第152話 嫌だとは言わせませんわよ?



 そしてオルグに急かされたギルド職員は、オルグの事を睨みつけながらも修練場の真ん中へ行くと、わたくしたちが準備を終えるまで待ち、決闘開始の合図をする。


 そしてわたくしがやった事は『オルグが行使した魔術と同じ魔術を行使していく』というものである。


 オルグよりも後に行使したにも関わらず、無詠唱で行使したわたくしの方が発生は早く、そしてママゾンストアによって与えられた魔術知識のお陰で魔力効率が良くなるように魔術を行使している為、同じ魔術であろうともわたくしが行使した魔術の方が威力も耐久力も高く、本来であれば同じ魔術どうし相殺されるところをオルグの魔術だけが消え、わたくしの魔術は消える事無くオルグへと届くというのを繰り返していく。


「な、何故だっ!! 何故同じ魔術を使っているにも関わらずお前の方が早く発生して、さらに威力もお前の方が高いんだよっ!? ふざけるなっ!! こんなもの明らかに何か不正をしているに違いないっ!! おいっ!! ギルド職員っ!! 明らかに不正を行っているのに何で注意もせずに突っ立っているんだっ!? 仕事をしろよ使えないっ!!」


 その現状に、ついにオルグが切れて、自分よりもわたくしの方が魔術を効率よく高い技術で行使しているという事は認められず、その理由を『わたくしが不正をしているからだっ!!』という考えになったようだ。


 そしてオルグは審判をしてくれているギルド職員にたいして『わたくしが不正しているから注意をしろ』と叫ぶのだが、その姿はあまりにも滑稽で醜く、わたくしですら羞恥心を感じてしまう程である。


「エリス様は何も不正はしておりません、ただ単にあなたよりエリス様の方が魔術を行使するまでの速さ、魔術の威力、魔術の安定感、それら全てにおいて上回っているだけです。次にそんなくだらない事を申し出るのであれば警告では済ましませんよ?」

「ぐぎぎぎぎ…………そんな訳がない……そんな事があって良い訳がないだろう……っ。そうか、そういう事か。お前たちは初めからグルだったんだな……っ!!」

「そう思いたいのならばそれで良いのですけれども、そう言えばオルグ、あなた以前わたくしに『魔術の練習』といってよく虐めてくれましたわよね? レベルの低い魔術ばかり真似て行使するのも飽きて来ました事ですし、次からはわたくしの魔術の練習台になってくれますわよね?。あぁ、死なないように威力は抑えてあげますので安心してわたくしの魔術の練習台として逃げまどってくださいまし。オルグはわたくしを魔術の練習台にしたのだから、逆にわたくしの魔術の練習台にされるのが嫌だとは言わせませんわよ?」

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