第3話 お姉さんの謁見
─ミッドガルド帝国城・謁見の間
玉座にミッドガルド帝国のレナ天帝様、側近にピーター参謀大臣、そしてロイヤルガードの面々が十二名、そして僕の友達アイザック第一王子殿下が立っている。とても手薄に思えるが、謁見相手が女性一人と言うことで甘くなっているのかも知れない。
「よい、
「はい。私は地球からこの星、『ユグドラシル』の調査をする為にやって参りました。名を『ルナ=ルミナス=シノミヤ』と申します」
「ふむ、『ルナ』が言う地球とはなんじゃ?」
「はい、簡単に申しますと、このユグドラシルの様な別の世界にございます」
「別の世界とな?」
「はい。 ユグドラシルの空の向こうには、果てしなく広がる宇宙と呼ばれる空間がございます。ユグドラシルはその中の星と呼ばれる世界でございまして、私の故郷の地球も同様の星にございます。つまり、ユグドラシルはこの大きな宇宙の中に浮かぶ、小さな星にございます」
「ほほう。しからばルナはその広大な宇宙を旅してこのユグドラシルまで来たと申すのじゃな?」
「はい、左様にございます」
「では、それを証明して見せる事は出来るか!?」
「出来ます」
「ほほう。ならば見せてみよ!!」
「陛下、恐れながら申し上げます」
「何じゃ? 申してみよ」
「証拠として、私の乗って来た宇宙船をどちらかに停泊させたいのですが、何処か着陸場所の提供と着陸許可を願いたい」
「ルナよ、それはどれ程の大きさで、どれくらいの規模の場所が必要なのじゃ?」
「街一つ」
「なっ!? 街一つほどある船が、空を飛んで来ると申すのか!?」
「左様にございますれば、ソレを以て証拠といたしたいと思います!!」
「なるほど。面白いではないか、やってみよ!」
「陛下!」
レナ陛下の横に立っていたピーター参謀大臣が声を上げる。
「何だピーター?」
「恐れながら、斯様な申し出を受諾して宜しいのでしょうか? このルナと申す者は果たしてその信用に足るのでございますか?」
「ふむ。確かにそんな巨大な船を飛ばす技術を持ち合わせていると言う事は、ルナの星とやらの文明は、我々のそれよりも優れていると思って然るべきじゃろう」
「であれは、今一度御一考を!」
「しかし、それほどの文明と技術であるならば尚の事観てみたいではないか!?」
「陛下!?」
「うむ。ピーター、お前の心労はよく判っておる。苦労をかけるな? しかし、我は見てみたいのじゃ! このユグドラシルを超える文明とやらを! 宇宙船とやらを!」
「……そこまで仰るのであればこのピーター、何も申し上げる事はございません」
「ルナよ」
「はい、陛下!」
「我はそなたを信用しておる。期待を裏切るような真似はするな?」
「御意!!」
「陛下、宜しいでしょうか?」
「おう、久しいなノアよ。息災であったか!?」
「はい! お気遣いありがとうございます! 僕は思うんですけど……」
「ノア……お前、本当に変わらんな? 陛下の前でフランク過ぎんか?」
「そう?」
「まあ、構わん。申せ」
「どうも。まあ、提案なんですが、不可侵条約を契約魔法で締結すれば宜しいのではないかと」
「ふむ。ノア、それは名案じゃな?」
「ふふん、そうでしょ?」
「いや、本当にフランクだな!?」
「アイザック、今更取り繕ってもしょうがないでしょ?」
「ノア、それをお前が言うなよ!?」
「わはははは! 良いではないか。ノアよ、アイザックの幼馴染みのお前はもう一人の息子のようなものじゃ。お前はそのままで良いぞ」
「レナちゃんありがとう!」
「なっ!? ノア殿、流石にそれはっ!!」
「わはははは! 構わん構わん!」
「ふふふ。んにゃっ!? すみません、油断してました!」
「大丈夫だよ、ルナさん。ここのロイヤルガードを見てご覧?」
「へ?」
「皆ルナさんを見てニヤけてるよ?」
見ればロイヤルガードの面々は顔を赤くして、ルナさんから視線を逸らした。
「全く、締りがなくて困ったものじゃな!?」
「貴様ら減俸だ…」
─ジャキン!
ピーターさんの一声で、途端にやる気を出すロイヤルガード。本当に大丈夫なの?
それにしても宇宙船て思っていた以上に大きくてビックリだよ。街一つ?とか結構な人数が乗って来ると言う事だよね?
そんな大勢の人が来て食事を用意するだけでも、とても大変な事だと思うんだ。
レナちゃんの事だから、何かしらの考えがあるのかも知れないけれど、僕は少し心配だった。だってそうだろう?人が増えると言う事は、それだけで騒がしくなるんだよ?
僕の平穏な暮らしが
直ぐに帰ってくれると良いけど、ルナさんが帰ってしまうのは、なんだか淋しい気もするんだよ。
複雑だ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます