第164話 ランキング戦



 そもそもこの星と前世暮らしていた星とがどれ程離れているのかは分からないのだが、間違いなく一億光年程度ではないだろう。


 もしそれだけ近い距離に生物が生息している、それも文明を築いている人間に酷似した生物がいる星があるのならば、既にメディアやSNSなどによって拡散されているだろう。


 その事からも俺の住んでいる星と前世の星がある銀河は違う銀河だとみて良いだろう。


 そして前世の技術を持ってしても、前世の星がある天の川銀河から一番近い銀河であるアンドロメダ銀河にある星まで移動する技術は科学魔術共に確立されていない、というかほぼ不可能とされているのである。


 早い話があのコメント主が俺のいる星までやって来る事は不可能であるという事だ。


 なのでいちいち来るはずもない誰かに怯える必要は無いいう事でもある。


 ただ、何かが引っかかっている気がしてならないのだが、きっと気のせいだろう。


 …………ママゾンストアのアカウントを解析し、俺のアカウントに紐づいているストレージを経由して俺の下に来る……なんて事は流石に無いよな?


 そもそも他人のアカウントを勝手に解析するのは違法であるしストレージの繋がりを利用すると言っても距離が距離だけに生きた状態で経由するにはかなりの魔力が必要になるだろう。


 死んでも良いというのであれば輸送に必要な魔力はガクッと減るのだが、それだけ生きた状態で輸送するというのは難しく、魔力を莫大に消費するのである。


 ……なんか星座を利用してどーのこーの言っていたような気もするのだが……有り得ないよな? 


 死ぬかも知れないのに、誰がそんな賭けにでるのか。そもそもそんな魔力をこちらの世界で得る方法が見つけられなければ元の星に戻る事ができないのである。


 そんな死ぬかもしれない片道切符の旅に出るだけのメリットがあるとは到底思えない。


 そう自分に言い聞かせてこの件は忘れる事にするのであった。





「と、いう訳でもうすぐでランキング戦が開催されます。皆さんの日頃の努力をこのランキング戦に出し切って、少しでも上位のランクに入れるよう先生は祈っています。皆さんであれば普段の力を出せばおのずといい戦績になる事でしょう」


 そして次の日、俺は今日も今日とて学園へと通っていた。


「ご主人様レベルであれば余裕でランキング戦なんて勝ち抜いて優勝してしまいますねっ!!」


 その担任教師の話を聞いていた筆頭奴隷という肩書をつい最近つけてやったヨハンナが鼻息荒く自信満々に『ご主人様が勝つだろう』と息巻いて話してくる。



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近況ノート(限定)にて168話(ストック分)まで更新いたしました。

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