第19話 お姉さんを困らせた奴ら
サティアは戦艦カリブディスの艦長ジョンと共に、魔導機兵すなわち
そこにはDr.グランコッペルが不気味に微笑んで待ち構えていた。
「グルフェフェフェ……」
「相変わらず不気味な笑い方だな、ドクター・グランコッペル。いい加減どうにかならんのか?」
「グルフェフェフェ、申し訳ございません。こればかりはお許しいただきたく、グルフェフェフェ……」
「まあ良い、で、アレがそうか?」
「左様にございます。魔石から放出される魔力のエーテル変換がようやく上手く作動するようになりまして、エーテル回路を通して各魔法陣への展開により実用化が可能となりました。他にも駆動系に関する魔法陣の解析にも少し時間がかかっていたのですが、これも問題なく応用技術として組み込んでおります。これで核融合による電力だけでなく、エーテル変換による新エネルギーと魔導技術を得たことで画期的な技術革新へと結び付きました。ひとえに──」
「──説明はもうよい。それよりも何処から乗り込めばよいのだ!?」
「はい、コクピットは一番動きの少ないこの腰の部分となりますが、足元に気をつけて搭乗リフトへお乗りください」
「わかった」
搭乗リフトへ三人が乗り込み、手元の操作盤でドクターがコクピット近くまでリフトを誘導する。
「おい、まるで出来損ないの得体のしれない巨人の様だが、本当に大丈夫なのか?」
ロボットと言うからには機械的な形相をイメージして来たサティアだが、見た感じ骨格標本がぶら下げられているように見える。駆動部分は確かに機械的ではあるが、大きな何かの骨を機械で繋ぎ合わせた様な出で立ちだ。
「グルフェフェフェ…。問題ありません。このままでも十分なのですが、これに外殻を着けますのでさらに強固になるかと思われ……」
「そうか、敵は変な魔法を使って来る事を忘れてなければそれで良い」
「グラッファっファッファッ!! そんなモノは蹴散らして差し上げますよ!!」
「凄い自信だな?」
「グフッ。私の科学技術はこの魔法と呼ばれる術を経て、更なる高みへと進化いたしました故、これまで成し得なかった所業を全て解決してしまいますよ!!」
「ふ。お前が味方で良かったよ。敵には回したくないものだ」
「私はアシッド財団のギルヴァ会長の運営する魔導研究所よりも、このテミストクレス社の元で研究させていただけるだけで幸せでございます。何よりこの魔石と魔鉱石、そして魔法陣の解析が進んだ事による科学の次なるステージへの足掛かりへとなっ──」
「──そうか、ならば存分にその手腕を発揮してくれたまえ!」
「グルフェフェフェ…。かしこまりましてございます。
さあ、着きましたよ。足元に気をつけて搭乗してください。
搭乗されましたら演習場へ移動して、無線とモニターにて解説いたします。そこで簡単な操作方法を学んでいただきます」
「……思ったより狭いな?」
「グルフェフェフェ…。このスペースを確保するのが大変だったんですよ…。少し我慢してくださいませ」
サティアがリフトから飛び降りて、コクピットのシートへと移る。
「乗ってみると存外悪くない。ハッチを閉めてくれ」
「行ってらっしゃいませ。グフファ…」
サティアが乗り込むと搭乗リフトのドクター・グランコッペルとジョン艦長は演習場のブリッジに移動して、演習場へ運び込まれる
サティア以外にも六機の
次々に機兵リフトから解き放たれて、自立する七機の
『グルフェフェフェ…さて。
リフトから離れた地点で機動している事は皆さん承知の事と思いますが、オートバランサーが上手く稼働していなければ、揺れが生じると思うので申告していただきたい』
各々揺れを感じないか確認して問題なしの意思表示をする。
『グェフ…、問題ないな。では次に全方位カメラがちゃんとモニターへ映し出されているか確認してください。そしてそのままセンサーに切り替えて有効範囲が適正か確認して欲しい』
全方位カメラの映像は全方位モニターへ、センサーの映像は別のセンサーモニターへ映し出される。
『グェル、問題ないですな? 次は照準がオートロックになっていて、マニュアルへ切り替えて見て問題ないか確認して欲しい、解っているだろうが、くれぐれも撃たないでくださいよ?』
ピピッと小気味の良い音とともに赤いカーソルで対象物が捕捉される。この状態で発射ボタンなどの攻撃ボタンを押すだけで攻撃出来る。
これをマニュアルに切り替える事で各個撃破がしやすくなる。
ちなみにオート時は味方機はフォーカスされない仕様になっており、間違って味方機を攻撃出来ない仕様になっているが、マニュアル時はフォーカスの色が違うだけで攻撃可能となる。
かくして、
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