第18話 お姉さんとイチャイチャ

「ノア君ノア君ノアく〜ん♪」


 お姉さんは僕の後ろから覆い被さり、僕の頬に自分の頬を擦り付けまくって来る。



 あの後、僕たちはカリブディスの主砲を上手く避けて、魔導光学迷彩を使って姿をくらました。


 僕は傷つけられたユグドラシルが気になって、枝が落ちた所へ向かっていた。



「お姉さん、あの、その、や、柔らかいものが当たってますから……ぼ、僕は良いんですけど、そのぉ……」


「もう! 押し倒しちゃうぞっ!」


─ドタ…


 お姉さんは僕を後ろに倒して頬にキスを迫って来る。

 

「あっ……だ、ダメです! 仰向けにしないでください!」


 僕の頬にお姉さんが口をつけると同時に、お姉さんのお腹辺りに僕の硬くなったモノが当たり、お姉さんの動きが止まった。


 途端にお姉さんの顔が一気に紅潮したけど、僕の方が恥ずかしいんだからねっ!?


「あっ……う、うん。ご、ごめんなさい。そうだよね……ノア君、男の子だもんね?」


「う、うん、でも僕……子、じゃないからね?」


「そ、そうだね。、じゃなかった……」


 二人正座でモジモジしながら向き合っている。なんだこれ?


「そう言えばノア君」


「な、なんでしょうお姉さん?」


「この船って自動で運転出来ちゃうの?」


「嫌だなぁお姉さん、そんなわけないじゃない?」


「じゃ、どして?」


「ブリッジに行けば分かるよ」


 僕は立ち上がって……少し前屈みになって、モジモジと歩き出し、ブリッジに向かった。しばらくはおさまりそうにないよぉ。


「うふふ♡ ノア君可愛い♡」


 お姉さんは僕の後を追いかけて来て、僕のおしりを撫でた。


「ひゃんっ! それ、セクハラとか言うのでしょ?」


「ノア君、これはねぇ……ブチュッ♡ 逆セクハラって言うんだよっ♪」


 そして顔にキスしまくって来る。ぎ、逆セクハラ〜っ!?


「もうっ! 僕がどんたけお姉さんが居なくて寂しかったか分かってる?」


「そりゃ分かるよ! 私だってノア君に会えなくって寂しかったんだからっ!」


「僕なんかね、お姉さんが居ない寂しさを紛らわそうと……」


「あれあれ〜? ノア君顔赤くなってるよ〜? もしかして独りでエッチなことしちゃったかな〜?」


「あ、う、……うん。した。それから……」


「え? いゃん!? ……そう、だよね? ……まあ、ノア君も男の子だもんね? そ、それから何かな〜? まさか浮気してないよね?」


「お姉さんの代わりなんて居ないよ! だから僕、お姉さんを作っちゃったんだから!」


「んにゃっ!? 作った?」


「紹介するよ! お姉さん型オートマタのルナちゃんだ!!」


─ウィン!


 ドアの向こうには操縦桿を握るルナちゃんがこっちを見てにこりと笑った。


「私のオートマタ……? ほんと、ソックリね?」


「でもね〜全然違うんだよ〜!! それで解ったんだ、お姉さんの代わりなんて居ないんだって!!」


 僕はルナちゃんの胸を揉んでみた。ルナちゃんは少し赤らんで、お姉さんも少し赤らんで。


「「もう! ノア君!?」」


 僕は二人のお姉さんに怒られた!!


「そんなに揉みたいなら私のを……」


 なんてお姉さんが言い出すから、


「え? いいのっ!?」


 って、僕は食い気味でお姉さんに聴いた。


「っやっぱりダメ〜! んべ〜!」


「そんな〜っ!?」


「ノア君のエッチ♡」


 なんて照れ照れしながら、嬉しそうに笑うお姉さんの顔が見れて、僕はとても嬉しかった。


「もうっ! どうして私の名前つけちゃったの? 私は私一人だよ?」


 お姉さんはプンスコ怒ってるけど、


「だって……お姉さんが急に居なくなっちゃったから……」


 ルナちゃんが生まれたのは、お姉さんのせいだ!


「そう……だね。ノア君ごめん!」


「も、もうっ! お姉さん!? 頭に胸を乗せないで? また僕……」


「硬くなっちゃった?」


「お姉さんのエッチ!!」


「うふふ♡ お姉さんはエッチなんだよ〜? ノア君の事、食べちゃうぞぉ〜っ!?」


「あっ! だ、ダメだよ! お姉さんってば!!」


「ちょっとノア君、お姉さん? 私もいるんですからねっ!!」


 ルナちゃんがとても寂しそう〜な、羨ましそ〜な、そして冷やか〜な目をコチラに向けて来る。


「「ごめんなさい!」」


 お姉さんとイチャイチャしてたらルナちゃんに怒られたよ! 我ながらなんて精巧なオートマタなんだ!?


「ルナちゃんてさ……」


「なあに、ノア君?」


「絶対にスピード狂だよね!? また300キロ超えてるよ? 本当にオートマタ?」


「やだなあ、当たり前でしょ? ノア君が作ったんじゃな〜い」


「そうなんだけど、もうユグドラシルに着いちゃうよ!?」


─ルルルルルルル……


 飛空艇マンダリンは減速して、ユグドラシルの根本に着陸した。


 天高くそびえるユグドラシルの木の下に、巨大な木が折れて横たわっているが、それは先ほど撃ち落とされたユグドラシルの枝だ。


 三人はマンダリンから降りて、ユグドラシルの枝を見上げていた。


「ねえ、ルナちゃん」


「なんですか、ノア君?」


「この枝をが欲しいんだけど、持って帰れるかな?」


「「んにゃ?」」


 お姉さん二人は同じ顔で何言ってんの?って顔してるけど、僕は本気だ。


 だって、ユグドラシルの枝なんてロマンしか感じないでしょう?

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