第165話 謝罪をする相手
「あの側仕えメイド、奴隷らしいけどさすが奴隷ね。知性も無ければ常識もないとは」
「あぁ、全くだな。俺があの奴隷の主であれば恥ずかし過ぎて速攻でお仕置き確定だな」
「しかし、知らないというのは幸せなのかも知れないですわね」
「それもそうね。でも、これから自分の主がいかに使えないゴミムシか分からされてしまうのだけれども」
そしてヨハンナの話す内容を盗み聞きしていたクラスメイト達がクスクスと笑いながらそんな事を俺たちに聞こえるようにひそひそと話すではないか。
「どうやら、学園の外で俺の家の世話になりたい者たちがまだこのクラスにはいるみたいだな。とりあえず今日にでもお父様に告げ口をしようか」
「えぇ、それはいい考えだと思われます。ご主人様の覇道に石ころを投げ込むようなゴミ共は排除するに限りますから」
そのひそひそ声をヨハンナも聞こえたのか怒りで真っ赤になり今にも襲い掛かりそうになるので、肩を軽く『ぽんぽん』と叩いて諫めると、ひそひそ話が聞こえたグループに向かってマリアンヌと共に釘を刺す事にする。
すると例の貴族たちは俺に見下されている事に気付くと怒りを隠そうともせずに顔を真っ赤に染めるのだが、俺に喧嘩を売ったプレヴォが学園の外でどうなったのかを知っているので言い返す事も出来ずにただただ俺を睨みつける事しかできないみたいである。
「まだ俺の事が気に入らないのか睨みつけている馬鹿共がいるのだが、そうだな……今から謝罪をするのであれば許すとするか。ただし、一番最後に謝った、または謝罪をしなかった者はお父様に報告するか。やはりこういう馬鹿どもは言葉で言ったところで意味を理解できないのか、一回痛い目をみないと分からないみたいだからなぁ。
なので俺はさらに追い詰める。
「あ、謝ればいいのでしょうっ!? 悪かったわよっ!!」
「はいはい俺たちが悪かった悪かった」
「結局父親頼りとかだせぇな。まぁ、謝罪が欲しいってんなら言ってやるよ。スマンスマン」
「まさか、謝罪したのに父親にチクるとか、無いですよね……?とりあえずごめんなさいね。まさかあなたがそんなに気にしているとは思っていなかったの。だってそうでしょう?私たちは事実を言ったまでですもの。当然カイザルも承知の上で努力を怠っているものだと思っていたわ」
そいて各々がふざけた態度で謝罪してくるのだが、何か勘違いをしているようなのでバカなこいつらの為に俺は教えてやる事にする。
「あ? 誰に向かって謝罪しているんだ? 謝罪というのは加害者が被害者にする者であり今回の被害者はどう考えても俺の側仕え奴隷であるヨハンナだろうが。ならば謝罪をする相手は俺ではなくヨハンナにするべきだ。そんな事も分からんのか?お前たちは」
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