第116話 喜びの雄たけび



 今の豚の格好は生まれたままの状態、素っ裸な上に赤ちゃんを彷彿とさせるポーズでチコーニャを使って固定してソーセージと菊の花を丸出しで地面に転がっているその姿はまさに変態そのものではないか。


「お前がやったんだろうっ!! さっさとこの拘束器具を外せっ!!」

「は? お前はこれからここの住人達の手によって蹂躙されるんだから、万が一お前が動けて反撃されでもして住民が傷ついたりしたら問題になるだろう?」

「…………は? お前何を言ってるんだ……っ!? 冗談だよな……っ!?」

「冗談でそんな事を言う訳がないだろう。何を言っているんだ? でも安心してくれ。お前は司法で裁くつもりなので死なれたら困るんだよ。だから死なないように一定の間隔で死なない程度自動回復するリジェネを付与させてやるよ」


 そして俺はママゾンストアで立て看板を購入してストレージから取り出すと『恨みがある人は殴る蹴る等してその恨みを晴らしてください』と書いて地面に転がっている豚の横に立てる。


「も、もう少ししたらさっきの衛兵が仲間をつれてここに来るっ!! こんなことしておいて逃げようだなんて思うんじゃないぞっ!! キッチリやられた以上の事はやり返してやるからなっ!! 覚悟しておけよっ!!」

「あぁ、その事なんだが来ないと思うぞ? 俺の奴隷を先回りさせて庁舎に向かわせているからな。お父様にも既に連絡しているから、お父様が庁舎へ向かうまで足止めさせているところだ。ここ最近奴隷達が目に見えて強くなってきているので頼もしい限りだよ。じゃぁ、俺も今から庁舎に行ってお父様と詰めに行くわ。ここに来ている野次馬達も衛兵はここに来ないし万が一この豚の件でしょっ引かれたとしてもクヴィスト家が無罪にさせてやるから安心してボコってくれ。それじゃぁな、豚」

「あ、おいコラッ!! ふざけんなっ!! あぎゃっ!? 痛いっ!! やめろお前らっ!! 俺を誰だと思ってやがるっ!! あがっ!? お前ら庶民は搾取される側の底辺の癖に、こんなことしてただで済むと思うなよっ!! あぎゃぁぁぁぁあああああああっ!!!! 股間を蹴るなぁぁぁぁああああああああっ!!!! 痛い痛い痛い痛いっ!! ………ふぅ、自動回復を付与するってのは本当だったんだnいぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいっ!!?? た、たのむっ!! 俺が悪かったっ!! だから話し合おうっ!! そ、そうだっ!! この拘束器具を取り外してくれたものには俺の店で働かせてやろうっ!! な? 悪い話じゃないだろ? おごぉぉぉぉおおおおおおおおおっ!?」


 そして俺は豚による喜びの雄たけびを聞きながら庁舎へ向かうのであった。

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