第158話 奴隷の財産はご主人様の財産



「も、もうやめてくれ……っ! 俺達が悪かったっ!! それにさっきからちゃんと謝っているだろうっ!? そもそも謝罪を受け入れて許すのが貴族というものであろうっ!! であるにもかかわらず謝っている相手にこんな事をして許されると思っている──ぎゃぁああああああっ!? ぐぅうう………な、何故だ……っ」


 わたくしは元家族に向かって『まだまだ魔術の実験をしようか』と問いかけると、元父親が『謝っているから許せ』というような事を涙と鼻水と汚物を垂れ流しながら訴えてきたので、わたくしは元父親の右腕を【グラビティー】で潰す。


「謝ったら許すのが貴族……? 貴方は、貴方達家族はわたくしが謝罪しても『魔術の実験』や『魔術の練習』とやらは止めなかったですのに? それに、貴方……そんな事を言っているのですけれども、下級貴族や弱みを握った貴族に対して脅し、高い金利で金を貸しているのも調べはついておりますわ。その者達がやめてと、罪も無いのに謝罪しても、貴方は突っぱね、その裏で笑っていたのでしょう? その番が自分に周って来た時に『謝罪すれば許される』と何故思えるのかしら? わたくしにはとても理解できませんわね」

「そ、それはアイツらが悪いんだっ!! 俺はあいつらの為に心を鬼にして──」

「あら、奇遇ですわね。わたくしも貴方達元家族の為に心を鬼にしているんですの。それに、元々の原因は貴方達がわたくしに恨みを抱いてしまうような行為を長年にわたってして来たからですものね。因果って、あるんですのね」


 そしてわたくしはこの後様々な魔術を試した後に、元父親から快く『ファング家の家督』を継ぐ事となった。


 さすがわたくしの元ではあるもののお父様ですわね。何故だか分からないのですけれどもわたくしが『爵位を継がせろ』と少しだけ強めにお願いしただけで継がせてくれるんですもの。


 勿論、この光景を見ていたゼスには引き続きのこの家の執事をしてもらい、他の使用人にも家督がわたくしに変わった事を伝えるように指示をだす。


 爵位だけではなく、家も使用人も含めた全ての財産もセットでつけてくれるだなんて、やはり持つべき者は元家族ですわね。


 これでわたくしはご主人様であるカイザル様に嬉しい報告と少しばかりの恩返しができますわね。





「え? 今何て言った?」

「ですので王国にあるわたくしの実家の爵位を継いできましたわ。そして奴隷の財産はご主人様の財産であり、わたくしの主はカイザル様でございますので、実質わたくしのご主人様であるカイザル様がファング家の家督を継いだようなものですわね」

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