第159話 世界に産まれて来た意味
早速わたくしはご主人様のいる帝国へ、ご主人様から頂いた【瞬間移動くん】を行使して帝国へと戻ると、今回の功績を告げる。
ちなみにこの瞬間移動くんは移動したい場所に印をつけると、そこへ一瞬で移動することができるという信じられない効果を持つ魔道具である。
ご主人様がしばしば死の森やロレーヌ領へ行き来できるのもこの魔道具のお陰でもある。
そしてわたくしはオルグに印をつけて、ついでに盗聴できる魔道具も魔術の練習台にした時に体内に仕込んでいたのでタイミングよく一瞬で元実家に現れる事ができたという事である。
因みにオルグに仕込んだ印と盗聴できる魔道具は解除せずに今もオルグに仕込んでいるままである。
もしかしたら何か役に立つかもしれないし、役に立たなければ立たないでそれも良いだろう。
「…………よくやった。さすがおれの奴隷だな……っ」
それら全てご主人様に話すと、ご主人様は驚いた表情のまま数秒間固まったあと、一瞬だけ悩んだような表情をしてからわたくしの頭を軽く撫でながら褒めてくれるではないか。
「ご、ご主人様ぁぁああっ!! わたくし、わたくし頑張りましたのっ!!」
他人から褒められるのはいつぶりであろうか。
わたくしは恐らく誰かに褒められたかったのだろう。
だからこそ今まで元家族に虐げられてきても『もしかしたらまた昔のように褒めて貰えるかもしれない』というありもしない幻想にしがみついていた。
でも、わたくしを褒めてくれたのは、わたくしが本当に欲しかったものを与えてくれたのは元家族ではなく、ご主人様だった。
そして思わずわたくしはご主人様の胸に飛び込み、止めようと思っても涙も声も抑える事ができずにわんわんと子供のように泣きじゃくる。
「あぁ、よく頑張ったな。でも俺の為に危険な事はして欲しくないな。お前も他の奴隷達も俺の大切な財産だ。勝手に消えてしまうのだけは止めてくれよ?」
そしてわたくしはご主人様から『大切な財産』だと言われて更に涙が溢れて来る。
嬉し過ぎて泣くなど、今までの人生で初めての経験だ。
それと同時にわたくしはこの世界に産まれて来た意味はあったんだと、ご主人様の優秀な奴隷となるべき為に産まれて来たのだという、産まれて来た意味を見つける事ができのであった。
◆主人公side
いきなり奴隷の一人であるエリスが俺の前に現れた時は何事かと思ったのだが、彼女の表情から悪い事が起きたので連絡しにきたという訳でもなさそうだなと、内心ホッとする。
しかしながら彼女が口にした言葉は俺の想像の斜め上というか、国際問題になりかねない内容であった。
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ドラゴンノベルコンテスト読者選考期間が本日12時にて終了でございます為、当作品の更新頻度は落ちます事をご理解ご了承の程何卒宜しくお願いいたします。
今後でございますが、ジャンル別週間ランキング10位以内の内は毎日一話更新、10位以下になってからは他の連載中作品と順番に更新していく予定でございます。
一緒にドラゴンノベルコンテストを駆け抜けてくださりありがとうございましたっ!! コンテスト中は読者の皆様のお陰で楽しく書き続けることができましたのでお礼申し上げます。
次はカドカワBOOKSファンタジー長編コンテストにて新作『悪役令息に憧れて』(タイトルは変更する場合がございます)を連載予定ですので、そちらの方も読んでいただけるととても嬉しく思います。
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