第2話 現在

 木のつると獣の皮をなめしたものとで作った大きな吊りベッドの上で、いままさに自身の腕の中にありながら、カチンコチンに全身を硬直させているラキに対し、ガルーバンはくつりと笑う。

 今日は初夜から3日目の夜だ。

 抱きしめられても呼吸はなんとかできるようになってきたとはいえ、ラキとコトに及ぶにはまだまだ先は長そうだと思いながらも、ガルーバンに焦りはなかった。

 初夜は、カニ食べ放題に歓喜したラキが、食べ過ぎによる下痢ぴーになり終わった。

 「もう当分カニはいらない」と不貞腐れていたラキだが、翌日ケロッと回復してからは、「毎日カニ食べ放題でも良い」と頬と羽とを期待に赤く染めていた。羽がカニの色素により赤く染まってしまうのではと思うと、ガルーバンは少し複雑な気分だ。

 少しというのは、残りの大半部分では、それでも可愛いから良いかと思っているからに他ならない。

 ガルーバンは、ラキの飾らない純粋なところが好きだ。

 ラキに恋をした9歳のあの日から、ガルーバンの思いは変わらない。

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