第118話 どこへいこうと言うのかしらぁ?
「……はい?」
そして、その慌てようからいったいどんな事が起きているのか頭の中である程度推理しながら聞いてみると、部下の口からでた内容は『クヴィスト家の名を騙る者にゴッヨクが暴行を受けている』というものではないか。
「……すまん。俺の聞き間違いでなければこの領土を経営しているクヴィスト家の名を騙っている青年がゴッヨクに暴行しているという事でいいか?」
「は、はいっ!! そしてゴッヨクから早くこの事を庁舎に行って伝えて来いとの事でしたので……い、急いで駆けつけたしだいでございますっ!!」
その言葉を聞いた俺は初め聞き間違いではないのか? と思ってしまう程の内容に思わず部下に聞き返すのだが、部下はその内容で間違いなく、そしてゴッヨクがこの部下に伝えるように命令したという事のようである。
「……なるほど。それで、その青年は本当にクヴィスト家の嫡男であるカイザル様ではなく、どこの馬の骨とも分からない平民で間違いないのか?」
その話が本当であれば今すぐにでも現場に駆け付けるべきであろうが、もしその『クヴィスト家の名を騙る青年』が本物であった場合も、万が一あるので念の為部下に確認を取る。
「そ、それが……その青年の自信に溢れた言動からは本当にクヴィスト家の者である可能性があるかとも思いましたが、もし本当にクヴィスト家の嫡男であるカイザル様であればそもそも平民のいざこざに首を突っ込むような事はしないでしょうし、平民を助けるよな事は猶更しないのでは、と思いますので私もゴッヨク同様にあの青年は偽物だろうと判断しました……っ」
「……それもそうか、あのバカなくせに天才だと思っている上に平民の事を人間とも思っていないあのクズが、平民のいざこざへわざわざ首を突っ込み、女性を助けるためにゴッヨクに喧嘩を売るなどという事をする筈がないか……。分かった、今すぐ現場に向かおうっ! ドルンも行くぞっ!」
しかしながら部下の言う通りあのクズで有名なカイザル様がわざわざ平民を助けるためにこんな面倒くさい事をする筈がないので、現場にいる奴はゴッヨクや部下が言うようにクヴィスト家の名を騙るバカで間違いないだろう。
そう判断した俺は一刻も早く現場に向かうべきであると判断し、副衛兵長も来るように指示をだしながら準備をして庁舎の外へでる。
「…………あら、どこへいこうと言うのかしらぁ? 残念ですがぁ、あなた方はここから移動させないように言われておりますのでぇ、痛い思いをしたくなければそのまま回れ右をして建物の中に入ってもらえませんかぁ?」
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