第68話 出た芽は刈り取ってやるべき
「貴様ぁぁぁ……黙って聞いていればふざけやがってっ!! 奴隷の分際でこの俺様を見下すような目線を向けてくるんじゃねぇよっ!!」
そしてとうとう蛆虫は我慢の限界に来たのかヨハンナを殴ろうとしてくるではないか。
流石にこれは見過ごせないと思った俺は蛆虫の攻撃を防ごうと一歩前に出るのだが、その前にヨハンナが軽くいなしてカウンター気味に右フックを蛆虫の顎下を掠らせ、その影響で蛆虫がよろけたところで回し蹴りを更に蛆虫の左頬へ叩き込み吹き飛ばす。
「私の了承得ずに身体に触れて良いのはカイザル様だけです。そもそも了承を得ずに触れる事は勿論、言論で勝てないからといって暴力へシフトするのは流石にクズすぎるではないでしょうか?」
「て、てめぇ……っ」
流石にこれは蛆虫の脳に致命的なダメージを負っているのではないか? と一瞬心配になるのだが、周囲にいた野次馬がクッションになったのと回復魔術を使える者がいたおかげで脳へのダメージも大丈夫そうで安心する。
しかしながら、自分の奴隷にここまでさせておいて主人がこのまま引き下がるのは流石にどうかと思った俺はヨハンナを俺の後ろに下がらせ、野次馬の手を借りて何とか立ち上がった蛆虫の前に出る。
「なぁ、お前、さっきから誰の奴隷を口説いているんだ? 爵位、俺より下だよなぁ、確か」
「は? そんなものこの学園では通用しないという事が未だに理解できていないのかよっ!? この学園に通い始めたばかりってかっ!?」
「あ? だれが学園内の話をした?」
「……は?」
「お前こそ貴族の嫡男として何年過ごして来たんだよ。 プレヴォの件で何も学んでいないのか? 俺は学園の外の話をしているんだよ。早速使い魔を使って伝書を父上に送らせてもらおう。」
いままで自分に対する無礼な陰口などに気付かなかった悪影響であり、このようなバカは俺自身が招いた結果とも言えよう。
なのでこのような馬鹿どもは奴隷たちではなくて、種を蒔いてしまった俺がしっかりと出た芽は刈り取ってやるべきである。
「ひ、卑怯だぞっ!!」
「卑怯? 先ほどお前が俺の奴隷に対して行った一連の行為は、貴族という立場を利用して奴隷という自分よりも身分が低い者へ権力をチラつかせて相手の意見を無視して自分の意見を押し通そうとしていたお前が? お前みたいに学園内で権力を振りかざすのではなくて学園外で権力を使って正式に抗議するように動いている俺に向かって、卑怯と言ったのか? 自分が優勢の時は権力者として甘い蜜を吸おうとし、自分が不利な時は弱者として甘い蜜を吸おうとするゴミの癖に偉そうにしてんじゃねぇぞ?」
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