第98話 唯一無二の特産品



 うん。異性の裸に対して一番興味が湧く年齢だもんな。


 若さゆえに興味があるのに若さゆえにプライドが邪魔して『見たい』と素直に言えないサラの気持ちは良くわかるぞ?


 そんなサラの年相応な反応を見て俺は『うんうん』と頷く。


「……何か言いたい事があれば言いなさいよ?」

「別に?」


 さて、話は戻すとして魔獣達は俺の目論見通りノムの作った土壌の味を知ってしまってはもう普通の土壌には戻れないだろうことは、あの、けして人には見せてはいけない表情を見ただけで理解できてしまう。


「ね、ねぇ……」

「何だ?」

「大丈夫なの? なんだかヤバい気がするんだけど?」

「まぁ大丈夫だろう。 というか今まで手入れをされていなかった、自然のままの土壌しか味わってこなかった分、ダイレクトに栄養のある土壌の美味しさが伝わってしまうのだろう」

「だ、大丈夫ならそれで良いけど……」

「もう今までの土壌には戻れないだけさ」

「それ大丈夫なの?」


 確かに、あの某料理漫画のような反応をしている魔獣たちの姿を見てしまっては、サラが心配になってくるのも理解できる。


「毒を盛っている訳ではないから大丈夫だろう? 俺達で言うと調味料が無い生活をしていた者に様々な調味料やら香辛料をふんだんに使って素材以外の味付けをした料理を振舞ったようなものだろう。そうなれば塩すら使わずに素材だけで作った料理はもう料理とは呼べなくなるし美味しいとも感じづらくなるだけで別に死ぬ訳ではないしな……。原始的な料理の方が良いと言うのであればそれで良いし調味料を使った料理が良いと言うのであれば俺たちと手を取れば良いというだけだ」

「……なるほど?」


 そして魔獣たちはノムの作った土壌をある程度堪能したあと何やらニーフと話しているようである。


「……ご主人様、魔獣達の意見が固まったようです。この者達は、この土壌を定期的に供給してくれるのであれば、ご主人様の話に乗ってくれるようです。あと、前払いとして魔獣達の身体にできた果実を頂きました……っ」

「ありがとうニーフ。ノムもニーフも良くやってくれた。あと、ノムは前払い分土壌を豊かにしてやってくれ」

「おっけーっ!! ちゃちゃっとやっちゃうねっ!!」

「それとほら、これが俺の言っていたメリットだ。サラ」

「わっととっ。急に投げてこないでよ……っ。でも、これがメリット……食べれるの?」

「あぁ、一応鑑定してみたが食えるみたいだぞ? この植物系の魔獣から取れる果実を市場に出せば回復の材料である植物の他に、他ではまねできない唯一無二の特産品になるんじゃないのか?」


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