.com/watch?v=ydCmBXJJluM

では、得意の「テクニカル組み打ち」で一本取り、青学の渡邊さんが場外注意を受けて、ホンの一瞬心がめげているところを、すかさず彼女の伝家の宝刀ともいうべき見事な面突きで仕留めました。

自分から渡邊さんの「影を押さえ」たのではなく、結果としてそうなった。

その「8 崩れを知る」や、即座に面突きで仕留めたのです。

谷さんという方は、自分で意図的にプレッシャーをかけて相手を心理的・精神的・心的に押し込む、ということはやらない人です。この時も、たまたまそういう状況になった、ということですが、その一瞬を逃さないところは、さすが場数を踏んでいる、と言えるでしょう。

余談ですが、青学の渡邊さんという方は、青学らしいというか極めて知的な拳法をされる人です。谷さんの戦い方の特徴をよく研究というか、きっちりと記憶し、現実の戦いで彼女の攻撃を巧く対応しているところは、さすが関東の大学でありながら、全国区3位決定戦にまで勝ち上がってくるだけあります。ただ、やはり年季の重みに潰されてしまいましたが。

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