第79話 聖騎士団団長
◆聖騎士団長side
人身売買の部門が潰されたと知られたのは昨日の事であった。
「くそが……あの領地を本拠地にするために生かして置いたら将来間違いなく面倒くせぇ事になるウジエッリ家の長男を罠に嵌めて殺したというのに……。なぁ、これどうすんの?」
とある帝国の教会、その一室で一人の男性がソファーに座りながら葉巻をくゆらせながら怒りを隠す事もせずに、部下を叱責していた。
この男性はロイセス聖教会、その宗教団体が待つ武力、聖騎士団団長ユーグ・ド・イアンであり、八十年前に聖騎士団を設立した張本人である。
見た目は、身長二メートルを超え筋肉で隆起した肉体を持ち、顔は美しく抽象的でどこか幼さすら感じる。
その容姿から女性からの人気は高く、自身の容姿と立場を利用して女をとっかえひっかえしており、今現在も両脇に女性を侍らせている。
「す、すみません……」
「謝罪は聞き飽きたし、俺が聞きたいのはそんな形だけの謝罪じゃねぇんだよ。なぁ? どうすんのこれ? って聞いてんの? 俺が言っている事分かる? 言葉通じてんの? 帝国に作った人身売買組織の売り上げが無くなるとどれだけ損失が出ると思ってんだよなぁ? 」
「そ、その損失は重々承知しております……っ! ですが、ブレット・モーデルだけではなくスレイヴ・トレドまでやられるとは微塵も思っていなかったもので……。まさかそのような人物がいる組織が我々の他にいるとは思っておらず……私にとってもまさに誤算であり青天の霹靂と言いましょうか……っ」
「あ? 何言ってんの? お前。帝国ならばスレイヴ・トレドとブレット・モーデルの二人で組織を作れば余裕で大丈夫だと説明したのはお前だよな?」
「そ、それに関してはその……先ほども申しましたように私にとっても計算外でありですね……っ」
「あの二人にどれだけ金を渡したと思ってんの? その金も結局は無駄金だったわけだ? 全体の損失と比べれば安いかも知れないがそれでも大金である事は間違いねぇ。それで、これら損失をお前はどうすんのって聞いてんだよこのボケがぁっ!! テメーの失敗はテメーでどうにかしろっつってんだよっ!! 何か言えばあーだこーだと言い訳ばかり言いやがってからにっ!! テメーでケツ拭けないんなら死んで詫びろやっ!! テメーのケツを拭くか死んで詫びるか選ばしてやるよっ!! あ? どうする?」
「そ、そう言われましてもあぎゃ……っ」
「ったく、責任取れないんならば初めからやんなやボケ」
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