第101話 その命を背負うという事
「さすが村長だなっ!! 村長ならば承諾してくれると信じていたよっ!!」
「いえいえ、この村をより大きく、そして平和にしてくれるきっかけを作ってくれたカイザル様の為であればこのゼフ、魔獣の苗四株くらいであれば二つ返事で育てますともっ!!」
四株の魔獣の苗を育ててくれることを承諾してくれた村長の背中を俺はバシバシと叩きながら褒めたたえると、村長も俺と一緒になって喜んでくれるではないか。
生き物を育てるという事は、その命を背負うという事でもある。
クズだと思われようとも俺は愛でたいが毎日の世話となると面倒くさいと思ってしまうタイプである。
さらに、まだ学園に数年間も通わなければならない為、そうなってくるとまだ幼い魔獣の苗に何かあった時を想定してすぐ駆けつけられる位置で常に気にして見守る生活なんて事は出来ないからな。
そもそもの話お父様が魔獣を育てる事を承諾してくれない可能性だってあるのだ。
そして俺は村長であるゼフの気が変らない内にある物を大量にママゾンストアで購入してストレージから取り出して床に積み上げていく。
「あ、あの……カイザル様?」
「いやー、ゼフが承諾してくれて助かったよホント」
「そうではなくてですね。今、何も無い空間から大量に取り出しているこれは何ですかね?」
「あぁ、これか? これは魔獣の苗用の土と肥料だ。販売元は農業協力支援事業組合、略して農協からママゾンストアで購入したものだから間違いないと思うぞ? 後はある程度魔獣たちと村人たちの意思疎通がスムーズに行くまではニーフとノムをこの村へ通わせるから、土や肥料が適しているかどうかはニーフから苗木に確認してもらい、土の事についてのあれこれはノムに聞いてくれ」
「へ? 農協? ママゾンストア?」
「では村人達よっ!! この記念すべき日の為俺がご馳走を振舞ってやろうではないかっ!! 勿論酒もだっ!!」
「「「「うぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」」」」
そう早口で説明すると、いろいろと突っ込まれると説明するのも面倒くさいのでこの話は終わりだとばかりにストレージからママゾンストアで購入したテーブルを外へ並べて行き、その上に様々な酒や食べ物を取り出して有耶無耶にするのであった。
◆
「ほう……これが植物系の魔獣から収穫した果実であると?」
「はい、お父様。みずみずしくも味は薄いどころか濃く濃厚で、そして甘い上に栄養も満点でございます。それだけではなく、様々な効能もあるようで、そちらについては今一つ一つ調べているところでございます」
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