第3話:結ばれたふたり。

なんやかや言って、坂下 健太がゴミ箱からお持ち帰りした幽霊、雛子。

健太んちにやって来てから、なにくわぬ顔して住み着いてしまった。


健太は雛子と一緒に晩ご飯を食べながら彼女に聞いてみた。


「雛子ちゃん・・・その、フラれて彼氏に未練あるんでしょ?」

「その人のところに行かなくていいの?」


「出てって欲しんですか。私に?」


「そう言う意味で言ってんじゃないの・・・これでも君のことを

心配してんだよ?」


「そうですか、それはどうも〜」

「ん〜・・・実はどうしようか迷ってて・・・」


「あれま、元彼に会いたいがために頑張って現世に戻って来たんじゃ

なかったっけ?」


「そうなんですけど・・・いざとなるといろいろ考えちゃって」


「なに?考えることあるんだよ?」


「たとえば〜もし、新しい元彼に彼女ができてたらどうしょうとか?」

「私が幽霊で会いに行ったら迷惑なんじゃないかとか?」


「まあ、たしかにね・・・ありうるな」


「え〜そこは否定してくれないんですか、そんなことないよって?」


「君が言ったんだろ?」

「可能性から言ったらありうるだろって話?」

「会いに言っても元彼が幽霊の雛子ちゃんを受け入れてくれるかどうかって

こともあるし・・・」


「その、俺なら迷わず受け入れるけどね」


「本当ですかそれ?」


「だからこうして俺のアパートで一緒に暮らしてるじゃん」


「ああ・・・それは単なる同情でしょ?」


「・・・違うって言ったら?」


「え?・・・違うの?」


「同情じゃなかったらなに?」


「それは・・・まあいい・・・なんでもないから、気にしないで」

「だから、ダメ元で元彼に会いに行くだけ行ってみたら?」

「答えの出ないことをあれこれ考えたってしょうがないでしょ?」


「俺、風呂に入ってくる・・・」


そこでその話はなんとなく終わった。

実のところ信じられないだろうけど健太は幽霊に恋していたんだ。

いつの間にか雛子ちゃんの存在が彼に中に入ってきていた。


まあ幽霊と言えど、綺麗なことには変わりないし、触れられるって

ことだし・・・これが触れることもできないって言うなら話は違って

来たんだろうけど・・・。

触れられないままなら空気みたいなものだからね。


まるで同棲生活のふたり。

だから今でも健太は雛子と同じベッドで寝ていた。

もうそれが普通になって、とくに寝床を別にしようって気はなかった。

恋人でもない男と女がひとつベッドで寝てるなんて変。


雛子に密かに想いを寄せる健太。

その夜中のことだった・・・健太が夢を見ていてふっと目を覚ました。

ふと見ると自分の目の前に雛子の顔がある。


健太はムラムラっとした。

男として性的欲求が強い年頃・・・雛子のあどけない顔を見てたまらなくなった。

だから、そのままパジャマのズボンをずり下げて、自分のモノを触り始めた。

もう、衝動が止められなかった。


どんどん息が荒くなっていく。

雛子に気づかれないようにしないといけないと思いながら、その思いはもう

どうでもよくなっていた。


「ああ・・・雛子・・・ひなこっ・・・ああ・・・どうしよう」

「イッちゃう・・・」


一瞬息が止まって、そのあと大きな息を健太は吐いた。


そしたら・・・


「なにしてるの?」


雛子が目を覚まして健太を見ていた。


「いや、なんでもない・・・」


「息が荒いけど・・・」


「な、なんでもないって・・・ごめん、起こしちゃって」


すると雛子は健太の布団をガバッとめくった。

めくって健太のモロ出しの下半身を見た。


「健太・・・」


「ごめん・・・我慢できなくて」

「俺、最低だよね・・・軽蔑してくれていいから・・・だけど仕方なかったんだ」

「君の寝顔を見てたら・・・つい・・・ごめん・・・」


「健太・・・」

「もうバカね・・・」


健太はあまり恥ずかしくて雛子に背を向けた。


「健太、こっち向いて」


「イヤだ」


「こっち向きなさい!!」


健太はしかたなく雛子のほうを向いた・・・でも目を合わせられない。


「・・・・いいよ」


「なにが?」


「したいんでしょ?・・私としたいんだよね?」


「・・・・・」


「ほら、来て・・・」


そう言って雛子は健太をハグした。


「私を抱いていいよ」


「え?・・・俺を軽蔑しないの?」


「軽蔑なんかしないよ・・・」

「私を見て興奮しちゃった?」

「男の子だね・・・」


「来て、健太」


雛子はいきなりパジャマの上着を脱いだ。


たわわな胸があらわになった。


「抱いて・・・」


健太は、完全に我慢できなくなった・・・っていうか、もう止められなかった。

その夜、ふたりはひとつになった。

健太にとっては無我夢中の夜で、健太の気持ちが伝わった雛子は幸せを

感じていた。


つづく。




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