KAC20242 「新居探し」
「誰かのイタズラ?いや陰謀?」
「どうした藪から棒に」
「僕が新しい部屋の内見に出向く度、心霊現象が起きる。親友も一緒にいたんだから知ってるでしょ?」
「電気が突然消えたり、服に血の手形が着いてたりってやつだろ?お前呪われてんだよ。なあ、引越しするのやめね?怖いってんならいっそ俺と一緒に住むというのは」
「ところでワトソン君」
「またまたどうした?俺はワトソンじゃないぞ?」
「フェノールフタレインはアルカリ検出の指示薬で、アルカリ性の物質を加えると無色から赤に呈色するんだよ、こんなふうに!えいっ」
「おい、何しやがる!」
「血の手形の完成♪知らない?消えるインクってイタズラグッズ」
「知らん!それより引っ越す云々の話をだな」
「あれ?服を汚されたのに焦ってないみたいだね。まあ、しばらく放置しておけば空気中の二酸化炭素と中和されて色消えるから大丈夫ってやつなんだけど……釈迦に説法だったかな?知ってたよね?」
「何が言いたい」
「親友と一緒にいる時に限って心霊現象が起きるんだよね」
「な、ななななにを言いたいのかね!?」
「最初から素直に一緒に住みたいって言えばいいのに小細工までして……そういえばあの時の手形跡、綺麗に落ちたよ?」
「良かった……」
「すぐボロ出すじゃん」
「ま、まあ?心霊現象研究の一説によれば?幽霊を見る人は不安を抱え孤立状態であることが多いそうだし?一人暮らしで心細いお前のために俺が一緒に住んでやらなくもなくもないというか……!」
「よく回る舌だなぁ……親友、意外と寂しがり屋さん?」
「そんなわけあるか」
「あー!窓に人の顔がー……」
「ば、ばばばばか!冗談言うなって!」
「おまけに怖がり」
「怖がってねぇっ」
「はいはい……ていうか、僕が親友の部屋に住むのはダメなんだ?」
「俺の部屋は、バッファローが出るからな……」
「なにそれ」
「こっちの話だ」
「訳分かんないこと言ってないで、一緒に住む部屋の内見行くよ!」
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