チャリンコを漕ぐ春のジジイに風情を感じる

Unknown

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春だな。お前らはいかがお過ごしですか? 俺は適当に酒を飲んでるよ。働いてないよ。


今日は朝の7時に起きたが、何もやる気が出なくてベッドの上であぐらをかいて音楽をぼーっと聴いていた。日当たりの良いこの部屋は超ぽかぽかしている。ちなみに俺はTHE BACK HORNというバンドの「番茶に梅干し」をずっと聴いてた。個人的にTHE BACK HORNの中で1番大好きな曲が番茶に梅干し。歌詞が本当にいい。10代の時に初めて聴いて、歌詞が全て俺に重なって、ボロボロ泣いてしまった。「番茶に梅干し」ほんとに良い曲。アラサーになった今聴いても泣いてしまう。


バックホーンのコバルトブルーって曲が最近海外でバズっているらしい。コバルトブルーめっちゃかっこいい曲だから海外人気が出るのもよく分かる。バックホーンのギターの菅波栄純が第二次世界大戦時の特攻隊に想いを馳せて書いた曲だ。もしよかったら聴いてみて下さい。超かっこいい曲だから。


部屋を網戸にして死んだ目でタバコを吸ってたら、満開の桜の木をバックにして、白髪のジジイがチャリンコで道を駆け抜けていくのが見えた。うららかなポカポカの春の陽気と、遠くに見える薄ピンク色の満開の桜と、チャリンコを漕ぐジジイが妙に風景として噛み合っていて、俺は風情を感じた。ゆっくりママチャリを漕ぐジジイが俺はとても美しく見えた。


俺は世の中の全てのジジイとババアを尊敬している。どんなジジイにも、どんなババアにも、死にたくなった時期があるはずだ。俺はもう知ってるのだ。元気そうに振る舞ってる人も裏では大きな闇を抱えていることを。全てが順風満帆になんか行かない。ほんの僅かな確率で「死にたい」なんて思ったことの無い人だっているかもしれないけど、きっと大半の人間は生きてる中で「消えたい」とか「死にたい」とか思ったことがあるはずだ。俺がさっき見たチャリンコのジジイだって、死にたいと思ったことが長い人生の中であるかもしれない。でも、ジジイやババアになっても生きてるってことは、その死にたさを乗り越えたってことだ。そういう意味で俺は世の中のジジイとババアをみんな尊敬してる。中には本物のクズだっている。だが、大抵の人間は生きてる中で大きな苦しみに直面する。ジジイやババアは現在まで生きてる時点でみんな偉い。


朝、公園で集まってゲートボールを楽しんでいる健康的なジジイやババアを見かけた事がある。俺はアル中だし、精神的に脆弱な面もあるし、友達も多い方では無いし、将来ゲートボールを楽しむタイプのジジイになれるとは毛頭おもってない。まずそんなに長生きできると思ってない。多く見積もっても50歳くらいで慢性膵炎や肝臓の機能障害とかで猛烈に苦しみながら死ぬと思う。


肝臓は沈黙の臓器と言われていて、どんなに負担が掛かっていても自覚症状がかなり現れにくい。でも膵臓は本当にすぐぶっ壊れるし、めちゃくちゃ痛いし苦しいよ。俺は今まで3回も急性膵炎になって、それぞれ地獄の痛みを経験した。それでも酒がやめられない。俺はこの世に存在するどんな宗教よりも、酒のことを愛してるから。酒でぶっ壊れて死ぬなら本望だよ。俺が大好きな作家の「中島らも」って人が「この世界なんて消えて無くなってしまえばいい」って言ってたけど、俺もそう思う。どんなに学校の先生が「いじめはやめましょう。みんな仲良くしましょう」って言っても戦争は無くならないし、集団の中でのいじめも絶対に無くならないし、親から子への虐待も絶対に無くならないし、レイプも消えないし、過酷な戦争から帰還した兵士の多くはPTSDなどの精神疾患に罹患する。人間なんて本質はみんなマジでクズでゴミだ。ロシア兵がウクライナを侵攻して、民間人の女性を幼い子供の目の前でレイプした上で射殺する動画をネットで見た事がある。人間の本質は悪だ。この世は本当の地獄だ。こんな世界は早く消えたらいい。俺らは早く消えるべきだ。


中島らもは52歳の時に泥酔状態で飲食店の階段から落下し、亡くなった。俺が精神科に入院してる時、よく中島らもの著作を読んだ。中島らもが敬愛する作家にセリーヌとバロウズがいるが、俺もどっちも好き。セリーヌとバロウズと、あと俺はチャック・パラニュークが大好き。かこに何回も書いてるけど。


俺は今この瞬間も酒を飲んでる。あと何本飲んだら俺は死ねるのか?、


銃口を自分の頭に向けて、満面の笑顔の状態で引き金を引いて自殺したロシア兵の動画も見た事がある。19歳で亡くなったロシア兵の免許証みたいな画像も見た事がある。彼はまだ、あどけない少年の顔をしていた。


知ってる人も多いと思うが、ロシアの反プーチン派の中で最も影響力の高い指導者であるナリヌワイ氏が唐突に死んだ。47歳だった。これが何を意味するかは俺が書かなくても全員わかってる事だ。


戦争の前線に立つなんて、気が狂ってないとできない。頭がおかしくなる。ウクライナの東部には今も無数の地雷が仕掛けられていて、一般女性も地雷の撤去に自発的に参加したりしている。全ての地雷が無くなるまでには、途方もない年月を要する。


「あなた、これ以上酒を飲んだら本当に死にますよ」って医者から宣告されても、俺は酒を飲むと思う。だって別にいつ死んでもいいもん俺。


朝の5時とか6時にアパートの近所を散歩していると、よくジジイやババアとすれ違う。中には、俺に笑顔で「おはよう」と言ってくれる優しいおばあちゃんもいる。俺は嬉しくなって、瞬発的に「おはようございます」と笑顔で返してしまう。


俺は20歳までに自殺したいと本気で思っていた。生きるのが辛かったから。今まで何回も自殺未遂をした。首吊り、飛び降り、ODを何度もしてきた。精神科にも何度か入院した。でも27歳になっても生きている。働きもせずに、バンドメンバーを集めて、楽しくバンドをやろうとしている。ベースをやってくれる人は集まったがまだドラムはいない。正直言って俺は世の中を舐めている。俺は発達障害があって集団生活の中でかなり苦しんできたけど、発達障害があっても一生懸命に働いてる人だっている。発達障害と精神病を併発して手帳を貰って、障害者枠で一生懸命働いてる人もいる。俺も手帳は貰ってるし、障害年金も貰ってる。世間的には俺は完全なる「障害者」で、福祉を受けながら何とか生きていられる立場の人間だ。


俺は2年にも満たない程度しか正社員の経験がないけど、毎日死にたいと思いながら俺なりに頑張っていた。病みまくって車の中や職場の汚い便所で手首を切ったりしていた。自宅に帰ったら包丁で首を切ったりしていた。薄い傷しか付けられなかったけど。


働いてる中で、俺はもう、とことん社会人やサラリーマンに向いてないと感じた。苦しい事ばかりで死にたくなって自傷して不眠症になって精神薬ばかり飲んで毎日疲弊するだけ。職場でもずっと孤立してて碌なことがない。独りぼっち。社会人として生きてても死にたいという感情しか持てない。


だったらもういっその事バンドを結成して、楽しい事やりたい。成功するかしないかは正直どうでもいいけど、せっかく俺のバンドでベースを弾いてくれる女の子が最近現れてくれたんだから、ドラム叩いてくれる人が現れたら、本格的にバンド活動やりたい。


最近ベースの女の子とよく通話している。こないだは俺が酒で酔いすぎて、会話内容を1ミリも覚えていない。俺は感極まって泣いたような気がする。でも何も覚えてない。


曲を作るのは俺で、歌うのも俺だから、いくらベースとドラムが優れていても俺がゴミだったら終わってしまう。曲作りしても、syrup16gや昔のEXILEのパクリみたいな曲しか出来なくて、悩んでる。


バンドがだめだった時はもう全部諦めてニートに戻る。それでたまにバイトして、限界フリーターとして細々とアパートで生きていく。俺がまともな社会人を目指そうとすると精神がぶっ壊れる。去年、頑張って正社員になったけど、頑張っても辛いものは辛い。最愛の彼女には振られた。







おわり

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