第94話 共存できる選択肢を選びたい
「……………………忘れなさい」
「いや無理があるだろう……」
流石にあの限界オタクみたいな反応を見てしまっては忘れる事など死ぬまで無理だろう。
「……そう。あなたは悪くはないけど、なんなら大精霊様に会わせてくれた良い人だったけど、この村を開拓すると言って魔獣に食われてしまった……。カイザル、貴方の死は無駄にはしないわ。お父様を含めた村人にも貴方は勇敢だったと伝えておくから、安心して成仏をしなさい……っ」
「おい、ちょっと待て。そもそも俺はまだ死んでいなければ魔獣にすら出会っていないっ。というかその手に持っている、人を殴るには良い感じの大きさの石をどうするつもりだっ!! 地面に置くんだっ!!」
「うるさいっ!! 死人に口無しよっ!! 良い感じに私がストーリーを作って言い伝えてあげるから安心して死になさいっ!!」
そしてサラは手に持っている石を振り回してくるではないか。
流石に危ないので手に持っている石を地面に置くように言う。
しかしながらサラは俺の言葉を全く聞く耳を持たないようなので手荒な真似はあまりしたくはなかったが流石に危ないので、手に持っている石を叩き落とす。
「まったく、要らぬ手間を増やすなよ」
「……ごめんなさい。ちょっと感情が乱れてしまったようね……ごめんなさい」
「ちょっと?」
「何か?」
「いや……何でもない」
少しばかり俺とサラとの間に認識の違いはあるものの、そこを追及する意味はないし、感情が安定したのであれば今はそれで良いだろう。
「それで、大精霊様二人を呼び出したのは良いのだけれど、どうやって開拓していくのかしら?」
「そうだな……今までの話からすると木を切ろうとすると襲われるが、木を切らなければ基本的には襲われないという事だから、恐らくここの植物系の魔獣たちはこちらがこの死の森を破壊している意思は無い事を伝えれば襲って来ない可能性が高いと判断して今回ニーフとノムを召喚した訳だ。ニーフに関しては木の精霊である為植物系の魔獣との意思疎通ができる可能性が高く、こちらにはこの森を破壊する意思はない事を伝えてもらい、ノムには植物系の魔獣に適した土壌を作ってもらおうかと思って召喚して見た訳だ。これでうまく植物系の魔獣たちへこちらの意図を伝えれば木を伐採する事はできるかもしれないだろう? まぁ、これでだめならば強行手段を取るのだが、できる事であればまずはお互いに共存できる選択肢を選びたいからな」
「…………なるほど」
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