第66話 理解できるだけの知能は無い

 俺の側仕えに関しては要らないと言っていたのだが、アーシャやマリエル、奴隷達から何かあってからでは困るという事で四人を側仕えとして連れて来る事にした。


 四人も連れて来る理由は、希望者が多いのでできるだけ回転数を早くするために四人にしている。


 この程度で奴隷達が喜んでくれるのであれば安いものだろう。


 正直な話しを言うと、男性から嫉妬の視線を向けられるのは、今までこの俺をバカにしてきた分だけ気分が良い。


 取り敢えずそんな感じで俺は快適に学園生活を過ごしている訳だ。


「君は、何故カイザルに身体をそんなにくっつけているのだ? こんな奴に自分の身体をくっ付けたり、その……触らせたりするのは嫌だろう? 奴隷であろうともここ帝国では人権があるとされているんだ。もし嫌な事をされているだとか、カイザルの下から離れたいと思うのであればこの僕を是非頼って欲しいっ!!」


 しかしながら、中にはコイツのように偶にバカが湧いて来るから奴隷と言えどもこの世界基準で美人過ぎるというのは少しばかりデメリットだろう。


 因みに奴隷達に美人が多いというのは語弊があり、実際はストレージで化粧のセットを一人一つ買ってやっており、化粧品を使うマニュアルや化粧の方法などはヘッドギアでインストールさせているので、その効果がそれだけ絶大であるという事なのだろう。


 魔術では勿論なのだが化粧品においても前世の方が圧倒的に優れているのと、この国の住人は顔が整っている者が多いというのも合わさった結果である。


 このような、バカが湧くデメリットを思いつかなかったという訳ではないのだが、あーでもないこーでもないと仲間ときゃいきゃい黄色声を上げて化粧を楽しむ彼女達の姿を見て、与えてよかったと俺は思う。


 こんなデメリット程度で彼女達から化粧をする事を奪う方が、俺は嫌だね。


 そしてこのウジ虫の如く湧いてきたバカなのだが、俺の二個上の上級生であり、伯爵家長男との事だ。


 自分からベラベラと喋るものだからついつい覚えてしまった。


「奴隷にも人権はある……ですか」

「あぁっ!! 奴隷と言えどもこの国の国民には変わりないっ!! そしてこの国の国民であれば等しく人権は与えられるべきだし帝国の庇護下で守られるべきであると俺は考えているっ!!」


 そしてこの湧いて出たウジ虫なのだが、どうやらヨハンナの事が大層気に入ったようで必死にアピールをしてくるのだが、ウジ虫が話せば話すほどヨハンナを含めた奴隷達の視線に怒りが滲み出てきているのが分かる。


 だが、そこはウジ虫。それすら理解できるだけの知能は無いようだ。


「奴隷であろうと国民は守られる『べき』だとか『考えている』……ねぇ」

「あぁそうさっ!!」

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