第96話 これが年の功というモノであろう


「ふむふむ、なるほどなるほど。それでどういったメリットがあるのかしら?」

「それをこれから魔獣たちに確認するんだよ」

「お、教えてくれたって良いでしょうっ!?」

「良いから良いから」

「ケチッ!」

「はいはい。というか少しは考えてみたらどうだ?」


 考えるのが面倒くさいので考えているフリをして、俺に答えを聞き出そうをしているのがバレバレなので、取り敢えずサラには答えを教えずに早速開拓を実行する為に動き始める事にする。


「ニーフ、この死の森にいる植物系の魔獣の中でボス的な者はいるか探してみてくれないか?」

「かしこまりました…………そうですね、東西南北に四体、東にドライアド、西にトレント南にアラウラネ、北にマンドレイクがおり、それぞれの種族ごとに縄張りを維持しているようですね。呼びましょうか?」

「あぁ、頼む」


 取り敢えずこの死の森にいる上位種であろう者達がいるかニーフに確認してみると、どうやら四体、四種存在するようなので、ニーフにここへ呼んでもらうように指示を出す。


 そして待つ事小一時間ほどで全ての種族が俺の前に揃った。


「きゃぁぁぁあああああああああああっ!! 嫌ぁぁああああああああああっ!! ダメダメダメダメダメだってっ!!!!」


 揃ったのは良いのだがサラがうるさく悲鳴を上げていた。


 因みに文字で表現していると襲われているように聞こえるかもしれないのだが、その悲鳴は嫌がっているというか、どちらかというと歓喜に近い感情からくるものである事が伝わってくるくらいには分かりやすく黄色い悲鳴であった。


 というのも、俺の前に集まった四体の植物型の魔獣なのだが四体全て身体の七割が人型で残りは植物的な要素を含んだ見た目をしており、女性型と男性型が二体ずつ。


 当然魔獣なので人間のように服を着るという習慣が無いのか裸である。


 そう、裸なのである。


 照れ隠しというか『嫌だ。見たくない』という意思を示す為に叫ぶ言葉自体は否定的な内容なのだが、手で顔を覆っているフリをして指の隙間からガッツリと確認しているのがバレバレなあたり、まだまだ修行が足りないと言わざるを得ない。


 俺レベルになると逆に無反応でガン見する事によって『興味が無いんだな』と周囲に思わせるという手段を取る事でじっくりと観察できてかつ周囲には保険をかけることができるという、正に隙が無い手段を取る……これが年の功というモノであろう。


 しかしながら流石にサラの前では刺激が強すぎる為ニーナを通じて魔獣たちには大事な部分を隠すように指示を出してもらう。

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