第67話 本性が現れましたね
ヨハンナも俺と同じようにこの男性をウジ虫でも見ているかのような視線を向けながら、問いかける。
その蛆虫はヨハンナや俺たちからどのように見られているのかすら理解できていないのか、まるで自分に酔っているような、例えるのならばヒロインを助けに来た王子様にでもなったような雰囲気で、ヨハンナへ返事を返すではないか。
「ではどうして『べき』だとか『考えている』なんですか?」
「それは君と出会ったからさっ!!」
「という事は、私を救った後も継続的に奴隷や、そうですね、娼婦……特に自らそういう行為が好きで雇われに行くような者も少なからずいる、店舗に所属しているような者達だけではなく、それすらできない、やりたくても門前払いをされて追い出されるような街娼なども精力的に助けていくという事ですよね? 頑張ってください」
ヨハンナは張り付けた笑顔でそう返すと俺の下へと返ってきて、蛆虫に見せつけるように腕を絡め、その豊満な胸を俺の腕に押し付けてくる。
「お、おいっ!! ちょっと待てよっ!!」
「何ですか?」
「俺は君を助けてやると言っているんだっ!! 何で俺の下に来ずにこんなクズ野郎の下に戻るんだよっ!! そもそも何で他の奴隷や街娼なんかの為に俺がわざわざ動かなけれなならないんだよっ!! そんなもの国か他の誰かがやれば良いではないかっ!! 今俺は君のためだけに話しているんだっ!! 他の者、それこそ街の汚物である街娼の話などしていないっ!!」
そんなヨハンナの態度を見た蛆虫は、訳が分からないといった表情で何故自分の所に来ずにカイザルを選ぶんだと、若干キレ気味に話すのだが、そんな蛆虫の態度にヨハンナは張り付けた笑顔を取り払い、蛆虫が集っている排泄物をみる目でそいつを見ると、一度深くため息を吐いてから話始める。
「貴方の言葉が全て嘘だと分かっているからですよ。『べき』だとか『考えている』だとか言っている時点で私からしたら『何も成し遂げていないにも関わらずそれっぽい大きな事を言って実際にやっているつもりになっている馬鹿野郎』という評価でしかないです。人権だのなんだのと言っている癖に、貴方は先ほどから私しか見ておらず他の奴隷に話しかける事もしなければ、言うに事欠いて街娼を街の汚物ですって? 言っている事がひっくり返っている時点で今まであなたが言っていた言葉はすべて嘘であり、欲しい物を手に入れる為ならば嘘を吐くような信用に値しない人物という事ですよね? そんな人物など知り合いにすらなりたくないので以後私には話しかけないでください」
「あ……な……き、貴様っ!! 奴隷の分際で誰にものを言っているんだっ!!」
「あら、本性が現れましたね。結局良い事ばかり並べても心の中では私の事を奴隷だと見下しているような貴方が、奴隷の人権がどうのとかよく言えたものですね」
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