第45話 怒りがふつふつと湧いてくる



 そんな事を思い出しながら私は今回ターゲットにしている組織の構成員、その下っ端であろう男性を陰に潜んで尾行していく。


 というか女性も女性で、これだけ行方不明者や死者が出ているのであればもう少し危機感を持って行動できないのか? とは思ってしまう。


 恐らく彼女たちも現状は知りつつも『不幸な目に合った者は運が無かった、見る目が無かった、バカな女』と見下し私はそんなヘマはしない、客を見る目があると根拠のない自信を持っているのかもしれないし、そうする事によって不安を打ち消しているのかもしれない。


 どちらにせよ女性の弱みに襲っている犯罪組織の方が悪いわけで、彼女たちが悪いわけではない。


 それだけに私は許せないという怒りがふつふつと湧いてくる。


「ねぇ、どこまでいくの? 宿屋街は過ぎてしまったよ?」

「ち、このまま違和感に気付かずについてくれば痛い思いをしなくてよかったのによう……まったく、バカな女だぜ」

「……ひっ!? や、やっぱり貴方……っ!! なんかおかしいと思ってたのよっ!! 流石に露骨すぎ……ガハッ!?」

「何逃げようとしてんだよ? 逃がす訳ねぇだろ? 馬鹿がよっ!!」


 そして、流石に宿屋街過ぎても一向にどこかへ寄ろうとしない事に違和感を覚えたのか、それを女性が指摘した瞬間に男性が豹変するではないか。


 男性が豹変するのを見た女性は、何かに感づいたのか顔を真っ青にしながら持っていたバッグを男性に投げつけ逃げようとするも、その抵抗は虚しく男性に腹を殴られて気絶させられると、男性は気絶させた女性を担いでとある建物の中へと入って行く。


 そのまま男性の後ろを付けていくと、廊下の壁に起動スイッチが仕込まれていたらしく、その起動スイッチがある個所を押して隠し扉が開くと、そこには地下へと続く階段へと繋がっており、そのまま男性は女性を担いだまま下りていく。


「ブレット・モーデル様……本日分の女性を捕まえてきました……っ」

「お前……ここまで気付かずに来たのか?」

「……はい? なんの事っすか?」

「余計なものも連れてきやがって。つけられて来てんだよっ!! あれほど尾行には気を付けろと言っただろうがっ!!」

「あがっ!! す、すいやせんっ!!」


 下っ端であろう男性は奥にいる、筋肉で隆起した肉体を持つ男性へと担いでいた女性を降ろして差し出すのだが、ブレットと呼ばれた男性は何か違和感を覚えたのか私がつけていた事に気付いたようで、その失態をした男性を蹴飛ばす。


「気付かれてしまったのならば、このまま隠れていても仕方がねぇか……」


 

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