第92話 コイツを開拓に同行させよう


「アンタこそ、何でそんなに自信満々なのよ? この死の森を開拓しようとした者達がどうなったのか知らない訳ではないのよね? なのにどうして……っ?」

「どうしてって、それはお前……開拓できるという確固たる自信があるからだな。どうせだからお前もこれから一緒にくればいい。良いものを見せてやるよ」

「え? 死にたくないし、そもそもパンツ一丁の男と一緒に歩きたくないんだけど?。 あと私はお前じゃなくてちゃんとサラっていう名前があるの。だから『お前』って呼ぶのは止めてくれないかしら?」


 うん、コイツを開拓に同行させよう。逃がしはせぬ。


「マリエル」

「はい、ご主人様。この知能が蟻以下の雌猿を確保し、連れていきます」

「うむ」

「ちょ、ちょっと放しなさいよっ!! というか知能が蟻以下の猿ってシンプルに悪口なんですけどっ!! アンタ使用人の教育もできないのっ!? というか私の名前はサラって言っているでしょうっ!! あ、ごめんなさいっ!! 教育ができてないってのは訂正するわっ!! だから脇に抱えるようにして運ぶのは止めてっ!! って、痛いっ!! 苦しいっ!! 締め上げすぎだからっ!! 謝るから止めてっ!!」


 そして俺は視線でマリエルに指示を出すと、マリエルは全て察したのかゼフの娘サラを脇に抱えて持ち上げ、俺達二人はサラの抗議は流しつつ昨日ゼフに確認した周辺の地理の中から開拓に適していそうな場所へと移動する。


「あぁ、もう駄目だ……私はここで死ぬんだ……っ」

「そんな大げさな……」

「大げさじゃないわよっ!! むしろ今まで開拓できなかった事を考えればこの森を開拓するなんて自殺行為だって事くらい分かるでしょうっ!?」

「まぁ良いから見てろよ」


 とりあえず現地に到着したのは良いがマリエルの脇に抱えられたままサラが泣き喚き始めるので、とりあえず安心させる為にも早速死の森の開拓を始める事にする。


「死んだら呪ってやるからっ!!」

「はいはい。死んだらな」


 サラの言葉をスルーしつつ俺はストレージから人工知能搭載ロボットを二体出現させる。


「やっとご主人様の役に立つことができる……っ! うふ、うふふふふっ!! これってもう婚約間近という事なのではっ!?」

「そんな訳がないじゃん。 馬鹿なの?」

「何ですってっ!?」

「お? どちらが上かそろそろ決めちゃう? 買うよ? その喧嘩っ」

「あなた達、ご主人様の前くらい仲良くしなさい……っ」

「マ、マリエル……居たんなら言ってっていつも言っている。本当は私達仲良し……だよ?」

「そ、そうだよね……仲良しだよね……? 多分?」

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