第102話 こんな理不尽な事が許されても良いのか

 


「なるほど……四種ほど果実があるみたいなのだが、これはどれも同じ種類なのか? 見た目は勿論、食べてみれば味も異なるようなのだが?」

「いえ、これらは四種類の植物系魔獣から取れたものです」

「なるほど……しかし、まさか魔獣を討伐するのではなく、まさか共存という形の有効活用をするとはなっ!! 流石俺の息子だっ!! これで我が家は他の貴族には真似できない強みを手に入れた訳だっ!! こんな目出度い事を祝わずしてどうするっ!! この功績を称えるパーティーを開こうではないかっ!! のう妻よっ!!」

「えぇ、そうねっ。私たちが想像していた以上に大きな功績を持って帰ってくるなんて……。つい最近まであんなに小さかった私たちのカイザルが……。もういつ引退しても安心ですねっ!! あなたっ!!」


 両親は、まさか俺がここまで自分たちにとってメリットになるように解決してくるとは思っていなかったのか、想像以上の結果に両親は大はしゃぎである。


 まさかパーティーまで開こうとするほど喜んでくれるとは、流石の俺も想像していなかったのだが、両親が喜んでくれているのであれば、それはそれで良いだろう。


 でもパーティーか……面倒くさいけどここは両親の為に我慢するか。



◆プレヴォside



 畜生……なんで俺がこんな目に合わなければならないんだよ……っ! この俺が何をしたって言うんだよ……っ!! 


 悪いのは全てカイザルじゃねぇかっ!! 俺はあのクズに虐げられていたアイツの婚約者を救い出そうとしただけじゃないかっ!! それが何故俺が裁かれる立場になっているっ!?


 普通に考えれば裁かれる立場はアイツではないかっ!! 今まであいつのしでかしてきた数々、それらを鑑みれば牢屋にぶち込まれてもおかしくないではないかっ!!


むしろ俺がした行為など誰も傷つけていない点からしても、なんなら女性一人をアイツの魔の手から救い出したという点でも、どう考えても俺は明らかに良い事をしたことを考えれば褒めたたえられても良いはずであるっ!!


 それがどうだ……。父親からは実家から追い出され、跡取りも俺ではなく弟となり、家名を剥奪され名乗る事すら許されず、平民として叩き出されてしまう……。


こんな理不尽な事が許されても良いのか!? 良いはずがない……っ!!


「道の真ん中で突っ立ってんじゃねぇよっ!! 邪魔だろうがっ!!」

「うぐっ!! …………畜生……っ」


 貴族であった時は道の真ん中で立ち止まっても、平民から突き飛ばされるなどという事はなかったし、むしろ周りにいる平民が自ら避けてくれたのが、今では少しばかり立ち止まっただけで平民から突き飛ばされる始末である。

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