第100話 さすが村長である
という風に俺はそれっぽい事を村人たちへ説明するのだが、やっている事は正直言って騙しているようなものなので少々キツイものはあるものの、魔獣たちの縄張りに勝手に入って来て侵略している上にやり返されたら逆恨みをしている事には変わりないので、嘘は言っていない。
ただ、魔獣は植物系という事もあり、株分けされた分身体や、地下茎で繋がっている個体もいる為、魔獣側からすれば手足が潰された感覚に近く、村人たちが思っている以上に殺された魔獣の数は少ないだろう。
それでも人間側の一方的な私欲によって殺された魔獣もいる訳で……。
因みにこれに関して魔獣たちは怒るなどではなく『弱肉強食は当たり前。殺された奴が弱かっただけ』という感覚らしく、別段人間に対して恨みを持っている等はあまり無いようである。
そこはやはり魔獣と人間の個にたいする価値観の違いだろうし、そのすれ違いを見つけ出して今後よりよい関係を築いていけるようにお互いにすり合わせていくべきだろう。
「……そうだな。魔獣たちも仲間を殺されているにも関わらず我々に差し伸べた手を振り払うような行為をするのは、死んでいった者達にも失礼だよな。それに死んでいった者達は復讐よりもこれから産まれて来る子供たちにとって平和な未来の方を望んでいるはずだっ!! どうだっ!? お前達っ!!」
そして村長ははじめ、自分に言い聞かせるように話はじめ、最終的に集まった村人達へと賛同を求めると、それを聞いていた村人達は涙を流しながら『うんうん』と首を縦に振り、村長に答える。
「そうだっ!! 今日という目出度い日を忘れない為に、そして我々と魔獣で死んでいった者達を供養するという意味を込めて村の真ん中に大きな記念碑を立てようっ!!」
村長は周囲の反応を見た後、記念碑を立てようと叫び拳を振り上げると、村人達も同じく歓喜の雄たけびを上げる。
「では、これからは魔獣と手を取り合うという事で話を進めていくとして、一つ実験をしたいので話だけでも聞いてもらいたいのだが?」
「何でしょうか? カイザル様っ!! なんでも言ってくださいっ!!」
「実はこの森に住む植物系の魔獣は、東西南北に四種類縄張りを持っているのだが、その四種類を束ねる個体から株を分けて貰ったので、育てて欲しいんだが?」
「そ、それくらいの事でしたらお安い御用ですが……」
機嫌がかなり良くなっている今ならば面倒事……ではなく実験を村長に擦り付ける……ではなく託すことができると思った俺は、四種類の魔物から株分けして貰った個体を育てて欲しいとお願いしてみると、村長は快く快諾してくれるではないか。さすが村長である。
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祝!! 100話です(*'▽')ノ
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