第6話 主神の部下達ってどんな神様?
『じゃあ、最初は失敗しても良いように私の依り代から創ることで決定として、先ずどういった人にどういった種族で創るとか何か希望はありますか?』
「え?あ、でもあーちゃん先生は自由に創れるかも知れないけど、神様達を降ろすなら神様達の姿を似せたほうが良いよね?」
『そうですね。そう言うことであれば容姿や体型については私の方でフォロー出来るので大丈夫です。しかし、アキト様がイメージしやすいようにちょっと彼女達について説明しますね』
「はい。お願いします」
『とは言え、先ずは質問です。主神エリミナーデ様にはお会いしたと思いますが、アキト様はどう思われましたか?』
「そうだね、すごい綺麗な人、いや神様だった。あんなに美しい人・・じゃない神様見たこと無い。彼女がいずれ俺の奥さんになるなんて信じられないぐらいだ」
『ふむふむ』
「ただ、怒ると怖いっていうか。綺麗な人ほど怒った顔になると迫力あるよね」
『ふむふむ』
「でも俺を気遣ってくれる事にはすごい感謝してるし、嬉しい。今こうしてあーちゃん先生と話できるのも主神様のお陰だし。むしろ俺なんかが愛し子で良いのかなって思うよ」
『それは心配しなくて大丈夫ですよ。むしろアキト様でないと駄目なんです。だからもっと自信を持って下さい』
「そう?」
『次は水の従属神ディーヴァ様とは会話したんですよね?』
「うん。なんか優しそうな神様だったね。声が間延びするのもどこかのんびりとした感じで安心できたし。あの声は好きだね」
『ふむふむ』
「でも説明を受けただけだったから、性格とかは良くわからないんだ。姿も全身見たわけじゃないしね」
『なるほど~。じゃあ、そのあたりを踏まえて説明致しますね』
「はい、お願いします」
『まずは主神エリミナーデ様。この方は主神としての運命を背負ってこの世に顕現されました。ただ修行の場がほぼ戦場であったため、判断が早く好戦的で、口より手の方が早くなってしまったと言った感じであります。アキト様も御存知かも知れませんが勝利の女神とは彼女の事です』
「え?本当に!?」
『本当です。数有る勝利の女神の中でも彼女はダントツで強い方です。そのため愛し子にはバランスが取れるように慈愛の神様であるアキト様が選ばれたのです』
「え?俺、慈愛の神様なの?」
『そうですよ。誰かを思いやって労り慈しむ。それがアキト様の最大の御力です』
「労り慈しむ・・」
『話を戻しますね。そんなエリミナーデ様は『神格』も高いことがあって並大抵の依り代では地上に降りることも出来ません。ですが、魂に傷がついたアキト様をとても心配していらっしゃいます。出来れば魂の修復にも彼女は手を貸したいと思っています』
「主神様がそこまで・・本当にありがとうございます」
『そのお気持ちは直接お伝えして下さい。なのでエリミナーデ様を降ろすことは決定なのですが、先程も申した通り、特別な依り代を準備せねばなりませんので最後と言うことになります』
「ふむふむ。残念だけど仕方ないね」
『次は水の従属神ディーヴァ様ですね。彼女は水属性の神で彼女がいれば砂漠の真ん中でも水に困ることは無いでしょう。そして火には滅法強いです』
「ふむふむ」
『そして流体に対しても神威を発揮します。つまり風に対しても抵抗出来るということですね。ただ土に関しては一方的に吸収され閉じ込められてしまうので弱いです』
「ん?もしかしてそれって五行思想と似たような感じの話?」
『そうですね。そんな感じです。ちなみにエリミナーデ様の従属神は多数おられますが、特に4人の従属神を重用されています』
「ふむふむ」
『それが水の従属神ディーヴァ様、火の従属神フレア様、風の従属神アウラ様、土の従属神ガイア様です。この四人はエリミナーデ様の依り代を創り上げ降ろす為にも絶対に降ろす必要があります』
「聞いたこと有る名前がいっぱい・・」
『アキト様がいらっしゃった前の世界でもお名前が伝わっているかも知れませんね。そしてディーヴァ様は基本的にその口調からも察することが出来るように穏やかな方です。意思疎通は他の方と比べると多少時間がかかりますが、不快にはならないでしょう。彼女には生活の中で心に潤いを齎す歌姫の役職を与えたほうがよろしいかと』
「成る程、歌姫ね」
『次は火の従属神フレア様ですが、火に関することは全て彼女に任せちゃって大丈夫です』
「火に関することって言ったら・・」
『料理や鍛冶、乾燥とか生活に関しては結構いろいろありますね』
「ほほぉ」
『そしてフレア様は振動に関しても神威を持ちますので、温度管理なども彼女の領域ですね』
「それって冷蔵や冷凍、エアコンみたいなことも出来るってこと?」
『そうです。彼女は相性もあって水に対しては滅法弱いですが、風を喰らって大きくなるので風には滅法強いです。また振動があるので土に対して抵抗がありますね』
「なるほど」
『そしてフレア様の性格はただひたすらに快活と言った感じです。悪気もなく相手を傷つけるような事を言うこともありますが、裏を返せば嘘がつけないって事です。彼女には生活の中で料理人としての役割を与えたほうが上手く回ると思います』
「料理人ね、了解」
『次に風の従属神であるアウラ様ですね。彼女は風を司り、風を使っての掃除の他、暴風による破壊や切断が得意な上に比重の神威を持っているので物を軽くしたり重くしたりすることも可能です。斥候やアタッカー、狩人が出来るといった感じですね』
「おぉ、なんか凄くない?」
『そうですね。アウラ様は削り飛ばす事が出来るし攻撃が効かないことから土には滅法強いですが、先程も言いました通り、火には滅法弱いです。また比重の神威で水には抵抗します』
「ふむふむ」
『そんな彼女はクールビューティーと言った言葉が一番似合うでしょうか。アキト様が思う超有能なメイドそのものです。その為、基本的にはメイドとして私と一緒にアキト様とエリミナーデ様にお仕えすると共に食料調達の任を与えると良いと思われます』
「なるほど、メイドね」
『そして最後は土の従属神ガイア様です。ガイア様は圧縮に神威を持つため、物質の硬化のみならず味の凝縮にも影響を齎すことが出来ます』
「なんだって!それじゃ」
『えぇ、フレア様とガイア様が組めばいつでもどこでも美味しい料理が食べられるということです』
「素晴らしい!それは素晴らしい!」
『ガイア様は小柄な可愛らしい御姿で、その見た目に引っ張られるのかお言葉遣いが幼稚になる場合があります』
「え?ガイア様と言ったらかなり大きな姿だって聞いた覚えがあるけど?」
『えぇ、ガイア様はその身に土を纏い圧縮を併用することで固くて強くて大きい御姿になることも可能です。ですので生活の場において彼女は騎士とするのがよろしいかと』
「ふむ、騎士?騎士って普段の生活に必要?」
『アキト様とエリミナーデ様を守る必要があるかと・・』
「え?だって俺は強いから守って貰う必要なんて・・」
『法からアキト様やエリミナーデ様をお守りするためです。敵を殺しても良いのなら私達全員同じことが出来ます。しかし敵を殺さず撃退するのはアキト様やエリミナーデ様では難しいと思うのでガイア様にお任せしたほうが良いです』
「・・はい」
『さて、彼女達に対し何となくイメージが出来ましたか?』
「うん、まあ本当に何となくだけどね」
『それで十分です。ところで私の姿ですがどうしますか?神様達と被らないようにするならダークエルフか魔族ってところですが』
「そうなの?」
『えぇ、エリミナーデ様が人族、ディーヴァ様がマーメイド族、フレア様が獣人族、アウラ様がエルフ、ガイア様がドワーフ族に近いものですから』
「そうなんだ。ダークエルフはイメージしやすいけど魔族ってイメージしにくいよ?だって色んな種類があるんでしょ?」
『そうですねぇ、アキト様のイメージで行くと、魔族のサキュバスあたりが恐らくアキト様のストライクゾーンに入るかと』
「ちょっと待って!何言ってるの!」
『アキト様。どうせ傍に置いておくなら自分の好きな容姿の人の方が良いでしょう?』
「いや、そりゃそうかもしれないけど・・」
『良いですか?神様達は種族は違えど、それなりどころか極上と言っても過言ではない容姿をお持ちです。そんな中にどうでも良いような容姿の私が入っていたらどうなると思います?』
「え?どうなるの?」
『せっかく作る私の依り代がアキト様にほったらかしにされる未来しか無いでしょうよ!』
「そ、そんなことないよ・・」
『黙らっしゃい!私だってせっかく肉体を持つならボンキュッボンが良いの!キャーキャー言われたいの!』
「・・あ、はい・・」
『アキト様がどんな種族を選ぼうと構いませんが、私は美人でボンキュッボンなのは既に決定事項なのです!よろしいですか!?』
「はい!」
『よろしい!なら私はどんな依り代にしますか?』
「えぇと、その中央サークル王国って人間とエルフとドワーフはいるんだよね?他にどんな種族の人がいるの?」
『そうですね。まず人族が多い地域に国を建てたので人口の5割が人族ですね。そして獣人が2割、エルフが1割、ドワーフが1割、その他の少数種族で合わせて1割と言ったところでしょうか』
「その他の少数種族って何がいるの?」
『巨人族と魔族ですね』
「ふむ。巨人族ってどのくらい大きいの?」
『幼児で身長5mほど、大人になると10m超えてきますね』
「えぇ~大きいね」
『国を建ててある程度したところで巨人族を保護したため既存の建物では巨人族に対応できず、また誤って踏み殺すなんてことが起きないように、巨人族は巨人族でまとめて国の一角に集められている様子です』
「なるほど」
『巨人族の主な仕事は開墾や道路建設などの力仕事ですね。現在までに大きな成果を上げており、国からの補助も厚いです。あの国の国王はやり手ですから、巨人族を保護すると同時に魔道具の大型化、作物の大型化の品種改良を行い、今では巨人族も一般的な国民と同じ生活が出来ていますからね。不満もない様子です』
「そうなんだ?それで魔族はどのような人達がいるの?」
『サキュバスや吸血鬼が主ですかね。サキュバスは夜の蝶となって毎晩、誰かから精を頂けるようで生きていくには困らないみたいです』
「ほぅほぅ」
『吸血鬼は国の暗部として重用されていますね。なので一般には居ないこととなっています』
「え?そうなの?それ俺が聞いて良いことなの?」
『別に問題ないんじゃないですか?誰かに言いふらすわけではないんでしょう?』
「まぁ、確かにそうだけど。そう言えばダークエルフは居る?」
『居ますよ。主に鍛冶ギルドで魔道具開発業務に携わってるみたいですね』
「じゃあ、あーちゃん先生がダークエルフになっても問題ないんだね」
『そうですね。ダークエルフがお好みですか?』
「いや、なんかサキュバスってエロい格好で男を誘惑するのが当たり前な感じじゃない?」
『まぁ、当たらずとも遠からずですかね』
「となると、国民としてはそういう格好をしていないサキュバスは怪しまれるのかなって」
『そうでもありませんが、まぁ違和感は持たれるかも知れませんね』
「まぁ、あーちゃん先生はボンキュッボンになって皆からキャーキャー言われたいのかも知れないけど、俺はちょっとあーちゃん先生にはそんな格好して欲しくないかなって・・」
『それって私の色っぽい姿はアキト様以外には見せるなと。そういう事ですか?』
「・・あ、えっと。その、はい」
『・・仕方ありませんね。本っ当に仕方ありませんねっ!』
「すみません・・」
『良いんですよ!私、普段秘書をやる訳ですし?伊達メガネとビシッとしたスーツでも着る予定でしたが、そんなにアキト様が見たいのであればお見せしましょうとも。えぇ』
「え?いや、あの」
『殿方の独占欲については理解していますよ?言い換えればあーちゃん先生は俺のものだとアキト様は思っている。そういう事ですよね?』
「あ、あ、あの、その」
『仕方ありませんねぇ。ですが安心して下さい。私、アキト様の秘書ですので?柔肌を他の殿方に見せるようなマネはいたしませんよ?』
「あ、ありがとう・・」
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