第97話 謎の光



「あ……っ」

「うん? どうした?」

「……何でもないわ」


 そして、男性型の魔獣が大事な部分を隠したところでサラから残念そうなため息が聞こえてきたのでどうかしたのか聞いてみると何でもないようだ。


 因みにサラさえいなければ、俺はずっと女性型の裸体を拝む事ができたのに、なんてことは思っていないし、そんな事をこの俺が思う訳がない。


「ニーフ、この魔獣たちに人の言葉を理解できるのか、または理解できないのであれば習得できそうなのか確認してくれ」


 取り敢えず今すべきことは意思疎通ができるかどうか確認するべきだろうと考えた俺はニーフへその事を魔獣たちに伝えてもらう。


「……確認しました……。……こちらの意図を理解しているので言葉さえ覚えれば理解する事は出来そうですが声帯が発達していないので喋る事は出来そうにありません……っ」

「ふむ、そうか。ならば俺がこれから行う事をこいつらに伝えて欲しい」


 最初は暴れ狂う可能性も想定していたのだが、俺が想像していた以上に知能が高いようで、ニーフとのやり取りはスムーズに進んでいる事が分かり一安心である。


 争わずに済むのであればそれに越したことはないしな。


「……ご主人様の計画は理解できたようなので、一旦ノムの作る土壌とやらを味合わせて欲しいとの事です……っ」

「分かった。ノム、魔獣たちのいる辺りの土壌を栄養満点な、豊かな土にした上に加護も付与してやってくれ」

「分かりましたーーっ!!」


 そして一通り説明を終えたらしく、魔獣たちからノムの作った土を確かめてみたいとの事らしいので、ノムに指示をして魔獣たちのいる辺りの土壌を豊かにして加護も付与するように指示をだす。


 その俺の指示を聞いたノムが言われた通りに土壌を豊かにして加護を付与した瞬間、俺は一つの真実に気付く。


 栄養満点な土と加護の付与によって悶える女形の魔獣二体……その光景はまさに天竺であると言わざるを得ないだろう。(男性型は光を屈折させて見えないようにしている。当然サラの視界も)


 どこの誰かは分からない、まだ会った事すらないお師匠様……。天竺はここに、確かにありました……っ!!


「ちょっとっ!! どうなっているのよっ!? 謎の光が邪魔して見たいカ所が見えないじゃないのよっ!!」

「見たいのか?」

「…………そ、そそそそそそんな事は無いけど私だけ見えないのは納得いかないのよっ!!」

「別に謎の光で隠れている箇所以外はちゃんと見えているんだろう? ならば何の問題がある?」

「…………覚えておきなさいよっ!!」

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