第176話 疑惑が確信に変わった
そして俺は相手が最後に出した渾身の技を、ただの蹴りでかき消してやった。
正確には足に溜めた魔力を飛ばす技であり、蹴りでかき消したというよりかは蹴りによって飛ばされた魔力の衝撃でかき消したという表現が正しいのだが、そんな事説明したところでどうせ分からないだろうし、魔力の衝撃でかき消したと言うよりかはただの蹴り技でかき消したという事にしておいた方が、相手的にはよりダメージは喰らうだろう。
であればわざわざこのバカの為に先ほど放った蹴り技がどういう技であったのか説明してやる必要は無いだろう。
「う、噓だろ……」
「てかお前、さっきこの俺を本気で殺そうとしていたよな? 俺からすればあんな子供だましのような魔術で死ぬなどあり得ないのだが、この学園の生徒レベルであれば死んでしまう生徒が居てもおかしくないだろう。そして、殺そうとしたという事はそれ相応の報復をされる覚悟はあるんだろうなぁ? 当然」
「へ……? あ、そ……その、お、お前がまさかここまで強いと知らなかったというか、そ、そうだっ!! お前は今まで本当の力を隠して過ごしていたのが全て悪いんだっ!! だから俺は悪くないっ!! コイツが全て悪いんだっ!! この私がルールを破ってしまったのも全てお前が悪いんだっ!! だからルールを破ったのは私ではなくてお前だっ!!」
「これ以上訳の分からない事でごちゃごちゃ言っていると殴るぞ」
「ぶへっ!? な、殴っているではないかっ!!」
「は? 殴るのとビンタの違いも分からない程お前は頭が悪いのか?」
「あぎゃっ!? そ、そんな屁理屈をべふっ!?」
「や、やめなさいっ。カイザル君!! それと、今回の試合は君のルール違反によりカイザル君の勝利としますっ!! 良いですねっ!!」
ちっ。もう少しだけビンタをしたかったのだが、ここで審判を押しのけてビンタを続けたら俺までルール違反で上に上がれなくなってしまう可能性もある為、俺はビンタをしたい欲を抑えて素直に審判の言う事に従う。
まぁ、馬鹿のすました顔が、両の頬が腫れて不細工になっているので、今回はこれで勘弁しておいてやろう。
今回の目的はとりあえず四回戦くらいまで登ることが目的なので、ここで消える訳にもいかないしな。
とりあえず第二試合までゆっくりするとしよう。
◆アイーダside
もしかしたらと思い私はカイザルの試合を観戦していたのだが、あの時私が抱いた疑惑が確信に変わった。
カイザルは私が思っていた通り力を隠していたのである。
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