第46話 ご主人様から頂いた日本刀


「……ほう、ドラゴノイドか。それも、いい女だな。むしろこのレベルの女であれば商品として売る事もできる上にドラゴノイドという希少価値もつけて売り飛ばす事ができるじゃねぇか。良かったな、お前。これならば今回の失態では最悪殺されなくて済むぞ? おれからも一応大目に見るようにボスには伝えておくからよ」

「あ、ありがとうございやす……っ!!」

「しかし、見れば見る程良い女だな……。このまま売るには勿体ねぇ。一度ここで味見でもするか」


 気づかれてしまったからには隠れ続ける意味が無いと判断した私は、そのまま影から姿を現すのだが、ブレットは焦ったり警戒したりする事もなく、むしろ私が女であると気付いた瞬間に『敵』ではなく『商品』としてし見始めるではないか。


 こいつらが行っている事に対してただでさえ腹が立っていたにも関わらず、私が女だと分かった瞬間に『商品』であると判断したブレットに対して私の怒りはさらに強くなっていく。


「まさか私が女だからという理由で敵ではないと判断したんじゃぁないだろうな?」

「あ? 何言ってんだお前? 女は商品だろう? 俺たち男の為に使われて売られて買われて金銭を持ってくる事しかできないような存在が女だろう? そもそも女は鍛えたところでこの俺みたいに筋肉を付ける事もできない。そんなお前達女が男に勝てる訳がないだろう」


 どうやらこのブレットとかいうバカは女性の事を人ではなく商品として見ており、さらに女性は男性には勝てないと本気で思っているようである。


「よし、潰すか……」

「……あ? 今なんだって? 潰すって聞こえた気がしたんだが、まさか女であるお前がこの俺を潰すって言ったのか? 舐めてんじゃねぇぞ!! 女のくせに調子に乗りやがってっ!! 俺はお前みたいにほんの少し鍛えたからといって調子に乗り、男にも勝てると勘違いしている馬鹿な女が一番嫌いなんだよっ!!」

「奇遇だねぇ。私もお前みたいな女性を人とも思っていないようなバカな男が大っ嫌いでね、それこそお前みたいな奴は殺してしまった方が良いと思えるくらいにはね」

「女ごときがこの俺様を見下してんじゃねぇぞっ!! …………へ? ぎゃぁぁぁぁあああああっ!!??」


 売り言葉に買い言葉で返すと、ブレットは感情を抑える事ができず怒りの感情のまま殴って来たので、私はご主人様から頂いた『日本刀:白菊』でその腕を切り落とす。


 ちなみにこの、ご主人様から頂いた日本刀はただの剣……刀ではなく、様々な付与がされている魔刀でもあるのだが、付与が無くてもこれほどの切れ味であれば十分すぎる程のスペックであり、まさに国宝レベルの武器と言えよう。

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