第10話 【私と子供の願い】Ⅱ
子供の切実な願い
それを聞いて私の心がざわつく
神に祈って願いが叶う?ふざけるな
「さぁね、でも結局は病気になる運命を決めたのもその願っている神様なんでしょう?なのに治して下さいってのはおかしいことじゃない?」
仮に神様が存在したとして運命を司っていると言うならば、不条理すらも神様が決めたことだと言うことだ
「祈ったところで無駄なことよ」
人は皆生まれながらにして平等ではない
その不条理に抗う
でも、いつしか抗う為の牙が折れ現実から目を逸らす
そして神様なんて存在しないモノに縋り、助けを乞う
そんな都合のいい奴らに私は怒りの感情を出してしまう
こんな小さな子供の希望すら砕いてしまいたいほどに
「そうだよね…お願いしたところで気休めにしかならないよね…」
冷たい視線、無常な言葉
まだ年端もいかない子供には重すぎたのか
「うわぁぁぁぁぁぁん‼」
泣き出した
境内には感情のまま訴える子供の泣き声が響き渡る
その大きすぎる感情に我に返る
「げっ!」
流石にやり過ぎた
私の感情が抑えられなかったとは言え相手は子供なのだ
大人気なかったと私でも反省する
後、凄く煩わしい
「じょ、冗談よ!お兄さんの病気治るといいわね‼だから泣かないで!ねっ?ねぇ⁉」
なんとか泣き止んで貰おうと落ち着かせる
私が子供を虐めているみたいな構図が私の良心を痛める、後うるさい
そんな私の感情を読み取ったのか、嗚咽混じりの泣き声から徐々に子供は言葉を発する
「そんな投げやりで…言わないでよ…僕だって無駄だってわかっている。でも、これしか出来ないから…」
弱弱しい子供の言葉
自分に出来ることを探し、少しでも好転するようにと考え行動に起こしたのだろう
そんな中、私に否定され、無力な自分に悲嘆し泣くことしか出来なかった
その中で生まれた新しい疑問をこの子供は訴える
「どうして神様は…兄ちゃんを病気にしたの…?」
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