第178話 絶対に勝ってやる……



 そんな事を思っていると、学友の一人は私に『このまま勝ち進んで行けば今話題のカイザルに当たるのではないか』と話しけてくるではないか。


「えぇ、そうだな。このままカイザルが勝ち進んで行けばの話なのだが……」

「どうなんだろうね。一回戦と二回戦を見た人達の話ではカイザルが不正を行っているようには見えなかったとは言っているんだけど、中にはマジックアイテムか何かを持ち込んで分からないように不正な行為で勝ち進んでいるんだって人も多いわよね……。確かに今までの成績は底辺だったカイザルが急にランキング戦を危なげなく順調に勝ち進んでいるだなんて変な感じだもんね。しかも全属性を扱うっていうのもきな臭いわ」

「そうだな……、例え不正であろうとあれが彼の本来の力であり今まで隠してきていたのだとしても、どちらにせよこの私がぶっ潰すまでよ」


 本当は勝てるかどうかも分からない。


 もし私のあのふざけた予想が本当であった場合、私はカイザルに勝てない可能性が高いだろう。

 

 というか、この学園でカイザルに勝てる者は、講師陣含めていないのではなかろうか? 

 

 それほどまでにカイザルは強いと私は考えている。


 それが例え不正であったとしても、それはこのランキング戦では扱ってはいけない武器またはマジックアイテムというだけであり、ランキング戦でなければカイザルはその武器ないしマジックアイテムを行使するななどとは言えないのである。


 であれば、例え不正な行為をしていたとしてもそのランキング戦では不正である物を使いこなしているカイザルに勝たなければ結局のところ学園の外に出れば私はカイザルより弱いという事実には変わらない訳で。


 そう思うと周りが不正だ何だなどと騒いでいる者達は恥ずかしくないのか? と思ってしまう。


 それが、この学園の生徒達のレベルであり現状なのだろうと思うと情けなく思う。


 もしかしたら私の勘違いであり、確かにカイザルは今まで力を隠していたのだが、私が思っている程強くない場合だってある。


 けれども、私の直感が『カイザルは間違いなく私よりも強い』と告げてきているの、カイザルは不正でも何でもなくあれが本来の強さなのだろう。


カイザルとの試合は、このまま順調に行けば翌日の午後の部になる。


「絶対に勝ってやる……」


 そう小さく呟き、心の中で闘志を燃やすのであった。



◆主人公side



「うーーーーーん、実に平和だ。喧嘩を売ってくる者もいなければ変なちょっかいをかけて来る者、明らかにバカにしてくる者がいないというだけでこれだけ快適だと知っていたら、もっと早く周囲には分からせていたのにな」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る